第39話:まだまだ滞在中
前回のあらすじ
アルスの剣を再生するよ!
※一部修正しました(2020/11/30)
僕がダンさんに剣の再生を頼んでから、二週間が経過した。
僕達は今日は、北地区の復興作業を手伝うのではなく、魔物の討伐にきていた。
竜人の里にも冒険者ギルドはあり、そこでクエストを受けた。
今回の討伐対象はアイスゴーレムで、氷でできた大きな身体をしている。
その巨体から繰り出されるパンチで命を落とす冒険者も、少なからず存在する。
そのため、このクエストはBランク以上の冒険者しか受けられなかった。
僕達はその魔物の棲息域まで、徒歩で向かっていた。
先頭を歩く僕に、ステファニーが質問する。
「ねぇ、アルスくん。魔物使いの能力って何があるんスか?」
「いきなりどうしたの?」
「いやぁ〜……。アタシって、アルスくんの従魔になったッスよね。でも、アルスくんの魔物使いとしての実力を疑う訳じゃないんスけど、どんな能力があるのかなって」
「……そう言えば、あたし達と本契約したり、魔物と仮契約する以外の能力は知らないわね」
「そうですね、わたくし達もあまり知りませんね」
ヨーコとミラも、疑問を浮かべる。
それを聞いて、僕は彼女達の疑問に答える。
「魔物使いの能力は、今言っていた魔物や魔族と契約する以外に二つある」
僕は人差し指を立てる。
「まず一つは、『強制召還』だ。これは、契約中の魔物や魔族を自分の元に召還する能力だ。どれだけ離れていても召還できるけど、相手との距離が離れるほど消費魔力が多くなる」
僕は続けて中指を立てる。
「もう一つは、『強制停止』だ。これは、もし契約中の魔物とかが暴走した時に使う能力だ」
僕は更に薬指を立てる。
「この二つに契約を加えた三つの能力が、魔物使いとしての基本的な能力だよ」
僕の説明を聞き、ヨーコが質問する。
「でも、契約以外の能力は今まで使ってなかったわよね?」
「使う必要がなかったからね」
そう言っているうちに、アイスゴーレムの棲息域にたどり着いた。
そこにはすでに、一体のアイスゴーレムがいた。
僕は今回武器を持っていないので、魔法でみんなを支援する役に徹する。
僕の従魔達は各々武器を手にし、魔物に立ち向かっていく。
ヨーコは魔法で傷を付け、そこを刀で切り付けることで確実にダメージを与える。
ミラは《ブラッディソーン》で相手の移動を制限し、鎌で切り刻む。
ステファニーは双剣を交互に振り回し、着実にダメージを与え続ける。
僕は彼女達の動きを把握し、攻撃の手を緩めないように魔法を放つ。
そして、アイスゴーレムが倒れる直前、ヨーコの後ろの地面が僅かに盛り上がる。
僕は嫌な予感がして、強制召還を発動させる。
「【来い、ヨーコ】!」
すると彼女の姿が消え、僕の隣に再び現れる。
その一瞬後、ヨーコのいた場所からもう一体のアイスゴーレムが出現する。
僕の隣にいるヨーコが、キョトンとした顔で僕を見る。
「アルス……今のって?」
「強制召還を使った。嫌な予感がしたから」
僕はそう言って、新たに出現したアイスゴーレムの方を見る。
ヨーコも自分がいた場所を見た。
「アルス、その……ありがと、助けてくれて」
「どういたしまして」
ヨーコは照れつつお礼を言う。
その間に、ミラは沈黙寸前のアイスゴーレムにトドメを刺し、ステファニーは新たなアイスゴーレムに立ち向かっていく。
僕とヨーコはそれを確認し、戦線に復帰する。
多少のイレギュラーはあったが、アイスゴーレムの討伐クエストは無事完了した―――。
◇◇◇◇◇
その後も、僕達は復興作業とクエストを交互に行った。
北地区の復興作業はほぼ完了し、以前の生活を徐々に取り戻していた。
いくつかのクエストをクリアした後、ギルドの受付嬢に、Aランク昇格の資格を得たことを告げられた。
Aランクに昇格するには、中央大陸にあるギルド本部で手続きをしなければならず、それに必要なギルドマスターのサインが記された紹介状を受付嬢からもらった。
そして、僕がダンさんに剣を預けてから、一ヶ月が経過した―――。
次回、ついに(?)アルスの新しい剣がお披露目されます。
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