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魔物使いの弟子  作者: 天利ミツキ
第一部
37/560

第37話:滞在中

新章開幕です!




※一部修正しました(2020/11/30)

 

 ステファニーが僕の従魔になった日の夜。

 ステファニーは夕食の時に、両親であるシグさんとヒルデさんに、僕の従魔になったことを告げた。


 二人は最初驚いていたが、愛娘の選択を尊重し、祝福してくれた。

 後、僕は二人にステファニーのことを頼まれた―――。




 ◇◇◇◇◇




 夕食を食べた後、僕は部屋に戻って、久しぶりに剣の手入れをする。


 アイスワイバーンと交戦してから一週間経っており、いろいろあって手入れを疎かにしていたのだ。


 僕が使っている剣は、全金属の中で一番物理耐性が高いアダマンタイト製で、師匠に弟子入りした時から使い続けていた。


「……ん?」


 僕は剣を磨いている時に気付いた。


 刀身にヒビが入っている。

 多分、アイスワイバーンの尾の攻撃を防いだ時に出来たのだろう。

 ……流石に、ステファニーとの決闘(?)の時に、僕が放り投げて出来た傷とは考えにくい。


 どこかの鍛冶師に修理してもらわないと……と思い、シグさんなら誰か知っていると思って、剣を持って彼の元に向かった。




 シグさんはリビングに居て、晩酌をしていた。

 僕はシグさんに剣を見せながら、事情を説明する。


「……と、言うわけなんです」

「フム……」


 シグさんは僕の剣を見ながら、そう返事をする。

 そして僕に向かって言う。


「……そういう事なら明日、自分と一緒にこの里一番の鍛冶師の元に行こう。腕は確かだ、きっと元の状態以上に仕上げてくれる」

「ありがとうございます」


 僕はそうお礼を言い、部屋に戻った―――。




 ◇◇◇◇◇




 翌日。

 僕はシグさんに連れられ、この里一番の鍛冶師の元に向かっていた。

 その人は、この里の西地区に居を構えているらしい。


 後何故か、ステファニーが僕達についてきていた。

 ヨーコとミラは、今日も北地区の復興を手伝っているので、僕とは別行動だった。


 僕はステファニーについてきた理由を尋ねる。


「ステファニー、今日はなんでついてきたの?」

「えっ? アタシはアルスくんの従魔になったんで、主についていくのは当然ッスよ。あとついでに、剣のメンテナンスをしてもらおうと思って」

「……メンテナンスの方がついでなのか」

「そうッス!」


 そう答える彼女は、何が嬉しいのか、ニコニコとした表情を浮かべていた。

 出会った当初のどこか翳がある笑みより、今の方が僕としては好みだった。


 僕は話題を変える。


「……ところで、ステファニーの剣だけど、何製?」

「片方がアダマンタイト製で、もう片方がマナタイト製ッス」


 マナタイトというのは、アダマンタイトと違い、魔法耐性が一番高い金属だ。

 彼女はこの二つの金属製の剣を用いることで、どんな状況にも対応できるようにしたらしい。


 その後はとりとめのない会話をしながら、目的地に向かって歩いていた。




「ここだ」


 そう言ってシグさんが、とある武器屋の前で立ち止まった。

 その店は西地区の大通りに面していた。

 店の窓から店内を眺めると、武器がところ狭しに並んでいた。


 僕達が店内に入ると、店の奥から一人のドワーフ族の男性が出てきた。

 その男性にシグさんが声をかける。


「こんにちは、ダン。今日は用があって来た」


 ダン、と呼ばれた男性が返事をする。


「おう、シグ。それで……その用ってのは?」

「娘の剣のメンテナンスと、彼の剣を修理してもらいたくてね」

「ほう? ……ボウズ、見ない顔だな。もしかして……嬢ちゃんの彼氏か何かか?」

「ぶふっ!?」


 ダンさんにそう言われ、僕は思わず吹き出す。

 ステファニーが顔を真っ赤にしながら否定する。


「ち、ちちちち違うッスよ!? アタシとアルスくんは、全然そんな関係じゃないッス!」


 ダンさんが更に追及する。


「それにしては、仲睦まじく店に入ってきてたが?」

「そ、それは……!?」

「ダン、悪ふざけはそのくらいで」


 シグさんが止めに入ると、ダンさんは大人しく身を引いた。

 ステファニーは顔を真っ赤にしたままだった。


 ダンさんが僕の方を見る。


「それで、ボウズの名前は?」

「アルスです」

「アルスか……。ちょいと、お前さんの剣をワシに見せてみろ」

「はい」


 僕は鞘ごとダンさんに手渡す。

 彼は鞘から剣を引き抜き、刀身を一瞥してから僕に言った。


「この剣はもう駄目だ。使い物にならん」






新、章……?




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