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魔物使いの弟子  作者: 天利ミツキ
第一部
23/560

第23話:連続失踪事件 その7

前回のあらすじ

アルスとエリザが交戦開始




※一部修正しました(2020/11/29)

 

 エリザはコウモリのような翼を生やし、短剣を右手に握りしめながら僕に飛びかかり襲ってくる。


 僕は強制的に割り込み、仮契約を結んで支配下に置いた魔物達を、彼女の支配下に置かれている魔物にけしかける。


 その間にエリザは接近し、短剣を僕に振り下ろす。

 それを僕は長剣で防ぎつつ、彼女に問い質す。


「失踪した人達はどこにいる!?」

「全員殺したわ」

「っ! ……なぜそんなことを!?」

「用済みになったからよ!!」


 僕とエリザは距離を取る。

 そして再度問い質す。


「用済み……だって?」

「ええ、そうよ。私は事件が起こればそれでよかった。被害者には口封じのために死んでもらったわ」

「……なぜ、事件を引き起こした?」

「ミラを独り占めするためよ」


 そう言ってエリザは、事のあらましを歌うように説明する。

 それを聞いた僕は、怒りを覚えた。


「…………狂ってる」

「褒め言葉として受け取っておくわ」


 僕の罵倒を彼女は軽く受け流し、続ける。


「それよりもいいの? 貴方の手駒はいなくなったようだけど」


 そう言われ、僕は確認する。

 僕が仮契約した魔物達は、いつの間にかエリザに再び支配されていた。

 そして彼女はさらに距離を取り、告げる。


「やっぱり魔物使いらしく、戦いは魔物に任せなきゃね?」


 彼女の支配下に置かれている魔物達が、一斉に僕に襲いかかる。

 僕はその半分くらいに強制的に割り込み支配下に置き、彼女の支配下に置かれている魔物と戦わせる。


 しかしまた、エリザが支配権を奪い返し、それを見た僕が割り込み支配下に置く。


 そのような一進一退の攻防を続ける―――。




 ◇◇◇◇◇




 あたしはアルスと別れ、ミラを救出するために屋敷内を走り回っていた。


 部屋を一つ一つ確認しながら探していたけど、埒が明かないので別の手段を取る。


 あたしは懐から、幾何学模様が描かれた札を数枚取り出し、妖族の固有魔法を発動する。


「《式神召喚》」


 するとあたしが持っていた札がひとりでに動き出し、折り紙で作った人形のような形をとる。

 あたしはその人形達に、ミラの居場所を探すよう指示を出す。


 指示を受けた人形達は散開し、屋敷内を捜索する。

 あたしの頭の中には、各人形の動きが映し出される。


 やがてその一つがある場所で動くのを止め、あたしにその居場所を知らせる。

 あたしはその居場所に向かうため、走り出す―――。




 式神が知らせてくれた場所は、地下室だった。

 元は食糧を保存する場所だったらしい部屋のドアを開け、中に入る。


 薄暗い部屋の中を進んでいき、明かりが灯されている一角にミラがいるのを発見した。

 彼女は両手足を鎖で拘束されていて、壁際に吊るされていた。


 あたしはミラに近づいて行くと、その足音を聞いて彼女は顔を上げる。

 近づいてきたのがあたしだったことを確認して、彼女は安堵の表情を浮かべる。


「ヨーコさん……!」

「ちょっと待ってて。今その鎖を壊すから」


 そう言ってあたしは、髪を結んでいるリボンに手をかけて髪をほどく。

 そして手に持ったリボンに魔力を流し、本来の姿に戻す。


 リボンは一瞬光に包まれ、それが晴れた後に姿を現す。

 ソレは刀身が僅かに反っている、あたしの故郷に伝わる武器である刀だった。


 この刀は特別製で、オリハルコンで出来ている。

 オリハルコンの面白い特性として、オリハルコン製の武器は魔力を流すことによって、使用者の望んだ形に形状を変化させることが出来る。

 そしてまた魔力を流せば、武器本来の姿を取り戻す。


 ミラは目を見開き、目の前で起こった現象に驚いている。

 あたしはその隙に刀を四度振るい、鎖を破壊する。

 支えを失って床に倒れ込みそうになった彼女を、あたしは抱き止める。


「ヨーコさん、その武器は……」

「話は後。アルスに合流しなくちゃ」


 質問しようとするミラの言葉を遮り、あたしはそう告げる。


 そして彼女の手を取り、アルスに合流するために地下室を後にした―――。






ファンタジーでメジャーな金属の、オリハルコンが初登場です。

オリハルコンの特性のイメージは、形状記憶合金です。




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