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村にて




踵でどんなに地面を蹴っても、踏んでも、ひきずられ、村の高床式の大き目の家に入れられた。


「なんだ。」


キリシマは言う。


「なんだじゃございません、英雄様。」


最も年長のシワガレタおじいさんが口を開いた。


「あなたはわが村の英雄。ぜひもてなしを」


キリシマは右手で言葉を制する。王者の風格だ。


「それはいい、俺はなにもしていない。」


「さすが勇者様、素晴らしい謙遜。御見それしました。」


再び右手が制する。王者の風格だ。


「それよりもここはどこだ。こんなところ知らんぞ。ハンガリーか。」


キリシマは懐からメモ帳を取り出した。


「ああ!その記憶媒体。王国所属の地図作製班のお方でしたか、納得の強さでございます。」


シワガレと心の中で名付けた年長者が下卑た顔になり手を揉み始めた。


「王国…?」


シワガレが大きく手を叩いた。言葉を抑制される。彼のターンになってしまった。


「我が村は、シュツルムントドランク村。シュツルムントドランク村でございます。ぜひ、覚えておいてくださいね。あなた様が立ち寄ったのはシュツルムントドランク村でございます。」


キリシマはメモをする。彼は律儀だ。しつこくともけっしてないがしろにしない、それが彼が学園の頭となったことの理由の一つでもある。


「では、王国はですね。そこの角を曲がって300m行ったところでございます。いいですか、覚えていてくださいね。あなた様に助けられ、助けた村はシュツルムントドランク村でございます。報告を忘れないで、報謝もぜひ。」


キリシマは手で言葉を制する。


「例を言うが、下賤だな。」


キリシマは痺れ知らずの脚を伸ばしその場から去る。とにかく王国だ。王国。彼はそう思った。




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