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森の中でのキャンプ
「ウォーター!」
明里が高らかに叫ぶと、水のエフェクトが目の前のフォレストウルフを
襲う。
そして光の粒子ができ、消えた。
おそらくこれで3匹目だ。
気付くと、辺りはもうすっかり暗くなっていた。
「もう夜じゃん、どうする、紫苑?」
ゲームではリアルタイムで時間が過ぎていた。
なので夜型プレイヤーは夜しか
見れないので、昼限定のクエストは受けられない。
ここで夜ならば、現実では夜なのか?
でも今は関係ないし、明里の持っていた『キャンプセット』を出してもらい、そこで寝ることにした。
そもそもこのゲームには、『寝る』
のコマンドがない。
現実世界とリンクしていれば、それは当然のことだ。なので
宿屋のベッドに寝転がれば代わりにHPやMP、スタミナが少しずつ回復していくだけだ。
でも、それが現実になったら。
もちろん睡眠欲はでる。
なので、HPか回復しなくても寝なくてはならない。
明里は回復できる寝袋に、私はそのままテントの中に寝転がる形になった。
「おやすみ・・・」
明里が眠たそうにつぶやく。
そこで私の意識は途絶えた。