序章
「ねえ、『イリアス・クロニクル』って知ってる?」
私の大学の友達、月島明里は聞いてきた。
もちろん私、七瀬紫苑は知っている。
イリアスクロニクルとは、大人気の
PCオンラインMMORPGである。
もちろん私もやっている。
有料だが、不具合の少なさ
珍しい生産職の充実。
値段に見合わない程のやり込み度。
発売から半年がたった今でも絶大な
人気を誇っている。
「うん、やってるけど。」
すると、
「本当!今日始めるから、武器とか
作って!」
私は、生産職ではほぼ極めているので、ゲームの中ではちょっとした有名人だ。
「うん、じゃあ後で電話するね!」
「・・・さて」
私はパソコンの電源をつけて、
電話をかける。
「もしもし?」
『もしもし?明里だけど。』
「武器作るから、選んだ属性と職業教えて。」
このゲームには、5つの属性がある。
火 水 草 闇 光。
見ていてわかるのだが、
火は水に弱く、草に強い。
闇は光と対になる。
職業については、
戦士と職人がある。
選んだ職業によってストーリーが違い(転職もちゃんとできる)、クエスト内容も違う。
種類は、
剣士
魔法使い
狩人
騎士
僧侶
の五種類、
大工
鍛冶
洋裁
料理
調合
木こり
採掘
の七種類に分けられる。
明里は光の魔法使いだそうだ。
チュートリアルは終わったそうなので、人が少ないエリアを探す。
すると、
『???』
エリア名におかしな物が混ざっていた。
「新エリアかな?」
「もしもし?明里?『???』
のエリアに入れる?」
うん、と返事がきたので、
エリアをクリックする。
一瞬BGMが消えた後、
「何これ・・!眩しい!!」
目も開けられない程の眩い光。
目を開けると・・・
そこは、イリアス・クロニクルの
スタート地点に
初期装備で立っている私がいた。