表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転落転生 ~ある日、穴に落っこちた~  作者:  
第一章 「落下、そして異世界へ」
7/7

第七話 「謎」

「いてて…」


 目が覚めるとそこは瓦礫が散乱していた。

 周囲には瓦礫の他にネクやメル、フールもいた。

 どうやら皆、気絶しているようだ。


「いたた…」


 背後でそんな声がしたので振り返ると、瓦礫の下からセーラが出てくる所だった。


「あ、グレイブ…君。これ、何があったの?」


 と、聞かれたが俺だってさっきまで寝てたんだから俺に聞かれたって知っている筈もない。


「そっちこそ、何があったか――」


 知らないか? と聞こうとしたところで、バン、と音を立てて扉が開き、見たことあるような無いような女性が入ってきた。


「ネク先生! 何があったんですか!?」


 気絶したネクを揺すりながら大声で尋ねている。

 そこで俺たちに気付いたのか、ネクを置いてこっちに来た。


「ねぇ、君たち。ここで何があったか何か知らない?」


 と、聞かれたので、得意魔術(マイスキル)の種類識別をするために魔石に魔力を流した直後に爆発が起き、気が付いたらこうなっていた事を話した。

 すると、


「おかしいわね。この壁はそう簡単に壊れない筈なんだけど…。

 それに術者である君が軽傷なのはわかるけど、そっちの女の子も軽傷なのも気になるわね…」


 後から聞いた話によると、魔術は術者には影響を与えないらしいのだ。

 例えば、敵の至近距離で大爆発を発生させても、敵が爆発で吹き飛ぶだけで術者は無傷なんだそうだ。

 尤も、その爆発によって発生した二次災害による被害――瓦礫が飛んできたり周囲が燃えたりして負った火傷とかだな――は防げないみたいだが。


 その後、他の2人を探し出して俺達は家に返された。

 家に返ってからハイスにこの事についてる聞いてみた所、『俺は得意魔術の修得の為に王城には行ってないからそんな事は知らん!』とのこと。

  まぁ、それもそうか。


 そして、翌日。

 登校し、7番と書かれた扉を開けると、もう皆来ていた。


「はい、皆さん。今日は昨日の続きをしますよー。あ、グレイブさんは後日ルレアさんに診て貰うので今日は見学ですよー」


 だそうだ。

 あの人は何にも言わずに何かしてくるから若干怖いんだよな。


 で、3人のを見学していたんだが面白い結果に終わった。

 なんと、3人とも何も起きなかったのだ。

 ネクに聞いたところ、7番(ここ)の生徒だとそんなに珍しく無いとか。 寧ろ、俺みたいに爆発する方が珍しいらしい。

 まぁ、爆発は火系統(1番)の生徒が使えるはずの魔術だからな。


 そういえば、授業で言っていたが、ここでは魔術の系統を番号で分けているらしい。

 1番は火。2番は水。3番は雷。4番は土。5番は風。6番は治癒。7番はその他――つまり無系統のことだな――と言うように別れている。


 っと、話が逸れたな。

 そんな訳で、俺の得意魔術で爆発が発生するのはおかしいんだとさ。


 で、これからあのルレアとかって言う人に会いに行くと思ったら、今日はいないんだとさ。

 何やら忙しいっぽい。

 結局俺の魔術は何も分からず謎が残った。


 じゃぁ何をするのかと思えば、普通に授業だった。

 内容は『魔力の開放』。

 ちなみに、俺以外の3人は絶賛居眠り中だ。俺は肉体は5才前後だが、精神年齢は30を越えているからな。だが、この授業は俺でも眠くなる位だ。5才児にはきついだろう。

 簡潔に纏めると、魔力の開放とはその名の通り、体内の魔力を大概に放出することで魔術の威力を上げるが、魔力は放出して空気中に拡散してしまうのであっという間に無くなってしまう。放出した魔力は波長の関係で色がついて見え、敵と認識した者を僅かながら威圧することもできるらしい。

 以前フロウが使ってたな。


 長ったらしい話に眠気を通り越して目が覚めて来たころ、授業の終了を告げる鐘が鳴った。今日はこれで授業はおしまいだ。

 ……おしまいなのだが、俺以外の3人がネクに連れていかれたのは見なかった事にしよう。寝なくて良かった。



 翌日、当校していつものドアを開こうと手をかけた時の事だった。

 背中がゾッとし、冷や汗が吹き出る。凄まじい重圧(プレッシャー)を感じたのだ。

 その重圧は恐らく――――――殺気。

 平和な日本で育った俺は殺気など感じたこと無かったが、間違いないと断言出来る程、濃密で恐ろしいものだった。

 嫌な予感がし、先生を呼びに行くことすらせずにドアを乱暴に開く。


「あぁ、ようやく来たか。待ちくたびれたよ」


 中から投げ掛けられたのはそんな言葉だった。

 机の上に殺気の主が座っている。

 恐ろしくて目を合わせられない。

 しかし、咄嗟に腰の刀に手をかけてしまった。こんな格上相手に何が出来ると言うのか。


「そんなに警戒しなくて良いさ。別に戦いに来た訳じゃない。

 まぁ、そこの3人には寝といて貰ったが」


 周囲を見回すと、フール、メル、セーラの3人が倒れている。出血も無いようなので気絶しているだけだろう。


「ライグ、警戒されるのは仕方ないんじゃないかしら。

 誰だってそんなに殺気剥き出しで見ず知らずの人から話し掛けられたら警戒するわ」


 突然背後からかけられた声に驚いて振り返る。

 そこには以前、水晶を使ってのクラス分けの時に見かけた女性が立っていた。


「ん? あぁ、消し忘れてたな」


 背後で殺気が小さくなっていくのを感じる。

 それと同時に、さっきまで直視できなかった姿が見えて来る。

 ローブを身に纏いフードで顔を覆っている為、素顔を確認することはできない。


「俺とは馬車で一緒だったな。改めて名乗っとこうか。

 俺はライグ。ライグ=ウォードだ」


 着ていたローブのフードを外すと肩にかかる白髪に眠そうな蒼い目が露になる。


「で、そっちの銀髪が――」


「はーい。インヴァリッドでーす!」


「……まぁ、今日は自己紹介に来ただけだ。何の為にと思うだろうがその内分かるだろうさ」


「そーゆことでーす!」


「少しは静かにできない……よな。

 もういい。帰るぞ」


「了解! 『鏡世界への扉(ミラーゲート)』!

 バイバイ、グレイブくん♪」


 そう言うと、何かの――術名からおおよその予測はできるが――魔術を発動させ教室から消えてしまった。


 一方的に自己紹介し、あっという間に帰ってしまった。

 いったい何だったのだろう。そもそも、あのインヴァリッドとか言う女は何故俺の名前を知っていたのか。

 大量の謎が残るだけだった。


 その後、起きた3人は何事もなかったように1日過ごしていた。

 その日の授業は全く頭に入らなかった。

受験無事(?)終了!


はい、大海の猫です。大変お待たせして申し訳ないです。

受験終わりましたので更新再開していきたいと思います。まぁ、相変わらずの亀更新だと思いますがせめて月1では更新出来るよう努力します。



20150403

本文を少し変更しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ