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転落転生 ~ある日、穴に落っこちた~  作者:  
第一章 「落下、そして異世界へ」
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第五話 「王城へ」

大変遅くなってしまいました

申し訳ないです

「水の精霊よ!

我が魔力を糧として、ここにその力を示せ!

凍てつく氷の槍にて我に仇なす全てを射ち貫け!

氷槍:雨(アイスランス:レイン)』!」


 俺が詠唱を終え、手を前に突き出すと同時に少し小さめの氷槍が正面に向かって大量に飛んでいった。

 その先にはハイスがいる。

 しかし飛んでいった槍は1つもハイスに当たることなく、空中で全て消え去った。

 溶かされたのだ。彼の『電撃領域ライトニングフィールド』で発生させられた電熱によって。


「まだまだだな。だが、魔力の練度はよくなってきた」


「そうですかね。相手が相手なだけにちっとも良くなった気がしないですよ」


 魔力の練度を高めれば魔術の威力や精密さが上がり、使用する魔力の量が多ければより強大な魔術が使える。

 魔力総量はストレス等による若干の上下はあるものの、一生を通して大きく変化する事はない。

 俺の魔力総量がどれくらいかは分からないが、中級の魔術を撃ってもピンピンしている所を見ると平均以上はあるようだ。

 ハイスが言うには一般人は中級の魔術を撃てば息が上がり上級を1回撃つと魔力が切れるらしいからな。


「よし、次は火系統魔術の『灼熱領域(フレイムフィールド)』だ」


「はい」


 と、こんな感じでこの日は暗くなるまで魔術の練習をしていた。



★★★



 その日の夜。


「そうだ、グレイブ。お前そろそろ自分の得意魔術マイスキルが何か知りたいんじゃないか?」


「そりゃぁ、得意魔術が使えればあの時だってもっと楽に戦えたでしょうからね」


 あの時と言うのはフロウと戦った時だ。

 ん? そういやあのあとフロウ達はどうなったんだろう。勢いで全員斬っちゃったけど、まさか死んじゃいないよな。

 もし死んでいたら日本人としては胸が痛い。


「その得意魔術なんだが、この国では大体5~6才で覚醒させるんだよ」


「覚醒、ですか?」


「あぁ。得意魔術はな、特殊な魔術で引き出すんだ。潜在能力を引き出すって言えば分かりやすいかな?」


 えーと、魔術で魔術を引き出すのか?

 よくわかんないな。


「それって今じゃないと駄目なんですか?」


「駄目って事は無いが、一般的には5~6才だからな。他に合わせた方がいいんじゃないか?」


 それに、とハイスは続けた。


「それに、お前もずっとここに居る訳にはいかないだろ?」


 その通りだ。

 この世界で生きていくには、ハイスのように町に定住しそこで仕事をするか、国や町を転々とし旅をするかの2つだ。

 そして、今までここに来た奴らは皆旅に出たのだろう。

 ならば、俺も旅に出るべきだ。


「わかりました。得意魔術を覚醒させるにはどうしたらいいんですか?」


「得意魔術を覚醒させるには王城に保管されている魔術が必用だ。だから、王城まで行く必用がある。

 ここから王城のある王都までは馬車で休まずに移動して1週間程だ。3日後に出発する。それまでに準備をしておけ」


「……はい」


 こうして俺は得意魔術を覚醒させるために王都に行く事になった。



★★★



 3日後、俺は荷物――と言っても持っている物など服と刀と僅かなお金だけなのだが――を持ってハイスと乗り合い馬車に乗っていた。

 馬車で王都まで1週間と言ってもそれは休まずに移動をした場合の話らしく、途中の町で宿を取ったり、道中で盗賊が出ればもっとかかるかもしれない。


 それにしても、馬車の中は静かだった。

 今、馬車に乗っているのは俺とハイスを入れて6人だ。

 馬車は四角く、席はコの字型で入り口は後ろにある。俺とハイスは入り口から一番遠い席、つまり入り口と対面して座っている。

 一緒に乗っている4人の内3人はおそらく旅人。冒険者パーティーといった感じだ。それぞれ大剣、杖、ナイフを持っている。

 そしてもう1人はと言うと白髪で白いコートを着ていて、その眠そうな蒼い目でじっとこちらを見ている。女に見えなくも無いが何となく男だと分かる。

 髪はロングまでは行かないが結構長めだ。


 まあ、向こうが見ていようと何もしてこなければいいか。


「おい」


 ハイスが話しかけてきた。


「着いたぞ」


 顔を上げるとハイスは既に立ち上がり、荷物を持っていた。

 日はもうすぐ沈もうとしている。

 いつの間にかかなりの時間が経っていたようだ。

 白髪の男をもうこっちを見てはいなかった。立ち上がって荷物をまとめている。

 俺も急いで刀を持ち、ハイスの後を追った。


 さっきの奴は何だったんだろう。



★★★



 次に到着した街も1泊するだけで、翌朝にはすぐに出発した。

 1日目にこっちを見てきた奴はまだ乗ってはいるが、もうこちらに興味は無さそうだ。



 そんな感じで街から街を馬車で移動すること2週間。漸く王宮のある王都――ネクトに着いた。



 ネクトはビグルとは比べ物にならないほど大きく、広かった。

 地面はビグルと違い石が敷き詰めてあり、街を歩く人が着ている服や装備品もビグルよりかなり品質が良いものに見えた。

 流石は王都、と言った所か。


「見ろ、あれが王城だ」


 ハイスが指さすその先には城と呼ぶに相応しい、大きく美しい建物があった。


「あそこで得意魔術を覚醒させる訳だが、1つ問題がある」


「と、言いますと?」


「得意魔術の覚醒の為に一般人を王城に入れるのは特例を除いては月に1度だ。つまり……」


「次に王城に入れるまでに長ければ1ヶ月も待つ必用があると」


「そうだ」


「まぁ、その時はその時です。なんとかしましょう」


「そうだな」


 まぁ、待たされる事は予想していたのだが本音を言えば待たされるのは嫌だね。

 そう言えば、王城では一体何をするんだろうか。

 ハイスは知っているのかな。知っているなら是非聞きたい所だ。


「取りえず、宿やどを探そう。長ければ1ヶ月もここに滞在することになるからな」


「はい」


 宿はすぐに見つかった。

 見つかったのだが。


「……ここが宿ですか?」


「あ、あぁ」


 俺達が見つけた宿は、宿と言うにはあまりにもみすぼらしかった。


「ここに何日間泊まれと言うんですか……」


「王城に入れるのはもうすぐだと聞いた。それまでの辛抱だ」


 そう、もうすぐ王城に入れるらしいのだ。

 だから、国中からたくさんの人がやって来ているので宿は埋まってしまっている。


「まぁ、仕方ねぇだろ。

 こんな場所でも屋根があるだけましだ。寝るとき以外は街で過ごしてりゃいいだろ」


 そんな会話をしながらハイスは部屋に入って行き、2~3歩進んだ所で床が抜けた。


「……!」


 ハイスは何も言わなかった。

 が、その腕は怒りで震えており、僅かに放電していた。

 放っておいたらこの建物を跡形も無く吹き飛ばすんじゃないだろうか。

 まぁ、それには賛成だね。こんな所に寝泊まりするなんて嫌だからな。


 その後、何とか別の宿を見つける事ができ今はその宿の食堂でご飯を食べている。


「そうだ、ハイスさん。得意魔術の覚醒って具体的に何をするんですか?」


「あー、それな。悪いんだが俺は知らねぇんだ。俺は王城での覚醒はやってねぇからな」


「ふぇ?」


 予想外の返事に間抜けな声が出た。

 いや、王城で得意魔術を覚醒させていない?

 どういう事だ?


「俺はな、こっちの世界に来たときには何故か得意魔術が使える状態だったんだ。

 だから、王城には行ったことねぇんだ」


 こっちの世界に来たときには得意魔術が使えた?


「まぁ、俺にもよく分かってねぇから気にすんな」


 んー。

 まぁ、本人に分からないなら俺には絶対に分からないだろうし、この世界の事だからまれにそんな奴がいてもおかしくは無いのかもしれないな。


「ま、王城に行けば何をするかは分かるだろ。そんなに緊張することはねえよ」


 結局、王城で何をするかは分からなかったし、それどころかハイスに対する謎が1つ増えた。



 そんな感じで更に1週間。

 ようやく俺が王城に入れる日が来た。

 王城の入り口付近では係員と思われる人が何事か言っている。よく聞けばここでクラス分けをするらしい。

 その係員の方向へ歩いて行こうとしたとき、不意に視線を感じた。

 咄嗟に刀に手をかけてそちらを向くと、銀髪が混じった白髪の女性がこっちを見ていた。

 目が合うと笑って手を振ってきたが無視した。

 敵意は無さそうだったが何だったんだろう。


 再び係員の呼ぶ所へ行き、指示に従う。


「では、この水晶に手を乗せて下さい」


 言われるままに手を乗せる。

 すると手から僅かに魔力が吸いとられるのを感じた。

 それと同時に水晶の色に変化が現れ、無色透明から徐々に白色に変わった。


 係員は一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐに。


「では、この表と今の色を照らし合わせ、そこに書いてある指示に従って下さい」


 と、1枚の紙を渡してきた。

 そこには水晶の色の一覧とそれぞれの指示が書かれていた。


「んーと、俺は白だったから……あ、ここか」


 貰った表を見ながら着いた先は『7番』と書かれている扉の前だった。


 この中で何をするんだろうか。


 そう思いつつ、俺は扉を開けた。



★★★


 某国某所にて。


「ふぅ、見てきたわよ。彼の事」


 銀髪が混じった白髪の彼女はその髪を煌めかせながら突如として部屋の中に現れた。

 そして部屋にいるもう1人に話しかけた。


「……どうだった」


「想像以上ね。流石にあなたが認めただけの事は予想してあるわ」


「……まぁ、役に立ちそうなら引き込むつもりだ」


「そう。

 ま、そんなことだろうと思ってたけどね」


「……今日はそれだけだ。先に帰っていいぞ」


「ええ。じゃぁ、そうさせて頂くわ」


 そう言うと彼女は懐から鏡を取りだし、消えた。



特殊空間操作(スペースオペレート):鏡(:ミラー)


武器創造(ウェポンクリエイト)』そして『第2の視野(セカンドサイト)


 これが今会話をしていた2人(・・)の得意魔術である。

大変遅い更新で申し訳ないです


大海の猫です


今回も少しだけ新しい魔術が出てきたので解説を



水系統中級魔術『氷槍:雨』

 小さめの氷槍が大量に相手に飛んでいく魔術


雷系統中級魔術『電撃領域』

 一定範囲内を自分の領域とする魔術。電熱を起こしたりできる。防御魔術。


火系統中級魔術『灼熱領域』

 『電撃領域』の火バージョン



 こんな感じですかね


 最後に出た二人の得意魔術はまだ内緒ですので。



 ではまた遅い更新になると思いますがその時もまた読んで頂けると嬉しいです。


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