第二話 「転生者」
歩き始めておおよそ1時間経った頃、漸く町らしきものが見えてきた。
既に日は西に傾きつつある。もっとも、この世界に西があるのかすら疑問だが。
町が見えてから更に10分で門に着いた。
どうやらここで簡単なチェックをするようだ。
チェック内容は、職業、荷物検査、滞在目的そして…………得意魔術?
最初の3つはともかくとして、最後の得意魔術ってなんだよ。
てかこの世界、魔術があんのかよ!?
と、そんなことを考えている間に自分の番が来て、
「§○X%¶±Ω†‡?」
「はい?」
「§○X%¶±Ω†‡?」
ヤバい。言葉わかんねぇ。
あれ? でもさっき俺文字読まなかったっけ?
読んだよな確かチェック内容の張り紙を読んだ気が……
そうこうしている内に中から紅い髪の人が出てきた。
体格のわりに手足あまり太くないので、筋骨隆々と言う感じではない。
そして、
「ついてこい」
と、日本語で話しかけられた。
「え? あ、はい」
★★★
男についてこいと言われてついていくとある建物に着いた。
「入れ」
そう言われたので入った。
でも、何でさっきの門番は異国語で話してたのにこの人は日本語なんだ?
「で? お前も穴に落っこちた感じか?」
急に雰囲気が変わった。なんと言うか久しぶりに友人に会ったという感じだ。当然、俺はこんな人知らないが。
「ん? 違ったか?」
「あぁ、いや、違わないです」
「やっぱりか! ここに転生者が来るなんて何年ぶりだろうなぁ」
どうやら、俺以外にも穴に落っこちた人はいるようだ。
「あぁ、すまん。つい興奮してしまった。何せ転生者に会うのは久しぶりだったのでな。俺はハイス。前世では野村 秀才だ」
「俺は西野 有真です」
「そうか、よろしくな」
「すいません。いくつか質問してもいいですか?」
「あぁ、いいぞ」
「まず、ここはどこですか?」
「ここは、知っての通り地球とは全く異なる場所だ。そして、この町はメリア大陸にあるビグルと言う街だ」
「そうなんですか……。2つ目はこの世界の言葉が読めたのに話すことは出来ないと言うことです」
「それは何故かは分からない。が、この世界の人も、転生者も文字だけは読めると言うことだ。話したり書くことは当然、勉強が必要だがな。なんならこの世界に馴染むまでは家にいてもいいぞ。今までの奴らもそうだったからな」
「いいんですか!? ありがとうございます!」
「あぁ、こっちも仲間が増えて嬉しいからな。それと有真、お前もこっちでの名前を決めた方が良い。服装は問題無さそうだが、こっちでその名前はまずいからな」
「何故ですか?」
「えーと……理由は2つある。1つ目はこの世界の住人は名字と名前には分けない。まぁ、例外もいるが。 そして2つ目は転生者は強い得意魔術を持っていることが多いと言うことだ。最初は当然魔術なんか使えないが、鍛えると少なくとも超級までは行けるし、魔術が使えなくても剣士としてかなり強くなれるな。だから力を欲する国とかが狙ってくるんだ。そういうわけで転生者は普通名前を隠すんだ」
「ふむ…………」
「ま、名前が決まるまではここにいて良いし、その後も好きなだけいても良い。出てからも困ったらまたここに来い」
「ありがとうございます」
「あ、あとお前の部屋は階段を登った正面な」
それを聞くと俺は部屋に向かい、置いてあったベットに横になった。
いつの間にか外は暗くなっていた。
今日1日でいろんな事が分かった。
たくさんの事を一気に頭に詰め込んだせいか、頭がパンクしそうだ。
明日からどうしようかと思いながら俺は眠りについた。
こんにちは!大海の猫です。
漸く更新出来ました。遅くなって申し訳ないです。
申し訳ないことばっかりですが、これからも呼んでいただけたら嬉しいです。
僕は人の格好とかを説明するのが苦手らしいですね。その辺は勘弁してください。
何かよっぽど分かりにくいのがあればご指摘ください。直しますので。