召喚、出会い。
誓歴422年、アストミア共和帝都国。街中は静まり返り、薄暗い月明かりに包まれている。そんな中、唯一人工的な明かりを発しているのは、アストミア城。限られた人間しか入る事は許されない、王族の住居である。
「さて、始めましょう。」
アストミア城、地下深くのとある部屋である。高く透き通る声がその場の空気を沈め、それに応じて周りの兵士達が気を引き締める。
「レイ、始めていただけますか?」
「はい、クリティア様。」
レイと呼ばれた男は高々と両手を上げ、呪文を唱える。
「汝、我と契約するものよ。我の魔力を持って異の人物を呼び起こしたまえ。」
地面に書かれた魔法陣が、呪文に呼応したように光り出す。そこへ放たれる魔力に耐えれず、一人、また一人と倒れていく。そして魔法陣の光が収まってきたころには、術者であるレイと、クリティア以外の人物が倒れていた。
「終わったのですか?」
クリティアがそう尋ねると、突如魔法陣が再び光だす。とても開けていられず、閉じていた目をゆっくりあけると、二人の少年少女が立ち尽くしていた。
「・・・・・ここはどこだ?」
少年がそうつぶやく。ふと少女の方に目を向けると、少女は何も話さず、驚いたように口を開けている。
「あなたは誰なの?」
少女がレイに話しかけると、その答えを話す前にばたんと少年少女は倒れてしまった。
「突然でしたので、疲れてしまったようです。ひとまずレイ私室へ運びましょう。そのあとは手順道理にお願いします。レイ、このことはくれぐれも内密にお願いしますね。」
「かしこまりました、クリティア様。」
レイが返事すると、それを聞いたクリティアは倒れている兵士をよそに部屋を後にする。レイが私室へ移るため少女を抱え、少年も抱えようとする。
「何故俺がこいつの・・・・。しかし、この顔は・・・。」
そうつぶやいて今度こそ少年を抱え、部屋を後にした。
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