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『城塞都市トーナメント』

大分更新に間が開きました。すみません。

「眠い、死ぬ」

単位を取る為だけに出る授業は怠い。教える側が半端に生真面目な人間だと仮眠時間にすらならないから最悪だ。寝不足と最悪を掛け算すると自分でも信じられない事をしているようで、俺は自分のノートを見て絶句した。ありえない。

「うわ、意外」

しかも、それを仲のいい女友達に見られた。鬱だ。

「ごめんね〜。まさか西城君が絵が上手いなんておもわなくてさ」

大学から歩いて十分ぐらいの距離のネットカフェの片隅で烏龍茶を飲みながら岸野華奈美きしのかなみは笑う。

少し地味だが少し美人な彼女とはたまたま毎日同じ電車に乗り、たまたま毎日同じ授業(一年の時はマジメだったなぁ)を受けていたのが縁で何となく仲がいいだけ。

「西城君ってゲームには興味なさそうだったから、まさか『蒼天の戦乙女』なんて知ってるなんて更に意外だね」

ゲーム攻略雑誌の攻略記事書いてる上にバリバリのゲームっ子だけどって、えええっ??

「岸野もDDをプレイしてるのか?」

「うん。初期組だよ」

知らなかった。初期組と言えば大学入学前からプレイしてる事になる。『蒼天の戦乙女』を知っていても当然か。ん?

「何でこの絵を見て『蒼天の戦乙女』が出てくるんだ?」

ノートに書かれているのはログイン初日に出会った銀髪の少女。我ながら会心の出来である。

「知らなかったの?だってその子『蒼天の戦乙女』だもの。私何回か会ってるから見間違えないわよ」

「マジで?」

oとrとzな気分だ。コーヒーを買ったばかりのコート零すし、泣きたい。

それは置いておいて、岸野になら全部話てもいいかも知れない。口は固いし、初期組なら色々な助言や情報を持っているかも知れない。いや、それ以上に俺は『蒼天の戦乙女』と呼ばれる銀髪の少女の事が知りたい。岸野は知っている、間違いなく。

「岸野」

「ん?」

「今から言う事は冗談でも作り話でもない。真剣に聞いてくれ」

俺は話した。『全て』を。岸野は黙って聞き、時に頷いていたが微かに微笑んでいた。この時は微笑みに隠された意味を察する事は出来なかった。

「なるほどね」

「判っていると思うけど」

「他言は無用、でしょ。大丈夫、4時間コース代払ってくれるならね」

給料日前だからね、予想はしてましたよ。グッバイ夏目漱石×二人。お釣りは要らん。

「話判る〜♪」

「そのかわり、情報をくれ」

岸野は少し考え込む振りをする。

「彼女は鍵。全てを握る唯一二無の鍵。深淵で眠る運命を解き放つ鍵」

「鍵?」

「今教えれるのはこれだけかな。あ、後一つ」

「何だよ」

「真実を欲するなら強くなる必要があるよ。そうね、城塞都市トーナメントで決勝戦まで勝ち上がったら続きを教えて上げる」

「レベル一桁じゃ話しにならないって訳ね」

あの後少しレベルは上がったがまだ一桁。確かに何かをするにも『力』が足りない。弱い為に行けない場所も多い。ギルドの行動でも足を引っ張るに違いない。強くなる必要がある。

「やる気でたみたいだね。じゃあ、餞別代わりに私のお古の大刀を西城君のPCに送っておくね」

「いいのか?」

「うん。私にはもう必要のないモノだから。あ、そう言えば仕事行かなくていいの?もう1時だけど」

血の気が失せる。今日は1時から仕事だ。前に担当していたゲームの最後の特集記事を仕上げて引き継ぎをするんだった。1時から。

「や、やばい」

半ば呆れてる岸野に見送られて俺は神速で料金を払いネットカフェを後にした。

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