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絡人繰形店ーー噂と痴話喧嘩

総合ポイント1100p突破!!


読者の皆様に感謝です!!

「ヘイお待ち!! “豚骨味噌チャーシューhard”に“塩の木耳マシマシnormal”だねぇ」


コトッ、とカウンターに置かれる二杯のラーメン。

そこから漂う食の香りは、半日間ぶっ通しで山中を探索していた岬影と文の食欲を容赦なく刺激した。


ゴクリと唾を飲む音を出したのは岬影か、文か、はたまた両方か。


「相変わらず濃いのが好きよねぇ、連は」


「そう言うおめぇも木耳地獄じゃねぇか」


「いいでしょ別に、好きなんだから」


何で仁狼院から出てきてんだよ?! とか、妖怪の山でなにやってんだ?! とか、その他諸々の説明を求めようとした岬影と文を「いいから、いいから」と据え付きの椅子に座らせ、半ば無理矢理に注文を取った晴連。


当然それで質問を取り下げる二人ではなかったのだが、一心不乱にラーメンを作る晴連の姿に気圧され口を閉じていた。


終盤で麺から水を切る時などおぉ、と声に出してしまった程だ。


「さぁさぁお二人さん、伸びないうちに食べちゃってね~」


「おぅ、頂くとするか」


「あやややや、頂きますね晴連さん」


一応、晴連は今回の取材対象なので記者口調となる文。


妙な緊張感の中、ラーメンへと箸を伸ばす。


盛りの程度は一般的なnormalなので麺は通常だが、モリッと積まれた木耳が圧倒的な存在感を振り撒いている。


スープの滴るストレートな麺を箸で掴み上げ、ズズッと口内へと啜り咀嚼する。


淡い琥珀色のスープを掬い舌で喉で胃で味わう。


鮮やかな黒色を魅せる木耳を頬張り麺とスープも合わせる。


「こ、これは……」


まさに驚愕、といった調子で文が口を開くと晴連は満足そうな顔で。


「ふっふっふ、どうだい文ちゃん。晴連式極一ラーメンの味は!!」


「いやぁ美味しいですよ。お世辞抜きにしても私が今までに賞味したどのラーメンより、変態陰陽師が作ったとは信じられない味です」


「あ……あれー? 文ちゃん、もしかしてもなくて取材の時のこと怒ってる?」


「嫌ですねぇ晴連さん、キサラさんと一緒に揉みくちゃにされたぐらいで私が怒る訳ないじゃないですか」


あっはっはー。と笑う文だがそんな貼り付けた笑みを浮かべられては、流石の晴連も冷や汗をかかざるえない。


「何やってんだかお前らは……」


「あの翼を見てたら辛抱堪らなくなっちゃってさー」


「黒峯さんが止めなければ、八つ裂きにしていた所ですよ」


八つ裂きにされた程度で晴連が死ぬかどうかはさて置き。

実際問題、彼女らが本気でぶつかり合えばそれこそ異変レベルの大惨事となる事は免れない。

もっとも、最後に立っているのは文でも晴連でもなく不敵に笑みを浮かべた紅白巫女なのだろうが。


「にしても美味いラーメンだな、清明お代わりを頼む」


「だぁかぁらぁー晴連!! そっちの名前は使わないでよー」


「んー善処する」


その善処が拒否と同意語なのはもはや公然の秘密である。



▲▼▲▼



二人が……と言うか岬影が満足するまで使用済みの杯が重ねられた頃。


軽く十杯は越えている山と自身の財布を見比べた文は溜め息を吐くと、愛用のメモ帖・文花帖(ぶんかちょう)と年季の入った万年筆を取り出す。


「えー、では晴連さん。そろそろ取材の方に移っても構いませんよね?」


「どうぞどうぞ、何でも聞いてくれちゃって~」


防水加工済み折紙の式神達がせっせと後始末に精を出す中、当の本人は寛ぎながら取材タイムだ。


「普段は仁狼院にこもってばかりの貴女がなぜ今更ラーメンの屋台を? これも黒峯さんの指示なのでしょうか」


両手に武器(取材道具)を構え、真剣な表情を前面に出す文。


いかに変態とは言え、相手は《幻想郷パワーバランス》の一角を担う人間・黒峯の右腕だ。


一体、どのような目的や理由を持ってここ(妖怪の山)に現れたのか。


ここてわビックなスクープをゲットすれば、今日の捜索も報われると言うもの。


そして仁狼院と言えば、暫く前に起きた《封力異変》の現場。それ以来何の動きも見せていなかった霧中の院からの使者を初取材!! となれば発行部数の増加も夢ではない。



「ただの暇潰しだよ~?」



……夢ではない訳がなかった。


「……連」


「ん?どうした文」


あっけらかんに言い放つ晴連。彼女の返答に三秒ほど固まった文は途方もなく事務的な声で岬影に語りかける。


「私は、妖怪の山で、極めて危険な、侵入者を、発見、そして排除、した、アンタは、証人、分かった?」


「取り敢えずお前の堪忍袋の尾が怒りでマッハなのは良く分かった、おい清明ちゃんと説明しろよ」


無言で葉団扇を手に取る文を宥めつつ晴連へと目線を送る。


「まぁ行動に理由や目的を求めるほど面白味に欠ける事はないんだけど、強いて言うなら文ちゃんがこの屋台を探し始めるのを待ってたんだけどね~」


「私が、この屋台を? どうしてまた」


何故かニヤついた顔で晴連は話を続ける。


「“《特に親しい》男女のペアで行けば遭遇率が上がる”って噂を流せばきっと連を連れて来てくれると思ったから」


「そっ、それはッ!!」


「本当だったのかよその噂……って特に親しい?」


自身の記憶と照らし合わせ違和感に気が付いた岬影が文の顔をジッと見る。


心無しか、その頬が薄く赤く染まっているように見えて……


「な、何よ……私の中で特に親しい男って連ぐらいしかいないじゃない」


「熱いですなぁ~」


晴連の一言で、今の言葉が「アンタ以外に親しい男なんていないわ」とも取れると脳内で発覚し、更に顔が赤くなっていく。


「……文、お前」


「えっ?! 連、これはその、別に深い意味はないのよ? ただ単純にあややややッッ?!」


既に文のキャパシティは限界を迎えたその時だ。

岬影の手が文の肩へと置かれ。


ーーそして。


「それ聞いたら、山の男天狗共が泣くぞ?」


「……え?」


「お前も少しは仲間内のコミュニケーションをだなぁ」


「えーと」


ポカンとした様子の文を他所に岬影の話は続く。


「特に親しい男が俺だけって仮にも一人の女天狗としてどうなんだそれは」


「あぁ、うん。そうよね、アンタはそう言う奴だものね、ったく一人で動揺してた私が馬鹿みたいじゃない」


「何でそんな今更なことで動揺する必要があるんだよ」


これはもう一発ぶちかましても許されるのではなかろうか、と文は考えるが。


「俺にとって“特に”親しい女ったら当てはまるのはお前と……連華ぐらいだしな、普通に親しい奴なら話は別だが」


「……そう。今はそれで許してあげるわ、今わね」


「なんだ? そりゃ」


「気にしなくていいわよ、朴念仁の連は特にね」


「何か言ったか、アホ鴉」


「言ったわよ、バカ人形。

さぁ、手加減してあげるから本気でかかってきなさい!」


「上等だ、手加減しながらぶっ潰す!」


彼女にとってはこれはこれで、悪くもない日常なのだ。



▲▼▲▼



「いやぁ~、ラーメンはお粗末さまでしただけど、痴話喧嘩はご馳走さまでしただねぇ」


『先ずはオマエ(アンタ)が吹き飛びやがれ(なさい)ッッ!!』


ーー南無三。

岬影にとって文は一番の親友で、連華は一番の家族。


他の方々は友人~親友枠です。まぁ亡霊のお姫様はまた別枠何ですけどねぇ。


六月は定期考査があるので更新回数が少なくなると思います。


それでは、また次回。



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