絡人繰形店ーー唐傘お化けと悩み事
今回は連華が主役の二本立て!!
明日から平常運転とか言った矢先に何やってんだ俺?!
大きな紫色の唐傘お化けに水色と赤のオッドアイが特徴の少女、付喪神・多々良 小傘は悩んでいた。
それこそ人生最大の悩みと言うに相応しい内容でだ。
現に、相談があるの、と言って絡人繰形店から引っ張ってきた親友の連華も真剣な表情でこちらを見つめている。
そして……
「……どうやったら、もっと人間を驚かせるのかなぁ?」
「まだ諦めてなかったんだ小傘ちゃん、後悩んでる顔も可愛い!!」
「もぉー真面目に考えてよ連華!!、これは"しかつもんだい"なんだよ?」
ひらがなに聞こえた気がするがそんな事はない、無いんだってば。
本来、唐傘お化けである小傘は人を驚かし、それで腹を満たすタイプの妖怪だ。
しかし外の世界ならいざ知らず、ここは幻想郷。
文字通り幻想が生きるこの場所において、今更ただ驚かした程度でビックリしてくれる親切な人間などいない。
そればかりか。
「最近は驚かそうとしても全然上手くいかないし、八百屋を驚かしたら野菜をくれたし、魚屋に行ったらお魚をくれたし、寺小屋に行ったら子供達に懐かれるし、呉服屋に行ったら服を直してくれるし〜〜!!」
バン!!と机に手を叩きつけ。
「あそこの人間たちは私を何だと思ってるの?!私は妖怪なんだよ?!小さい女の子みたいな扱いをするなんて……」
全くもう、とぼやく小傘に連華は柔らかい笑みを浮かべ。
「んーでも可愛さは正義だしね、きっと人里の人達も一生懸命な小傘ちゃんに何かしてあげたいんだよ」
妹をなだめる姉の様な口調で語りかける連華。
前半の言葉さえ無ければ……いや言うまい。
「だったら素直に驚いてくれればいいのよ」
「いやでも可愛いし」
そう、それなのだ。
物陰から自慢の傘をさして飛び出た時の人間達の反応が。
初対面だと。
「おやおや、可愛いお嬢ちゃんだね」
顔見知りになると。
「おぉ、小傘ちゃん!!丁度よかった今日はいい野菜がたくさん取れたからね、これ持って行きな」
だめだ、これでは駄目なのだ。
こんな[人間を驚かす程度の能力(笑)]に甘んじている場合ではない。
……私は
「顔を見ただけでも驚かれるような、そんな妖怪になりたいの!!」
そう言う小傘の姿が岬影に認めて貰おうと努力する自分と重なって……
ーー力になってあげられるかな?
いや、ならなくては。
こんなに一生懸命な友人の為にも。
連華は机の上の小傘の手を取ると。
「あのね、小傘ちゃん。
それなら一人いい相談相手がいるんだけど……」
▲▼▲▼
「……それで私のところへ来たという訳なのね?」
「はい!!幽香さんなら何かポイントを知っているんじゃないかと思いまして」
「連華ぁ~、やっぱり帰ろうよ。何か機嫌も悪そうだし」
ところ変わってここは太陽の畑。
その一角に位置する、大妖怪・風見 幽香の住居だ。
小傘の、顔を見ただけでも驚かれる様な妖怪、からピンときてやって来たらしい。
幽香は内心で溜息を吐くと。
「明らかに人選ミスよ連華、それとそこの貴方、小傘と言ったわね内緒話をするならもう少し小さな声でしなさい」
ビクッッ!!となっている小傘を無視した連華は。
「でも、人里のお花屋さんに行くと皆幽香さんの顔を見ただけで驚くじゃないですか」
どうやら、岬影とは一度店員の指導についてジックリと語り合う必要がある。
そもそも、彼女のあれは驚かれる……と言うより寧ろ恐れられていると言った方が正しい。
しかし、流石の幽香も真顔でこう言われると邪気が抜けてしまう。
と言うより真面目に相対するのが面倒になってきた。
と言う訳で。
「私よりも、ご自慢の店主に相談した方が話は早いわよ、何だかんだで良い案を思いつく筈だし」
厄介事はまとめて岬影に押し付けようとしたのだが……
「いえ、今回は連様の力に頼らず私達の力で解決したいんです。
ね、小傘ちゃん?」
そう言い切った連華に小傘は頷くと。
「そうよ!!岬影には"ぱわーあっぷ"した私の最初の犠牲者になってもらうんだから!!」
やたらと張り切る二人に幽香は今度こそ溜息を吐き。
ーーどんな心境の変化なのかしらね、この子が岬影を頼ろうとしないなんて
「……仕方ないわね少しだけレクチャーしてあげるわ、その後は自力でどうにかしなさい」
成長を続ける一輪の花の友に助力するのであった。
うちの幽香にはお母さん属性がオプションでついていますがオンかオフかは相手による。……というか連華にだけ。
それでは恒例?の文々。ニュースとのクロス!!
▲▼▲▼
えーき「こんにちわ視聴者の皆さん、では今日も早速地獄ーー『閻魔様に人生相談』を開始したいと思います、相談役のえーきです」
れん「同じく相談役のれんだ、ってか何で俺まで呼ばれたんです?小町にやらせりゃいいでしょうに」
えーき「この作品の主人公が出なかったら意味がないで……」
れん「ちょっストップ!!そこから先は言わせねー!!」
えーき「いいじゃないですか後書きなんですし」
れん「最低限のキャラは保って下さい!!」
えーき「では最初の相談です」
れん「聞けよ俺の必死のフォロー!!」
えーき「ペンネーム、クリーム林さんからの相談です『実は僕の上司、普段はとっても良い人なんですけど変なあだ名をつけられちゃって、どうにかならないでしょうか?』」
れん「どっかで聞いた様な話ですね、しかもごく最近俺の店で、どうするんです?」
えーき「どうにもなりません、さっさと気に入って下さい」
れん「一方的すぎんでしょ?!相談に乗るどころか一瞬で切り捨てましたよね!!」
えーき「それでは今日の相談はここまで、相談役の機嫌が悪いので早めに終了とさせて頂きます」
れん「どんな独裁番組なんですかこれ!!それとそこはせめて具合が悪いと言って……」
えーき「また次回お会いしましょう!!」
れん「やりたい放題だなアンタってイッテェェェッッ!!」
えーき、って打つ度に「A級戦犯」に変換されて笑が止まらんww