絡人繰形店ーー宵闇と幻想入り
今回は自分の東方仲間が考えたオリキャラ が幻想入りします、これ以上オリキャラを出す事には抵抗があったのですが、原作キャラとの絡みもあるのでまぁいいかなぁと。
投稿時間が遅いのは二人で打ち合わせをしていたからです、明日はいつも通り……のハズだ!!
そして後書きにて重大なお知らせが!!
神隠し。
神域である山や森で、人が行方不明になったり、街や里からなんの前触れも無く失踪することを、神の仕業としてとらえた概念。
因みにこの神隠しの「神」とは神奈備、神籬、磐境などに鎮座する抽象的ないわゆる古神道の神だけでなく、天狗に代表される民間信仰としての山の神や鬼・狐・河童などの山や原野に関わる妖怪の類などもある。
また、子供があってしまう伝承も多いことから、子供を亡くした雨女という妖怪の仕業とも伝えられており、各地に神隠しを行う妖怪の存在が伝えられている。
……とまぁ、「外の世界」で言う処の神隠しについて語るとこんなとこだろうか。
もっとも、本物の神隠しを知る者の視点から見れば思わず噴き出す様な思量が足らない考察なのだが。
神隠しの真実とは、幻想郷を守護する二つの大結界。
即ち幻想郷内に、外の世界で忘れられ幻想となった生き物や道具を引き込む「幻と現実の境界」、そして論理的に思いを通さない壁として機能する「博麗大結界」の存在によって引き起こされるもの。
外界において周りの人間から忘れられた者や、結界の緩みに誘い込まれた者が、幻想郷へ流れ着く。
外の世界からすれば、あたかも蒸発したかの様に映るだろうが実際は幻想郷へと行き着いている。
これが神隠しの真実だ。
そしてその「外界から幻想郷へやって来た人間」を幻想郷では略して外来人と呼称しているのだが。
これは、そんな奇妙な現象に巻き込まれた外来人が、これまた奇妙な店のドアを叩き……そこから始まるやっぱり奇妙な物語の、その序章である。
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少年は走っていた。
ーーなんで
暗く黒い山の中を。
ーーなんでボクが。
何かに追われるように……というか追われているのだが。
「なんでボクがこんな目にあってんのーー?!」
「あはははーー!!待て待てぇ!!」
肩まで伸ばされた黒髪ストレート、スラリとした体型に綺麗に整った指先もあいまって少女に見えなくもない少年。
濃紺のセーターに青のジーンズを着込んでおり、彼が幻想郷の住民ではない事を教えてくれる。
そんな少年の後ろを飛んで追うのは、金髪のショートボブに深紅の瞳を持った妖怪幼女だ。
はたから見れば微笑ましいかもしれないが、本人達は……少年は大真面目である。
ーーどうしてこんな山の中にいるんだ?ボクは…ボクは確か……
見知らぬ山の中。
突然そこにいたと思えば「貴方は食べていい人類?」だ、逃げない方がどうかしている。
ーー確か…あの時……ダメだ思い出せない
「ほらほらーもっと早く走らないと…追いついちゃうよ?」
ゾワッ!!
背中から噴き出す嫌な汗がセーターに吸い込まれて行く。
後ろを見るとほんの数mの位置に妖怪幼女が迫っていた。
振り上げられる鋭い爪を持った腕。
ク・ワ・レ・ル
脚を必死に動かすがどう考えても避けられるタイミングではない。
ーーあっ、し、死……死ん…….………あれ?
だがおかしい、いつ迄経っても痛みが襲ってこない、自分の脚はまだ動いている。
そればかりか金髪少女の姿もない。
「…….今のは」
何が起こったのかは全く分からないがとりあえず生きている。
次に何がやって来るか分からないこの状況、少年は人を探すために再び歩き出した。
「……逃げられた」
ポツンと一言を零したのは、白黒の洋服に赤い頭に結ばれたリボンが特徴である宵闇の妖怪、ルーミアだ。
久しぶりに見つけた外来人"で"遊んでいた彼女なのだが……
目の前にある砕けた大きな岩石。
あの黒髪の少年が消え、代わりに現れたのがコレだ。
シン、と耳を澄ませば夜の森に削ぐわない足音が南西の方角から聞こえてくる。
どうやらそう遠くない所にいるらしい。
それを確認したルーミアは嬉しそうに笑うと。
見た目相応のあどけない表情を消し去り。
「能力持ちの外来人……か、面白いじゃない、本当の意味で楽しめそうだし」
獲物を狩る者の顔で…そう、呟いた。
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バンバン!!
深夜の絡人繰形店のドアを叩く音があった。
出来ることなら無視して眠っていたい岬影だが、連華は最近命蓮寺の墓地に居候している小傘を訪ねているし、無視した程度で諦めるような輩は最初からこんな事はしない。
ーーまた咲夜の奴か?
彼女の営業時間を無視した来店はこれが始めてではない。
まぁ彼女の主が主なのだし、仕方がないと言えなくもないのだが。
すると、そんな岬影の心に悪戯心が芽生えた。
ーーちっくら脅かしてやるか
といっても岬影がやろうとしているのは、単に二階の自室の窓から飛び降りるだけのこと。
丁度真下が店の入り口となっている為、ドアを叩いている者からすれば突然後ろに降りてこられる形となる。
ーーま、あいつが慌てるとこなんざこの程度じゃ見られぇだろぉがな
窓枠に手をかけて飛び降りた岬影。
五メートル程の落差は一瞬で過ぎていく。
だがそこで岬影は気がついた。
「……誰だ、お前?」
「わ!!、わ、わ、わ、わ、わ、ど、何処から」
見た所、霊夢や魔理沙と同い年程度の少年だ。
但し、着ている服は岬影が霖之助と共に供養する外来人のそれに酷似している。
「単純に二階から飛び降りただけだが?」
「え、何でですか?」
客を脅かす為、とは口が裂けても言えない。
「ん、まぁなんだ、夜中に押しかけて来た馬鹿野郎の顔を見に来たんだよ」
「す、スミマセン」
申し訳なさそうに頭を下げていた少年だったが、暫らくすると思い出したように。
「あ、あの!!ボク追われてるんです、金髪の小さい女の子に、信じられないかもしれな……」
「あーまたあいつか、いいぞ少年、そこまで聞きゃ大体の予想はつく、聞きたい事は山ほどあんだろぉが今は休んだ方が良いだろう」
ここに外来人がやって来たことは過去にも何度かあった。
幻想郷内の人間と妖怪のバランスに影響を及ぼさない外来人は妖怪達のよいエサとなるパターンが多く、一歩間違えていればこの少年も同じ運命を辿っていただろう。
ーー明日にでも霊夢のとこに連れて行くか
岬影は見つけた外来人を極力、博麗神社へ送り届けている。
別に見殺しにしても良いのだが、最初の外来人を外界に返すために努力した以上他の外来人も平等に扱うのが筋だ。
「ありがとうございます、では御言葉に甘えて」
「へぇ、中々肝が据わってるじゃねぇか、普通なら色々と聞き出そうとするもんなんだがな」
少年は照れ臭そうに苦笑いすると。
「あぁ、その、なんて言うか、こんな場所なら何でもありかなぁって、今聞いても頭に入りそうにもないですし」
「はは、そりゃ言えてる、んじゃさっさと入りな、ここは絡人繰形店、俺は店主の岬影 連だ」
見かけによらず、順応力は高いようだ。
岬影が名乗ると、少年は自分が自己紹介をしていない事に気づき。
「ええっとボクの名前は……「無限[不可視の城壁]!!」……っえ?!」
遮るように宣言された岬影のスペルカードが少年に叩き込まれようとしていた弾幕を防ぐ。
「……邪魔だよ、岬影」
「はっ!!、悪いな宵闇の、こいつは俺の客って事になってんだ、回れ右して帰ってくれ」
何時の間にか接近していたルーミア。
岬影に感ずかれずにここまで近づいただけでも、彼女の力の鱗片は垣間見える。
「早いとこ店に入れ、ウッカリ巻き込みましたで死にたくねぇだろ」
岬影は少年を店の中に押し込むと。
ルーミアと向き合い。
「なんならここで朝まで俺と殺りあうか?」
「小賢しい、あんな面白い奴を放って置ける訳がない」
ルーミアからは小妖怪レベルの妖力しか感じられないが、そんなものは当てにならない。
「あいつは……"能力持ち"よ、私が黙っていても、そのうちスキマ妖怪が出てくる、ああ、この時期ならあの"人間"が来るのか」
「…….能力持ち、ね。
お前が言うなら間違いねぇんだろうが、その辺りは俺が悩むべき所じゃねぇな、つーかお前と殺るのは疲れるし、黙って帰ってはくれねぇのか?」
しかしルーミアは威圧的な笑みを浮かべ。
「冗談、偶には暇潰しの相手になってもらわないとね!!」
「ったく、面倒臭ぇな!!」
直後、周囲一体が闇に覆われ、その闇は朝まで消える事なくそこに在り続けた。
▲▼▲▼
「だ、大丈夫ですか、岬影さん」
「割と無理っぽいな……あの野郎途中からリボンを取りやがって、黒峯の旦那が止めに来なかったら一生朝日が拝めなくなるとこだったぜ」
結局、黒峯が仲裁に入るまで戦う羽目になった岬影、体は直ぐに再生するが精神的疲れは岬影にはどうしようもできない。
「そぉいや、まだ名前を聞いてなかったな」
名乗る途中でルーミアが割り込んで来たせいで、少年の名前を聞きそびれていた。
少年は若干緊張した様子で。
「あ、はい、ボクは紅林 大虎です、名乗り遅れてスミマセン」
「……偽名か?」
「何故に?!」
ーーいやぁまぁだってなぁ
「凄まじいまでに名前負けしてたからな」
「……言わないで下さい、この世から消えたくなるんで」
………………沈黙が痛い。
そんな訳で、大虎にこの世界の概要を説明し二人が博麗神社に向かったのは、太陽が真上に登ってからであった。
切り方が妙ですが一応三部作のつもりなので、この辺りで切るのが妥当かと。
そして待ちに待った(俺が)重大なお知らせ。
夜光 沙羽さんの執筆する東方MX 文々。ニュースとうちの絡人繰形店が後書きにてクロスする事となりました。
文々。ニュース……現実のニュースの内容と東方キャラがコラボ?!我が道にテンプレなどいらぬ!!という方は是非。
↓
http://nk.syosetu.com/n3384x/
それではクロス開始!!
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幻想郷に「てれび」という映像を映し出す奇妙な箱が広まり早数ヶ月。
現在では河童技術研究所放送部の面々により各チャンネルが充実したものとなっており、多くのレギュラー番組が熾烈な視聴率争いを繰り広げている。
一例をあげると。
紅魔館ーー「レミリアのパーフェクトカリスマ教室」
白玉楼ーー「剣道の極意……もとい大食いの極意」
永遠亭ーー「家庭で出来る治療の基礎基本」
地霊殿ーー「正しいペットの躾け方」
命蓮寺ーー「妖怪と遊ぼう」
人里ーー「慧音先生は見た!!」
地獄ーー「閻魔様に人生相談」
守矢神社ーー「信仰とは何か」
今日はその中でトップを爆進する人気番組、妖怪の山ーー「文々。ニュース」の内容によって起きた悲劇の物語について話そう。
「連!!どういう事よこれは!!」
そう叫んでいるのは、清く正しい(笑)射命丸 文だ。
結界に行動を制限された彼女の前には、一ミリも微笑んではいない笑顔の岬影の姿がある。
「ん?どういう事だって?人のプライバシーを全幻想郷に向けて放送したくらいじゃ俺は怒らないぞ?」
「私は常に真実を放送しているのよ、大体、そんなに知られたくないような黒歴史を築く方が悪い」
「もう一回言ってみろこのアホ鴉!!てめぇの編集部に殴り込みに行くぞ俺は!!」
「上等よ、本人の口からその黒歴史について洗いざらい吐いて貰うのも面白いわ!!」
「なんだと?!」
「何よ?!」
以上、八雲家ーー「ことわざ講座」今回のテーマは「夫婦喧嘩は犬も食わない」でした、次回は「紫ぃぃぃぃぃ出て来いいいぃぃ!!!!!!」
終われ。