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絡人繰形店ーー青巫女と店員

常識破りのお話……あれ?いつもそんな感じな気がするのは気のせいか?


「幻想郷に一信仰!!守矢神社を宜しくお願いします!!そこの無信仰のあなた!!これを機に守矢信者(モリシタン)になってみては如何でしょうか?!」


「すみません、私にも理解出来る言葉で話して頂けますか?」


絡人繰形店、店内にて太陽の様な明るさで洗脳……ではなくせっせと布教活動に励んでいるのは紅巫女と表現される霊夢に対し青巫女と評される現代っ子の現人神こと東風谷(こちや) 早苗(さなえ)だ。


そんな彼女にドライアイスの様に冷たい言葉を叩きつけているのは、岬影から店番を頼まれた連華である。

岬影が半径50m以内に居るか居ないかでは性格が180度変化する彼女。

その温度差はマグマと液体窒素にも勝るとか、勝らないとか。


「今ならなんと八坂様の御加護が20%に一色添えて30%増量中です!!」


「何処ぞの兎詐欺のような売り文句……貴女それでも巫女なのですか?同じ誰かに使える身としては信じられない事なのですが」


「……えーと連華さんの双子さんだったりしますか?それと私の役職は巫女ではなく風祝です」


「心の底からどうでもいいマメ知識ですねもう忘れたので良いですけど、それとここの主は連様ただ一人全ての決定権は連様の物、そうだというのに連様の居ないこの時を狙って来るなんて守矢神社も格が落ちたものですね」


「っな!!」


比較的温厚な性格の早苗だが、彼女が慕う二柱を侮辱された場合にはその限りでは無い。

いざ報復せん、と霊弾を打ち込もうとする……が。


「………!!まぁせっかく来て頂いたのですし、連様がお戻りになるまで待ってみてはどうでしょう?私お茶を注いできますね、実は先日霧雨道具店の旦那様から新茶を頂いたんですよ~」


いきなり、何の前触れもなく普段通りの彼女に戻ったせいで出だしを挫かれた早苗、集約していた霊力は立ちどころに霧散する。


ーーええ、分かっていますとも。

この幻想郷では常識に囚われてはいけないのですね!


こうして着実に幻想郷色に染まっていく早苗であった。



▲▼▲▼



連華の豹変ぶりから予測できる事なのだが、あれから一分も経たずに岬影は戻って来た。

戻って来た…のだがなにやら機嫌が悪そうに見える。


ーーったく慧音のヤロォあんぐらいで怒るかよ普通。


どうやら人里へ行っていたらしい岬影の脳内にあるのはつい先ほどの出来事だ。

よってかかる子供達から受け取った遊具の類いを、機嫌がよかった事もあり片っ端から直してやったのだが、慧音曰く。


物を大事にしない子に育ってしまったらどうする!!


とのこと、確かに一理あるのだが岬影からしてみればちょっとしたサービスだったのであって通常であれば決してそんな事をしたりしない。

そんな訳で彼女と言い争いをしたまま分かれて来たのであった。


まぁ岬影が幻想入りしてしばらくは、そんな事は日常茶飯事だったので双方そこまで気にしてはいないのだが……少なくとも岬影は。


ーー取り合えず、明日も顔を出しに行くか。


一応結論づけた岬影の意識が現実に戻ると、そこには見覚えのある風祝の姿が。


「今代の東風谷(とうふや)じゃねぇか、どうしたんだ?」


「怒りますよ?というかワザとですよねそれ!!」


ーーおい東風谷(とうふや)!!


ーー誰がとうふやだこの阿呆人形!!封印されたいのか!!


500年前と同じやり取り、返ってくる答えは違えどもそれ程時の流れを感じさせぬ心地良さがそこにはあった。

しかし、今の岬影にそれを譲受するつもりは全くなかったが。


「冗談だよ、そんでここに来だって事は修理の依頼か?」


「いえ、私がここに来たのはこの店に神の御加護を与えるためです!!幻想郷に一信仰!!…………」


この曲がる事の無い布教魂は霊夢も見習うべきなのではないのか、心底そう思った岬影はきっと正しい筈だ。


ーーにしても愛されてるよなぁあの二柱は、本当に。

ただこちらにも事情というものがある訳で。


「わざわざ来てくれたっつーのに悪いが、この店の方針は絶対中立。

全ての存在と同じ距離を保たなきゃならねぇ、だからこの店で信仰ってのは無理が……」


「大丈夫です!!そんな方々の為に隠れ守矢信者(かくれモリシタン)の手引書もここに」


「そんなんで紫とダンナの目を誤魔化せるなら苦労しねぇよ」


流石に紫の名を出すとこの件の重要さがわかって来たらしい。


「そ、それなら私の能力で……」


訂正、全く分かっていなかった。


「常識に囚われない程度の能力……だったか?」


「奇跡を起こす程度の能力です!!」


バン!!とカウンターに叩きつけられた早苗の手、気のせいかそこから微弱な風が吹き始め……


「貴方に神を信じる心があれば奇跡はそこに起こる!!」


「いや信じるも何も本物がいるのに疑う余地なんかねぇだろ……ってか風の勢いが強くなってきてねぇか?!」


しいていうなら、フワァーがブワァァァーーー!!に変化していた。


「えーと、起きちゃいましたね奇跡」


「これじゃただの災害だろおおぉぉぉぉぉォォォ!!」


その言葉を最後に絡人繰形店は突如発生した竜巻により崩壊を迎えた。

とっさに連華のいる台所に結界を張ったのは、岬影のファインプレーである。



▲▼▲▼



「……くそ、なんで幻想郷にはまともな巫女が一人も居ないんだ?」


全くもってその通りなのだが、そういった類いの文句は博麗神社の神に言って欲しい。



▲▼▲▼



その後、人里の人間から話を聞いて心配した慧音が駆けつけ、早苗の頭にエターナルフォースヘッドバットが決まることは言うまでもあるまい。




連華は別に猫をかぶっている訳ではないんですよ、岬影といる時が素であれは所謂ダークモード的な?

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