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絡人繰形店ーー人形と革命

三日連続更新!!

うう、結構疲れました主に頭が。


今回は作者一押しのあの子がでます。

サァーーーーーー


穏やかに吹く風が白い花々を揺らし幻想的な風景を生み出す。

ここは無名の丘。

妖怪の山から人里を挟んで反対側にある鈴蘭の楽園、無尽蔵にばら撒かれる鈴蘭達の毒は一切の敵の侵入を許さず、何人たりとも花に危害を加える事など出来はしない。


一面を覆い尽くす鈴蘭達からは今にもチリンチリン、という鈴の音が聞こえて来そうな、そんな場所だ。

場所によっては毒の薄い箇所もあり、さして強力な妖怪がいる訳でも無いので鈴蘭摘みには最適である。もっとも、わざわざこんな所にまで鈴蘭を摘みに来る物好きがいるとは思えないが。


それに人間達がここを訪れないのにはもう一つ理由があるのだ……



▲▼▲▼



「これより第27回"人形革命団"の定期会議を行うわ。

進行役はこの私人形革命団、団長のメディスン・メランコリーが勤めさせてもらいます」


ここは無名の丘、又の名を鈴蘭畑。

その中央に位置する空き地に堂々と居坐りツッコミどころしがない発言をぶちかましたこの少女。


名はメディスン・メランコリー。

小さなスウィートポイズンの異名を持つ無名の丘の実質最高権力者である……こう言うととても偉く見えなくもないが、彼女の他に住人など存在していないのだから当たり前のことだ。


そんな彼女の両脇には


ーーまずったな"指導者が指導者であるための十の掟"なんて本、面白半分に貸すべきじゃなかったか。


などと後悔している無限人形、岬影 連と…


ーー参ったわね"フランス革命に関する文献"なんか安易に見せるべきではなかったわ。


そんなことを今更ながら悔やむ、七色の魔法使いにして幻想機屈指の人形使いアリス・マーガトロイド(ありす まーがとろいど)の姿があった。


「おいメディー、なんか面倒なことになりそうなんで帰っていいか?」


「ちょっと連、一人だけ逃げるなんて許さないわ」


「ニゲラレルトオモウナヨ!!」


「二人共!!団長の私が喋ってる間は静かにしてよ…じゃなくて、しなさい!!」


ーーやっぱ帰りてぇ。

そう思う岬影の両隣りには逃がさん、とばかりにランスを構えた上海人形とフランベルジェを持った蓬莱人形が陣取っている。

しかも注意して確かめると辺りの鈴蘭の影にはアリスのコレクションたる人形達がスタンバイしていた。

[人形を操る程度の能力]によって彼女の思うがままに行動する人形達の包囲網、下手に突破を試みれば必ず痛い目に合う事は間違いない。


思わず睨みを訊かせた視線を送るが当の本人からは逆に睨み返された。


(なに一人だけ逃げようとしているのよこの薄情者)


(ならメディーの暴走を止めろよ)


(……それは貴方の仕事でしょうが)


(そんな設定知らねぇーよ!!)


※アイコンタクトです。

以心伝心って憧れますよね。


「とにかく!!自分勝手で卑劣な人間達の手から人形達を解放し人形達の地位向上を確立させる為には…」


「……あのーメディ?」


「メディスン団長」


「あのねメディスン一つ聞きた……」


「メディスン団長!!」


なにやら涙目のメディスンにアリスはしょうがないわねぇ、とでも言いたげな表情で話を始める。


「メディスン団長、一つ聞きたい事があるのだけどいいかしら」


「なにかしら?戦闘部門担当のアリス団員」


吹き出した岬影の脇腹に上海のランスが突き刺さるのを確認、質問を再開するアリス。

身を屈めてメディスンの鮮やかな水色の瞳と視線を合わせる。


「どうして急にこんな事を言い出したの?」


その事は岬影も聞きたかった事だ。


「……それは」


メディスン・メランコリー

彼女は元々この無名の丘に捨てられていた一体の人形であった。

一体どの様な経緯で彼女が捨てられたのかは検討もつかない、けれどメディスンからすればそれは人間を恨むのには十分すぎる理由である。

そして今の彼女には永年溜め込み、自身の原動力でもある鈴蘭の毒がある。


現に岬影が初めてメディスンとであった時もそうであった。

出合い頭に毒を食らわされ、自分も似た様な存在である事を教え五分で和解。

妖怪と言っても中身は純粋な子供の様な物、まぁだからこそ人形の為に革命だ何だと言い出したのだろうが。


(四季様に説教を食らって、近頃は永琳の仲介で薬屋とも交流があるはずだ、なにより最近はずっと落ち着いていたしな)


うつむいていたメディスンの口から言葉が漏れ出す。


「……同じだったんだもん」


「…え?」


「アリスが見せてくれたのに書いてあった人間達と同じだったんだもん!!」


見た目通りの子供ような声でメディスンは語る。

王の圧政に苦しんでいたフランスの人民と、人形。

幼い彼女の眼には両者が置かれていた環境が同じ様に映ったのだろう。


「人間なんて皆そうなのよ!!飽きられて捨てられていく人形がどんな思いで……どうせ人形だから?喋らない道具だから?違う!!この子も!この子も!この子も!皆悲しんでるわ!!」


懐に持っていたのであろうボロボロのヨレヨレになった人形を取り出していくメディスン、薬屋からの帰りに見つけたのだろうか、どれも泥に汚れ布が裂け中身の綿が飛び出していた。


「……メディー」


「何よ」


「いや、その悪かったな」


「……え?」


ーー何が、と問おうとしたメディスンの頭に岬影の手が置かれる。


「俺はてっきりこの間貸した本に感化されて、こんな事をおっ始めたのかと思ってたんがよぉ」


話を聞いてみれば何だ。


「お前がここまで考えてたとは思ってなかった、これじゃ友人失格だなぁおい」


「そんな事ないわよ!!岬影はいつもスーさんの面倒も見てくれるし、それに…」


「なんだかんだで連はメディには優しいものね?」


「黙れよアリス・マーガゾイド」


「貴方それワザとでしょ」


「二人共ストォォーーッップ!!」


メディスンそっちのけで火花を散らし始めた二人の間に割り込む小さな影。


「団長であるこの私を差し置いて喧嘩を始めるなんて許さないわよ!!」


そこにいるのは嬉しそうな顔をした我らがメディスン・メランコリー団長だ。


「悪い悪いメディスン団長」


「ま、今回は見逃してあげる。

その代わり回復部門担当の岬影団員、貴方に命令を言い渡すわ!!この子達を直しなさい」


何やら吹っ切れた様子のメディスンを見て岬影は答える。


ーー了解したぜ、メディスン団長。



▲▼▲▼



「それにしても人間の…いや妖怪の成長ってのは早いもんだよな、あいつはぜってぇ将来大物になる」


「連の感は全く当てにならないけど、その意見にはつくづく賛同するわ」


所変わってここは魔法の森、マーガゾイ……マーガトロイド邸。

以前岬影の依頼していた連華の冬服が完成していたので受け取りに来たのである。


「お、相変わらずいい仕事してるなぁさしずめマーガトロイドブランドっていた所か」


「それは褒め言葉と受け取っていいのかしら?」


「どうぞお好きな様に解釈してくれ、んじゃ俺は帰るぜ紅茶ご馳走さん」


「ああ、待ちなさい連ちょっと面白い物を作って見たのだけど、貴方の店のマスコットにしたら面白いかと思って」


引き止められた岬影はそれは確かに面白そうだと後ろを振り向く……そこには。



丸いボディ、黒い髪、にやついた口、ふてぶてしい目、どっかで見た事ある様な顔を引き伸ばして丸く整えたような全体像。


分かりやすく説明するのであれば。


ゆっくりしていって「キメェェェぇぇぇぇぇ!!」



後日、アリス宛に岬影が腕によりをかけたゆっくりアリスが届き、それを見て大爆笑した魔理沙に後日ゆっくり魔理沙が届きそれを見た文が大爆笑し……以下無限ループが発生するのはまた別の機会に。


ゆっくり岬影にゆっくりしていってね!!

なんて言われたら速攻で逃げますね俺は。


無限ループってこえぇ。

ん?でも幻想郷全員分のゆっくりが出来たら終わるから……あれ?無限ループじゃないような……まぁ気にしたら負けですね!!

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