茄茂泣歴史物語・中
昨晩、茄茂泣町に墜落した宇宙人、宇宙船ではねた侍に化けたが・・・
翌朝
宇宙人「結局、一泊してしまった・・・。」
役人「おお、宇多起きていたか。どうだ、お勤めの前に一緒に朝湯などは・・」
宇宙人「いや、今朝は先に寄る所があって・・・」
役人「そうか?じゃあ、また後で。」
ダダダダダ
宇宙人「誰かに、見つかる前に、早く、宇宙船を、片づけねば・・・」
町外れの野原
宇宙人「昨日の男は、起きた形跡なし。宇宙船は・・・あったあった。ああ、やっぱり壊れてる。仕方ない救援信号出すか、通信機、通信機。あれっ?ない・・・まずい、誰かに見つかって持ってかれたらしい・・・」
その頃衆多院家
衆多院「うーん、なんだこの機械・・・無線通信機?まさか、私より先に作る奴がいるわけないし・・・ここが、押せて、で、ここが動く・・・うーん?」
ピピピピ
その頃宇宙人本部
宇宙通信技師「んっ、なんだこれ?」
宇宙上司「どうした?」
宇宙通信技師「調査船602号から信号が来てるんですけど、なんだかめちゃくちゃなんですよ。」
宇宙上司「どれ、見せてみろ・・・ああ、本当だ。もしかして、通信機が故障したんじゃないか?」
宇宙通信技師「じゃあ、どうします?」
宇宙上司「場所は特定できるか?一応救助隊を出そう。」
その頃衆多院家
役人B「御免、衆多院はおるか?」
衆多院「はいはい、ああ、お役人。何かご用ですか?」
役人B「先日、その方に注文した例の品物、殿がそろそろ拝見したいそうだ。」
衆多院「ああ、あれね。はいはい、今行くからちょっと待ってて。」
衆多院「ええと、調節蓋は壊れてない、よし。あっ、この機械どうしよう・・・」
役人B「どうした、早くしてくれ。」
衆多院「はいはい。いいや、懐に入れてこう・・・」
茄茂泣城
宇宙人「まいったなあ、通信機が無いんじゃ救助が呼べない・・・あの男もいつまでも気絶してる訳じゃないだろうし・・・(心の声)」
役人A「ご同役、どうした?始まるぞ。」
宇宙人「えっ?」
上役「今回は我が藩の先月の決済を出すために、経費の計算をしてもらう。各使用額はこの書類にまとめてある。では、一頁目始め!」
宇宙人「文字は翻訳機で分かるが、なんだこれは・・・この星の計算機か?使い方が分からん・・・しかし、何もしないと怪しまれるし・・・仕方ない。(心の声)」
宇宙人「6541。」
上役「んっ?」
宇宙人「一頁目、6541です。」
上役「おいおい、当てずっぽうは困るぞ。見ただけでこんなに早く計算できる訳ないだろう。」
役人A「いえ・・・立花様、本当に6541です。」
役人F「私もです。」役人D「私もです。」上役「本当か・・・?じゃあ、2頁目やってみろ。」
宇宙人「8936です。」
上役「おい、確認してみろ。」
役人A「ええと・・・はい、間違いないようです。」
上役「おいおいすごいな。では、3頁目・・・」
10分後
上役「では、以上。みんなご苦労だった。」
役人F「いやあ、宇多のおかげであっという間に終わったな。」
役人D「ご同役どうした?顔の色が優れんな。」
役人「いや、何か大事な事を忘れているような気が・・・」
宇宙人「ちょっと失礼、休憩してくる・・・」
その頃衆多院
殿様「衆多院わざわざご苦労であった。まあ、楽に致せ。早速、例の話だが・・・」
衆多院「まあまあ、お待ちくださいよ。あまり焦ると勝てる戦も勝てなくなると言います。実は、私気を落ち着ける為にお香に凝っておりまして、お殿様にもぜひ試していただきたいと思い、持参したのですが焚いてもよろしいですか?」
殿様「そうか?構わん。」
衆多院「そうですか、ではちょっと火を拝借・・・しかし、なんですねこのところ急に冷え込んだと思ったら、今日は暖かくて・・・」
その頃宇宙人 廊下
宇宙人「まったく、この擬態スーツってのはなんだってこう熱がこもるんだ・・・。よいしょっ、ああ、やっぱりこうやって風邪を入れないと・・・。」
ガシャン パリン
宇宙人「んっ?」
腰元「あ・・・あ・・・」
宇宙人「あはは、どうも・・・」
腰元「きゃああああ!」
宇宙人「まずい!」
役人C「どうした?」
腰元「お客様にお茶をお持ちしようとしたら、宇多様が皮をはいで中からお化けが・・・」
役人C「何?ははあ、何か様子がおかしいと思ったら何か妖怪の類が宇多に化けて忍びこんだ物みえる。どっちに逃げた?」腰元「あっちです。」
役人C「そうか、皆の者一大事だぞ。曲者が城内に忍びこんだ。誰か食い殺されないうちに退治するんだ!」
皆「おおお!」
続く
続きます・・・
次回、茄茂泣歴史シリーズラストです。