夢散歩
前回、豆腐に巻き込まれて知銘生の頭の中に入ってしまった宇多部長、果たしてどうなってしまうのやら・・・
苑自「それじゃあ、今回はお代は頂きませんので、またの機会に・・・。」
敬生「いやいやいや、師匠の頭の中に宇多さんを残して帰らないでくださいよ。出してあげてください。」
苑自「そうですか?別に師匠は大丈夫だと思いますけど・・・。」
敬生「いや、師匠もそうですけど、宇多さんを出してやらないと。」
苑自「そうですか?別に構わないんですけど・・・。じゃあ、平野さん出してください。」
平野「・・・」
培句「ホアアアア!」
佐藤「しゃ、社長。5日も見かけないと思ったら、まだ発狂して走ってたんですか?」
知銘生「うーん、そうぞうしい・・・今、何時だ・・・?」
平野「・・・・・ッ。」
佐藤「平野さんが起きているときは、出せないって言ってるんですけど・・・。」
敬生「えっ・・・。師匠、何かお変わりありませんか?」
知銘生「んっ?私の寝ている間に何かあったのか?そういえば、なんだか頭が少しぼんやりする気が・・・。なんで、あの人は発狂してるんだ?あっ、もうこんな時間か。準備をしなくては・・。」
知銘生の頭の中
宇多「うーん、あれ、ここは・・・?ああ、そうかさっき巻き込まれて・・・。どうしようかな・・・。」
悪魔「本当にどうしようだよね。」
宇多「だっ、誰だ?」悪魔「どうも、お久しぶりです。雪山で会って以来ですね。」
宇多「雪山?ああ、あんたあの時の悪魔か。何やってるんだ、こんなところで?」
悪魔「この度、地獄法人悪魔会社悪夢科に配属されましてね。ノルマをひとつ達成しようとしています。」
宇多「じゃあ、あの妙な夢を作ってたのお前かい?」
悪魔「そうですけど、なんで人間のあなたがどうしてこんなところにいるんですか?」
宇多「いや、かくかくしかじかで。巻き込まれて。」
悪魔「えっ?てぇことは、アゴヒゲの旦那が外にいるんですか?うわっ、じゃあ出られなくなって良かった。」
宇多「出られないってどういうことだよ?」
悪魔「さっき、出ようと思ったら、出口が閉まってて・・・。多分、この人が起きちゃったんでしょうね。」
宇多「何、じゃあお前も出られないの?」
悪魔「旦那、この人が寝たら出してあげますから、アゴヒゲさんには・・・。」
宇多「分かったよ、平野さんにはうまくごまかすよ。おや、なんだか周りの景色が変わって来たようだぞ?」
悪魔「この人の記憶が見えてるんでしょうね。」
宇多「なるほどね、道理で周りの街並みが古くなってきた。」
悪魔「あの建物は何です?」
宇多「多分、昔の茄茂泣会館じゃないか?ああ、貼り紙がしてある・・・『古来亭知銘生独演会』?そうか、独演会の時の記憶が見えてるのか・・・」
知銘生家
知銘生「なあ、本当に私の寝てる時に何もなかったか?いやに頭がモヤモヤするんだが・・・」
敬生「だ、大丈夫ですよ。きっとまだ寝ぼけてるんじゃないですか?」
知銘生「だって、普通の状況じゃないぜ。人間がひとり発狂してるんだよ。誰、あれ?」
敬生「師匠の同級生のお兄さんらしいです。培句さんとかいう・・・」
知銘生「ああ、あいつの兄さんか。あいつも随分苦労したろうに・・・」