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道楽息子と爪の垢

前回の続きです。


3日後

培句「あいつか?」

宇多「そうですね。もうすぐ、友達と別れるらしいです。」

培句「みんなちゃんと顔を隠したか?」

皆「はい。」

培句「今だ、かかれえぇ!」

優等生「だっ、誰だあんたら?」

培句「まあ、それを知られるとちょいと困るんですよ。さあ、平野さんと宇多君は両手を抑えて、佐藤さんとマドギワBは両足だよ。マドギワA、口開けて・・・お前の口じゃないよ。こいつの口だよ。佐藤茶を飲ませるんだから。」

優等生「ふががっ、ごっ。」ガクッ

培句「よし、気絶したな。苑自、例の物を採取して。」

苑自「ああ、こりゃ駄目だ。爪切ってやがる。無理です。」

培句「おい、冗談じゃないよ。ここまでのことをして、何も持って帰らないと・・・冗談じゃない事になるよ。第一手付け金も借金返済に使っちゃったんだから。」

苑自「誰か代わりにいないですかね…?んっ、誰だ?ああ、ホームレスさんか・・・ちょっと、おじさん。」

ホームレス「ふえっ?」

宇多「待て待て待て。」

苑自「何ですか、社長?」

宇多「お前何考えてるんだ?」

苑自「いや、違いますよ。ただ、あの人から爪垢をもらおうとしているだけですよ。」

宇多「違わないよ、多分そうするんだと思ったよ。駄目だよ、注文と違うじゃん。」

苑自「大丈夫ですよ、何か言って適当にごまかしてから後で本物に変えたら分かりませんよ。」

ホームレス「なんだぁ?人を呼んでからゴショゴショ話し込んで?ワシになんか用かぁ?」

苑自「ああ、おじさんねぇ。これだけ出すからちょっと分けてもらいたい物があるんだけど・・・。」

ホームレス「んっ・・・?こんなに・・・!でも、これと言ってあげられる物はないぞ。」

苑自「なあに、命を取ったりはしませんから安心してください。ちょっと、手をもらえますか?」

ホームレス「手かい?こんな汚い手でいいなら・・なんだ爪の垢取ってくれるのか・・・それだけでこんなにくれるの?」

苑自「なあに、ちょいと爪の垢が高く売れる理由があるんですよ・・・」


金子家

金子「ありがとうございます。助かります。」

苑自「あの、最初のうちはうまく効果が出ないかもしれないんで、何かあったら連絡してください。」

金子「はい、分かりました。どうも。えーと…爪垢を入れて、付属の粉末を小さじ一杯、60度のお湯を入れてよくかき混ぜる・・・か。」

10分後

金子「出来た・・・これをお茶にでも混ぜて飲ませる、と。倅や、倅。」

倅「なんだい、親父。またお説教かい?」

金子「お説教かいって、なんか言われるような事があるのか?」

倅「いや、知らなきゃいいんだ。真実はときに人を傷つけるんだ。」

金子「何やったんだよ・・・まあ、座りな。そもそも、お前のねぇ…クドクド…お前の使った銭を計算したら…ガミガミ…飲んだな。」

倅「あっ、なんだこれ・・・?頭がぼうっとして・・・具合悪いのかな…?ふう−っ、はああああ。」

金子「ああ、びっくりした。どうした。」

倅「お、お、おとっつぁん。さっき言ってた俺が使った銭ってのはいくらだっけ?」

金子「しめしめ、効いてきやがった。今まで自分で使った銭のことなんざ気にしたことなかったからな。(心の声)ここに書いてあるよ。」

倅「ひぃ、ふぅ、みぃ・・・ひええええ、0がこんなに沢山・・・うまい棒がひぃ、ふう、みい、あわわわわ、こんなに買える。くわばら、くわばら。」

金子「・・・少しおかしくなって来たよ。お前、今日どっかに行かないのかい?」

倅「と、申しますと?」

金子「いや、だからいつも夜遅くまでどっかに遊びに行ってうちに帰って来ないじゃないか。」

倅「なな何考えてるんですか、せっかくこんなに暖かいうちにいるというのに、わざわざ寒い中、帰らないで路肩で寝ろだなんて・・・夜、外で寝る事がどれだけ危険か知ってるんですか!」

金子「別に誰も路肩で寝ろだなんて言ってないよ。じゃあ、どこにも行かないんだな。そうかそうか・・・。」

3日後

プルルル

苑自「はい、有限会社野丸です。ああ、金子さんですか。」

金子「あの、大人しくなったのはいいんですけど、いろいろと困る事が出てきたんですけど・・・。」

苑自「何かありましたか?」

金子「商売を教えようと思って、桁の多い取引の書類を見せると、びっくりして目ぇ回しちゃうし、取引先においてあるお菓子やなんかをやたらに持って帰りたがるんですよ。」

苑自「そうですか。」

金子「いや、そうですかじゃなくてどうにかしてくださいよ。」

苑自「それを今更言われても困りますよ、どんな人間だって欠点はあるんですから。サンプリングしたのがそういう人だったんじゃないですか?もとに戻す薬ならありますけど、どうします?」

金子「うーん・・・」

ガチャッ

苑自「彼はおそらく、もとに戻す薬を買うだろう。彼も頭のいい人間だから気づくはずだ、どの道欠点があるんだったら何年も一緒に過ごしたことのある相手のほうが楽だっていうことに・・・」


ええ、今回も無事書き終わりました。

ただいま、落語台本コンクールに向けて、頑張っています。

感想お願いします、相変わらず作者が寂しがるので・・・

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