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古今東西耳なし芳一(耳だけ書かなかったの巻)

前回の続きです。

今回の書き方は、なんだか落語風になりました。

借金取りA「芳一さんよぉ、いるのは分かってんだよ。」

大工「ちょいとそこのお兄さん。」

借金取りA「誰だ?お前は?」

大工「通りすがりの大工だ。」

借金取りA「大工なんぞに用はねぇ。」

大工「お前はなくても、俺はお前に用があるんだ。」

借金取り「何だい、用てぇのは?」

大工「取り立て止めろ。」

借金取り「おい、冗談言っちゃあいけねえよ。こちとら商売でやってるんだよ。」

落ち武者「やかましいわあああ。こちとら、先祖伝来の刀まで売り払ってるんじゃあああ。」

大工「なんだ、あんた来てたのか。」

借金取りA「なっ、なんだこの目が血走ったおっさん。」

落ち武者「ええい、しゃらくせえ、曲者じゃあ、であえであえ。」

大工「完全に台詞は悪役じゃねえか。」

落ち武者「今、到着したのは、安徳天皇直属の軍隊だ。」

借金取り「なっ、なんで借金取り追い払うのに、わざわざ軍隊呼ぶんだよ。」

落ち武者「かかれえええ!」

借金取り「うわあああ。」

翌晩

落ち武者「芳一殿、芳一殿。」

芳一「ああ、以前のお侍様ですか。昨晩、どういう訳か借金取りの奴らが来たと思ったら、しばらくして騒々しくなって、それからしーんとしてしまって、なんだか訳が分かりません。」

落ち武者「それは・・・。なんとか我々がケリをつけておきましたので、御安心ください。なので、今晩・・・。」

芳一「そうですか、でもねぇ・・・。」

落ち武者「なんですか、今度は?」

芳一「なんだか、今日は雨が降りそうで・・・。」

落ち武者「大丈夫だってええぇぇ。」

芳一「そんな事言ってもねぇ、この不自由な体で風邪でもひいたら、洒落になりませんからねぇ。」

姫「私からもお願いします。どうか今晩こそ・・・。」

芳一「その声のご様子だと、女性のようですな。女性に頼まれて断る法はありません。では、今晩・・・。」

落ち武者「なんだ、こいつ・・・。」


2時間後 墓地

ジャン ジャン ジャーン

芳一「ありがとうございました。」

天皇「いやあ、見事であった。芳一これから6日間、まろにその琵琶を聞かせてたもうか?」

芳一「もちろんでございます。しかし・・・。」

落ち武者「また、なんか始まった・・・。」

天皇「どうした?遠慮なく申せ。」

芳一「今晩、久しぶりに語りましたので、喉が随分疲れてしまいました。何か飲むものが頂きたいのですが・・・。」

天皇「ほっほっほ、面白い事を申すやつじゃ。これ、酒を持って参れ。」


3日後

住職「芳一さん、芳一さん。」

芳一「その声は、和尚さんですか?まあ、上がってください。」

住職「芳一さん、しばらく見ないうちになんだか、太ったんじゃないかい?」

芳一「実は、かくかくしかじかで、こんないい仕事が入ったんです。」

住職「芳一さん、もしかするとそれは、何かよからぬ者の仕業かもしれませんよ。」

芳一「そんな事ないですよ。ちゃんと、ご馳走もしてくれますし。」

住職「いや、以前にもこういう事件があって、琵琶引きが憑り殺されることがあったんです。とにかく、私の寺まで来てください。体にお経を書いてあげましょう。」


住職「ナモアミダブツ、ナモアミダブツ。あれ、耳だけ半端になりますね。」

芳一「それでも、書いたほうがいいんじゃないですか?」

住職「でも、これ途中まででも効き目があるものかね?まあ、とりあえず書きますよ。」

芳一「うわっ、くすぐったい。和尚さん、やっぱり大丈夫です。どうせ、耳だけあったところでしょうがないでしょう。」

住職「そうかい?じゃあ、万が一のためにこのお経の本を手に持ってなさい。」

その夜

落ち武者「芳一殿、芳一殿。あれ?」

芳一「ああ、やっぱり来た。(心の声)」

大工「芳一さん、どこ行っちまったんだろう?」

商人「こんな夜中に出歩く訳ないんですけどね。でも、あそこに琵琶はあるんですよ。」

芳一「しまった、仕舞うの忘れてた。あっ、これってしまったと、仕舞ったでかかってる。(心の声)フフフフフ」

大工「なんだか、どっかから笑い声が聞こえて来たぜ、おい。」

商人「なんだか、気持ちが悪いですね。」

落ち武者「だからと言って、このまま帰る訳には・・・。んっ?あの、琵琶の近くに、耳が浮いてる。」

商人「気をつけてください。私達の正体が分かったから、罠を仕掛けたのかもしれない。」

落ち武者「なんだと?我々に散々手間をかけさせた挙げ句に、罠まで仕掛けた?ふざけるな、こんな耳如きが恐ろしくて、武士が務まるか。」

グッ

芳一「イテテテテ、あの野郎、耳は大事に扱えというのに、こんなに乱暴に引っ張りやがって・・・(心の声)」

落ち武者「おや、なかなか動かんな。ふんっ!」

芳一「イテテテテ」

あまりの痛さに芳一が手足をバタバタさせると、持っていたお経の本が亡霊の体にチョンと触れる、有り難いお経の御利益か、痛みとともに落ち武者の亡霊の体がスーッと消えてしまう。

大工「おい、消えちゃったよ。」

芳一「そうか、こいつらの弱点はこれか。」

芳一は必死になって、声がするほうに本を投げるが目が見えないのでどれがお経の本か分からない。

芳一「ナモアミダブツ、ナモアミダブツ。」商人「ひええええ。」

大工「いや、えらいことになったな。」

商人「それにしても、随分いろんな本がありますね。週刊誌、写真集、なんだかほかの宗教の本までありますよ。」

大工「どうして、寺に他の宗教の本があるんだよ。」

芳一「今度は耳も書き忘れないように、きちんと清書(聖書)が必要です。」



ええ、今回も無事書き終わりました。

感想お願いします、相変わらず作者が寂しがるので・・・

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