呪いのヴィディオ
相変わらず仕事がなくて、御退屈な野丸の皆さん。一体、この会社は大丈夫なのだろうか。
培句「ああ、暇だ。」
宇多「でも、いいじゃないですか。いつもみたいに、仕事がなくて、あくせくして暇なんじゃなくて、大きな仕事を終えた後で暇なんですから。」
培句「そうだけどさ。でも、なんか・・・。あっ、そうだ。苑自君、ビデオ借りてきて。」
苑自「分かりました。じゃあ、お金ください。」
培句「あいよ。ほら。」
苑自「せっせっせっ千円ですか?いつもは、小銭で百円きっかり渡すのに、せっ千円ですか?」
培句「おつりは返せよ。」
苑自「ちっ。」
20分後
苑自「借りてきました。」
培句「何、借りてきた?」
苑自「なんか、分からないですけど、適当に借りてきました。」
培句「なになに・・・。怨・恨・霊・恐伝?」
佐藤「どうでもいいですけど、なんかすごくお札が貼られてるんですけど・・・。」
苑自「そういえば、借りる時に店員から『あーあ、借りちゃった。知ーらね。』って言ってたけど・・・。あっ、もしかして。」
宇多「どうした。」
苑自「もしかして、これ再生出来ないんじゃ…。」
宇多「なんでだよ。」
培句「てめぇ、ふざけるなよ。人の金で再生出来ない物借りやがって。」
宇多「いや、他にこだわる事あるでしょ。って、うわあああ、なんで苑自君お札はがしてるの?」
苑自「だって、このまま入れたらビデオデッキ壊れるじゃないですか。」
ガチャン
宇多「でもって、なんで再生してるの?」苑自「良かったですね。社長、再生出来ますよ。」
宇多「いや、消してよ。あれ、電源が落ちない?あれ、プラグも抜いたのに?」
佐藤「なんか、井戸が移りましたよ。あっ、手がかかった。」
宇多「来ちゃうって、これ来ちゃうって。」
ピッ
宇多「あれ、苑自君何したの?」
苑自「いや、一時停止押したんですよ。」
佐藤「なんだか、手ぇ震えてません?あっ、落ちた。」
培句「まあ、あの状態でずっと止まってたら疲れるわな。」
宇多「ああ、また来た。」
苑自「あれ、今度は一時停止出来ない?」
宇多「あああ、上がって来ちゃった。来ちゃうって、これ来ちゃうって。」
パッ
佐藤「なんかチャンネル変わりましたよ。」
培句「ああ、そういえば視聴予約してたんだ。」
宇多「何、予約してたんですか?」
培句「名作時代劇『煎餅清次』の押し込み強盗一件だよ。」
苑自「なんか、化け物が襲われてるんですけど。」
番頭「助けてくれえ。グワッ」
強盗団首領「金を探せ。1人も逃がすな。」
宇多「あっ、危ない。化け物だから死ぬとかの概念があるか分からないけど・・・。あっ、押し入れに隠れた。」
強盗団首領「証{あかし}を残すな。店に火を放て。」
メラメラ
パッ
苑自「あっ、また画面が変わった。」
培句「なんか、随分ボロボロになったな。あの化け物。」
宇多「来ちゃうって、これ来ちゃうって。」
苑自「部長、さっきからうるさいです。」
宇多「ああ、もうだめだ。」
平野「・・・・・!」
化け物「うっ」
プツッ
宇多「あれ?なんでテレビ消えたの?」
苑自「私は何もしてませんよ。」
佐藤「私もです。」
培句「私も。」
宇多「でも、なんで突然?」
向社長「あっ、いたいた。」
培句「おや、向さんどうしたんです?」
向社長「どうしたじゃないですよ。いい加減、テレビ返してくださいよ。」
培句「はいはい、でもこれちょっと・・・。」
向社長「何、ちょっと壊れてるのか?」
培句「それもちょっと、遠いですね。」
向社長「まあ、いいよ、少しぐらい障りがあったって。今、デジタルテレビのキャンペーンをやってて、古いアナログテレビを持って行くと、回収もしてくれてしかも、デジタルテレビが割引で買えるっていうから。」
培句「ああ、そうですか。その回収されたテレビはどうなるんですか。」
向社長「さあな、スクラップにでもなるんじゃないか?」
こうして、呪いのビデオの伝説は消えちまったような。
ええ、今回も無事書き終わりました。
感想お願いします、相変わらず作者が寂しがるので・・・