まともじゃない
ある夜、出張先で仕事を終えた培句社長は舐泣町にいた。
培句「やれやれ、やっとここまで来たよ。えーと、この店で『ものすごく喉が乾くキャンディ』を買って来てくれって言ってたな。」
誘拐犯兄「おい、あれにするぞ。」
誘拐犯弟「あれ?あの、今キャンディ買ってた奴?」
兄「そうだよ、見たところどこぞの社長らしい。こいつは期待出来るぞ。」
弟「あっ、そう。じゃあ、俺、声かけてくるよ。」
弟「ちょっと、すいません。」
培句「はい?どうかなさいましたか?」
弟「今、外であなたを呼んでる方がいるんですけど、なんだかご家族が倒れたとか。」
培句「えっ?」
弟「とにかく、外に車を停めてますから、急いでください。」
培句「分かりました。」
弟「さあさあ、こちらです。乗ってください。」
兄「どうも、こんばんは。」
弟「では、出発。」
40分後
兄「やけに静かだな。」
弟「あっ、寝てる。」
兄「そうか、なら今のうちに縛っておけ。」
弟「ヨイショっと、あれまだ寝てる。よく知らない奴の車でここまで熟睡できるな。」
兄「しかし、あんな手に引っかかる奴まだいたんだな。」
弟「本当だよ、今頃子どもでも引っかからないよ。」
兄「そろそろ起こしな。」
弟「おっさん、着いたよ。」
培句「うーん、りんごジュースだと思って飲んだら、麦茶だったときのあのまずく感じる感覚は何だろう?」
弟「変わった寝ぼけ方するやつだな。おっさん、着いたよ。」
培句「うん?着いたの?あれ、何この縄?なんか知らない所だな。」
兄 「いいか?あんたは誘拐されたんだ。」
培句「えっ?」
弟「今、俺らのアジトに着いたんだ。」
培句「またまた、ご冗談を・・・」
兄「嘘じゃねえよ。疑うんなら中に入ってみろよ。」
培句「いや、入ってみろって言われても縛られて動けないんだよ。」
弟「どうしろって言うんだよ。」
培句「運んでくれ。」
兄「まったく、手間のかかるやつだな。」
アジト内
培句「なるほど、映画とかでみたまんまだ。」
兄「分かったか?」
培句「分かったけど、よくまあこんな手間のかかることするね。」
弟「元置き引きだったけど、前に爆弾を持って来たことがあって、危なっかしいから商売替えしたんだよ。」
培句「はあ、色々あったんだねえ。」
兄「じゃあ、家の電話番号教えな。」
培句「携帯買ったとき人にあげちゃった。」
兄「じゃあ、知り合いの携帯の番号は?」培句「登録されてるから、いちいち覚えてない。」
兄「じゃあ、携帯は?」
培句「日帰りの予定だったから置いて来ちゃった。」
兄「おっさん、仕事何やってんの?」
培句「会社の社長だよ。」
兄「じゃあ、会社の電話番号は?」
培句「教えてもいいけど、今、電気止められてるからつながらないよ。」
弟「電気代払ってないの?」
培句「いや、払えないの。」
弟「何だよ、儲けてそうだから誘拐したのに。」
培句「儲かってねえよおおお。」
兄「なんだ、このおっさん突然?」
培句「ここんところ、うちの役立たず開発部がろくなもの作らねえから、赤字なんだよおおお。お陰で、また銀行に頭下げなきゃいけないんだよおおお。ああ、腹立つなあああ。」
弟「まあまあ、落ち着いて。」
培句「ふうーっ、ふうーっ。」
兄「なんだ、金の話したら突然。」
弟「じゃあ、とりあえず会社の住所教えてくれ、手紙だすから。」
培句「あああああ。」
弟「あっ、駄目だ。会話出来ない。」
兄「うわーっ、飛びかかって来た。」
続く
ええ、今回も無事書き終わりました。
今回の震災で被災されたかたがたに心よりお見舞い申し上げます。
感想お願いします、相変わらず作者が寂しがるので・・・