古今東西浦島太郎
毎度お馴染み昔話シリーズ今回は浦島太郎です。
子ども達「やーい、やーい。」
浦島太郎「これこれ、子ども達どうして亀をいじめるんだ。」
子どもA「だって、こいつ動くのすげー遅いんだぜ。」
浦島「なるほど。」
子どもB「えっ?」
浦島「この世の中が目まぐるしく変わる時代にあるまじき行動だ。」
子どもC「おじさん?」
浦島「おや、いいところに出刃包丁があった。これで根性を叩き直してやる。子どもが見るもんじゃねえ、あっちいってろ。」
子ども達「ウワーン、このおじさんおかしいよおお。」
亀「あっ、逃げた。あの、助けて頂きどうも・・・」
浦島「今日は亀鍋だな。」
亀「えっ、いやちょって待ってくださいよ。助けてくれたんじゃないんですか?」
浦島「助けたよ。あのままだと身が傷むから、血なまぐさくなっていけねえ。」
亀「いや、ちょって待ってくださいよ。野暮ですよ。」
浦島「野暮でいいよ。近頃、魚ばかりだったから飽きてたんだよ。それに、亀鍋好物なんだよ。」
亀「じゃあ、分かりました。代わりといっちゃなんですが、竜宮城にご招待しましょう。」
浦島「竜宮城ってなんだ?」
亀「海の中にある城で、そこで最高のおもてなしをさせて頂きます。」
浦島「怪しい。」
亀「はい?」
浦島「お前みたいな亀1匹助けただけで、そんなところに行ける訳がない。さては、お前俺を海の中に引きずりこんで窒息死させる気だな。」
亀「ギクッ、そんなわけないじゃないですか。」
浦島「今、ギクッって言ったろ。そんな分かりやすいギクッを聞いて生身でいくわけにはいかない。ちょっと、待ってろ、酸素ボンベ持ってくるから。」
亀「(心の声)チャンス、このすきに。」
1分後
浦島「待たせたな。」
亀「(心の声)畜生、なんで亀ってのはこんなに逃げるのが遅いんだ。これでも、若い頃はうさぎに勝てたのに。」
浦島「じゃあ、出発だ。分かってると思うが嘘だったら亀鍋だからな。」
亀「重っ、酸素ボンベってこんなに重いんですか?」
浦島「つべこべ、言わずに早く入れよ。」
海中
亀「(心の声)参ったな、竜宮城は本当にあるけど行ったところで俺1人助けてもらったがために、もてなしてくれるわけないし・・・」
浦島「おい、あれじゃないのか?」
亀「えっ、あっ、そうです。では、先に行って話をつけてきますんで、そこで待っててください。ただいま戻りました。」
乙姫「こら、亀。あんた仕事仕事さぼって何やってたの?」
亀「実はかくかくしかじかで。」
乙姫「何?助けたからもてなせって?」
亀「ええ。」
乙姫「いやよ。」
亀「えっ?」
乙姫「なんであんたの手落ちで、みんなが損をしなきゃいけないのさ、わたしゃやだよ。」
亀「でも、なんかしないと私が亀鍋にされちゃうんですよ。」
乙姫「なればいいじゃないの。」
亀「なればいいって、あんた人事だと思って。」
乙姫「元はといえばあんたが仕事さぼって、地上に出てたからこうなったんでしょ。亀鍋にでもなんでもなりな。」
亀「そんな生け贄みたいな・・・分かりましたよ、でも私1人だけ鍋にされるのもしゃくだから、皆さん道連れになってもらうよ。」
乙姫「どうするっての?」
亀「玉手箱のふたあけるよ。」
乙姫「あんた、そんな事したら城中に老化ガスが…分かったわよ、そのかわりあんたの給料から費用は引いとくからね。」
浦島「おい、まだか?」
亀「あっ、浦島さん。ちょうど今、話がついたところです。どうぞこちらへ。」
客間
乙姫「私{わたくし}、ここの責任者の、乙姫です。」
浦島「あんたが責任者?」
乙姫「何か御用がありましたら、何なりとお申し付けください。」
浦島「そうかい?じゃあ、早速だけどなんか食べ物をもらえるかい?」
乙姫「どのような物がお好みで・・・。」
浦島「だから亀鍋だって。」
亀「浦島さん!」
浦島「駄目なりゃ、ピザでいいよ。」
乙姫「しかし、ここにはピザを焼く設備がないのですが。」
浦島「いいよ、出前取るから。」
乙姫「いや、出前と申しましても、ここは海の底ですし。」
浦島「いいんだよ、今はそういうサービスが行き届いてるんだから。後、酒も頼んどいて。」
31分後
配達員「ちわっー。ピザキャップです。」
乙姫「遅いわよ、30分過ぎてるじゃないの。無料{ただ}にしなさいよ。」
配達員「いや、僕バイトなんで無理ですよ。」
乙姫「でも、あんたが早く来なかったせいで、寿司職人を呼ぶって脅された亀が21分間ずっとどじょうすくいさせられて、立てなくなったのよ。これでもまけないっていうの?」
配達員「いや、そんな事言われても・・・。」
1時間後
浦島「あっはっはっは、ちょっと、ちょっと。」
亀「どうしました?」
浦島「もう、腹もいっぱいになったし、酔いも回ってきたから、帰ろうと思うんだけど。」
亀「えっ、ああ、お帰りになるんですか?」
浦島「でよう、なんか土産を持って行きたいから・・・おっ、あの箱もらっていっていいかい?」
亀「えっ、あれですか・・・?あっ、どうぞどうぞ構いませんよ。」
浦島「そうか、じゃあ荷物だけまとめさせてくれ。」
亀「分かりました、では準備ができたら、お呼びください。」
乙姫「帰ったの?」
亀「ええ。」
乙姫「まあ、散々散らかしていきやがって。あれ、酸素ボンベ置いていってる。誰か、中身抜いてから捨てておきな。」
亀「あれ?」
乙姫「どうしたの?」
亀「なんか、あそこにかけてあった高い掛け軸がないんですけど。」
乙姫「えっ?あっ、本当だ。金目のものがあらかた持ってかれている。おい、あの男なんか帰り際持ってなかったかい?」
亀「そういえば、玉手箱を。」
乙姫「あの中に、入れてもっていったんだ。」
亀「でも、おかしいですね。あれをあけたら、老化ガスが出るのになんで中に物を入れられたんでしょうね?」
乙姫「なにかに詰め替えたのか・・・はっ、そういえばさっきの酸素ボンベは?」
亀「さっき、誰かがその辺で中身を出してましたけど。」
プシューーー
ええ、今回も無事書き終わりました。
作者は無事です。今は、動物愛護団体に見つからないかが心配です。
感想お願いします、相変わらず作者が寂しがるので・・・