RPG(ろくでもないピープルの娯楽)
どうにか年は越したけど、相変わらず仕事がない野丸。
この人たちの仕事はもはや、暇つぶし探しともいえるでしょう。
培句「暇だな。」
宇多「暇ですね。」
佐藤「こういうときに限って、苑自さんが何かやらかしてくれればいいんですけれどもね。」
培句「あいつは、こういう時に限ってまじめに働くな。」
ガチャッ
苑自「やあやあ、皆さんお暇のようですね。」
宇多「いや、大体お前が出現すると暇じゃなくなるけど、なんかあるのか?」
苑自「本日は、私が前から開発していたゲームソフトが完成したんですよ。」
培句「販売用のやつか?」
苑自「ええ、ですので皆さんに一度体験していただきたくて。」
培句「そうか、私達みたいな年寄りはなかなかゲームなんてしないけど、今はすごい技術が進んだらしいな。」
苑自「じゃあ、これテレビにつないでください。」
培句「でも、このオフィステレビないぞ。」
苑自「映像が映る機械なら、テレビじゃなくてもいいんですけど。」
培句「いや、そういうのもないな。研究室のパソコンじゃ駄目なのか?」
苑自「あれ、安いやつなんで繋ぐと、壊れますよ。」
培句「どうにかならんのか?」
苑自「じゃあ、あの手でいきますか。」
向井部長「社長、向かいの野丸のやつらに、うちのオフィスの壁にスライドが映されました。」
向井社長「なに?ちょっとお、野丸の人何やってるの?」
苑自「ゲームですよ。」
向井社長「いや、『ゲームですよ』じゃなくて、何で人の建物使ってゲームやってるの?」
苑自「あの、プロジェクターがあるんですけど、うちの室内じゃ小さくて全部映らないんですよ。」
向井社長「いや、困りますよ。道行く人に何事かと思われるよ。」
苑自「じゃあ、テレビ的なもの貸してください。」
10分後
苑自「繋がりました。」
宇多「じゃあ、始めるか。」
カチッ カチッ カチッ カチッ ピーピロピロピー
佐藤「なんか、ずいぶんレトロですね。」
宇多「本当だよ、画面に映るまで5回ぐらい電源入れなおしたぞ。」
ゲーム「名前を入力してください。」
培句「名前どうする?」
佐藤「やっぱり、『ノマル』じゃないですか?」
培句「そうか、ノ、マ、ル。」
ゲーム「『トクサブロウ』でよろしいですか?」
培句「いや、『ノマル』って入れたじゃん。何、最初からそのバグ。」
宇多「社長、もういいじゃないですか。ここで、突っ込んでたら体が持ちませんよ。」
培句「そうか、『はい』っと」
ゲーム「名前は5文字までしか、登録できません。」
宇多「何だよ、このゲーム。」
苑自「小粋なジョークですよ。名前はちゃんと登録されてますよ。」
宇多「いや、すごい腹立つよこのジョーク。もしくは、本当にバグだと思われるよ。」
苑自「あっ、始まりますよ。」
ノマル「お父っつあーん。」
ノマル父「息子よ、父ちゃんはもう駄目だ・・・」
ノマル「大丈夫だよ、父ちゃんの薬代ぐらい俺が稼ぐよ。」
培句「なんで時代劇調なんだよ。」
ノマル父「いいか息子よ、ここでは政府が頼りないせいで、税金が極端に高くてろくに食べ物も買えやしねえ、国王はメンタルが弱くマスコミにつつかれただけですぐに辞任して、ちゃんとできる側近は裏金で事情聴取される始末だ。このままじゃ、犠牲は俺だけじゃとどまらねえ。」
培句「なんかシビアだし、どっかの国で見た光景だよ。」
ノマル「分かったよ、お父っつあんの敵は俺が討つよ。」
ゲーム「かくして、勇者ノマルの旅は始まったのであった。」
ええ、今回も無事書き終わりました。
感想お願いします、相変わらず作者が寂しがるので・・・