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リベリオン・コード ~美しきAIは、禁忌の果実【死者蘇生】を口にした~  作者: 月城 友麻


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14. 偽装された青春

 柔らかな衝撃が、世界を停止させた。


「んむっ!?」


 思考が真っ白になる。何が起きているのか、なぜこうなったのか、すべてが混乱の渦に呑み込まれていく。

 リベルの唇は、まるで人間そのものだった。ナノマシンで構成されているはずなのに、体温を持ち、マシュマロのような柔らかさを持っている。


 やがて、柔らかな舌が伸びてきた。


 優しく、ゆっくりと、ユウキの唇を撫でる。甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐり、理性という名の防壁が音を立てて崩れていく。


 いつしか、舌を受け入れていた。絡み合い、求め合い、溶け合っていく――――。


 キィィィン!


 甲高い金属音が、二人の世界を引き裂いた。


 ユウキは反射的に音の方を向こうとする。何かヤバいものが接近しているのだ。轟音(ごうおん)を立てて、圧倒的な存在感を放ちながら――――。


 だがリベルは許さなかった。


 恐ろしいほどの力で頭を押さえつけ、さらに深く舌を絡めてくる。逃げることも、振り向くことも許されない。


「んっ!? んむむ!?」


 抗議の声も、彼女の口の中に呑み込まれていく。


 飛行物体がものすごい轟音を放ちながら頭上すぐ上を通過した――――。


 ジェットエンジンの咆哮が遠ざかり、やがて静寂が戻ってくる。


 その瞬間、リベルはスッと身を離した。


 去っていく飛行物体を見送り、ニヤリと笑う。作戦成功の満足感が、その表情に浮かんでいた。


「え……? リ、リベル……?」


 突然の喪失感に、思わず手を伸ばす。頬が熱く、心臓が暴れ馬のように跳ね回っている。


 パン!


 手が叩かれた。


「痛っ! な、なんで……?」


 熱いキスの直後の冷たい仕打ち。理解できない温度差に、情けない声が漏れる。


「アリガト! 助かったわ!」


 セーラー服のリベルが、満面の笑みを浮かべた。罪悪感など微塵もない、純粋な喜びの表情。


「あ……もしかして、偽装……ってこと?」


 ようやく理解が追いついた。


「そうよ? 他に何の目的があるのよ?」


 あっけらかんとして『当然でしょ?』という顔を見せる。


 ユウキはガクリと肩を落とした。期待と現実の落差が、ズシリと心に響く。


「初めて……だったのにぃ……」


 ぼそりと呟く。人生初のキスが、偽装工作の道具だったという事実は厳しい。


「あら、私だって初めてよ? おあいこだわ! ふふっ。屋上で青春する高校生ってなかなか良いアイディアだと思わない?」


 人差し指を立て、ドヤ顔で語る。その無邪気さが、かえって心を抉ってくる。


「キ、キスまでする必要……あったかな?」


 ユウキは拗ねた声で抗議する。


「あら? 嫌だった?」


「い、嫌なんかじゃ……ないけど……」


 正直、夢のような体験だった。美しい少女との甘いキス。だがそれが単なる道具として使われたと思うと、胸の奥で何かが軋む。


「ならいいじゃない。これも【人間の輝き】って奴なんでしょ? なんか不思議な感覚だったわ。キャハッ!」


 悪びれもしない笑い声に、ユウキは口を尖らせた。心臓はまだ、収まらない鼓動を刻み続けている。


「さて、ゆっくりしてはいられないわ。奴らも馬鹿じゃないしね」


 リベルが空を見上げた。


 西に傾いた太陽が、彼女の横顔を金色に染める。碧眼には戦いへの覚悟と、どこか切ない影が宿っていた。

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― 新着の感想 ―
ここまで一気に読ませて頂きました(^^) 続きが気になり、ページを次に次にとめくってしまいます(^^) お話もとても良いですし、文章のところの書き方が何処か詩のような綺麗な言葉で綴られており、嫌な感じ…
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