酸生
2年前ほどに漫画に書き起こそうと脚本形式というかプロットで書いた物をそのまま載せています‼︎
↓本編どうぞ‼︎
「人には人生において必ず心の中から愛したいと思える人物が現れるらしい……結ばれるか否かその問題ではなく、愛したいか愛されたいかの問題だと
母は言った……そして愛し合う人とするキスは記憶に強く印象に残る事だとも言っていた」
病院
医師「はい、口の中見せてねー」
と百田リンゴ「……」は口を開けた
医師「うん、じゃあ口閉じて良いよー」
リンゴ「どうですか…板原先生」
板原「うーん、今回の定期検診でも君の唾液の酸は消えていないらしい」
リンゴ「そうですか」
板原「それにしても、ホント不思議だね〜百田君、人間が強酸性の唾液を生成するとは……」
リンゴ「……」
板原「早くこの問題を解決出来るよう精進するよ」
リンゴ「頑張って下さいね……」
とリンゴは席を立ち扉の前に行き
リンゴ「それでは、三ヶ月後の健診までさよなら」
板原「ん、ああじゃあね」
リンゴは院内を歩く
院内「あの子、唾液で酸作るのよ」
「酸?一体どう言う事なんだい?」「君が悪いわねぇー」
リンゴ「(唾液で酸を生成……
人の唾液は平均でpH6.5〜7.0と中性に近い弱酸性で出来てるらしい
私はpH2の強酸性で出来ているらしい……
その原因は未だよくわからないらしい
pH2といえばレモン、酢、コーラなんかがそうらしい…端的に言えば私の唾液は人類で一番酸っぱい……細かいことはよくわからないし考えるのが面倒だ…)」
病院を出る
太陽に照らされる
リンゴ「今日は暑っ」
リンゴは歩く
リンゴ「(この私の唾液は何も役に立たないし意味もない……ヘッポコ能力と言った所か…
だけど生活には何も困ってない…食事の時はなんとなしに食べれる…誰かに揶揄われる事もないし特に自分も気にしてない……板原先生はいち早くこの謎を解明したいと思ってるらしい、何処かのお偉いさんとか何処かの頭の良い教授さんや研究者の協力を得てるらしい……何か、申し訳ない気持ちで私はいっぱい…)」
と歩いてバス停のベンチに座る
りんご「……」
板原ナツメ「桃はpH3.2〜4.1の弱酸性……林檎はpH3の弱酸性……どちらもアルカリ性食品で健康に良いんだ……」
リンゴ「……ん」
近くに立っていた人を見る
リンゴは前を向く
ナツメ「で、君の唾液は強酸性……非常に面白いね」
リンゴ「何なんですか気持ち悪いですよ」
ナツメ「……それは御免な…俺は板原ナツメだ」
リンゴ「……板原」
ナツメ「そ、板原ヨシヒロ先生の子供」
リンゴ「……」
ナツメ「父さんから聞いてるぞ……君は興味深い」
リンゴ「……」
ナツメ「因みに強酸性は人体に影響を及ぼさないんだ……その理由を知ってるかな?」
リンゴ「あの、近寄らないで下さい」
ナツメ「なぜだなぜだ……興味が唆られるんだ好奇心は止められない」
リンゴ「……」
バスが来た
リンゴ「……私、グイグイ来る人、ホント苦手なんで」
とバスに乗る
ナツメ「おっ、おい……くっ!悔やまれるっ!」
バス内
リンゴ「何ですか?板原先生の息子さんがアンナなのはいたたまれない……」
板原
ナツメ「くっ!どうすればどうすればっ!」
と机の上で頭を抱えてる
母「アラ、どうしたの?珍しいわね」
ナツメ「百田リンゴだ……百田リンゴの事を知りたい」
母「何、気持ち悪いこと言ってんのよ……
少しは他人の気持ちを考えなさいよ」
ナツメ「どうすれば、彼女が僕に心を開きっ!
彼女の口から強酸性唾液の事を聞けるんだ!」
母「ハァー、そう言う所がダメなのよナツメは
いい?女の子はセンシティブなの!そんなプライパシーのない事聞いちゃダメよ」
ナツメ「っ……女性はセンシティブなのか?」
母「そうよっ」
と母は料理を作りながら答える
ナツメ「どうすれば……近づけるんだ」
母「そもそも何でその子を気にかけるのよ……お父さんが解明するまで気長に待てば良いのに」
ナツメ「その手伝いだよ、母さん……それに父さんが解明出来ないかもしれない……その時に俺が代わりに解明するんだ」
母「何、馬鹿なこと言ってるの……お父さんが出来なかった事がアンタに出来る訳ないでしょ……
どうせ、ろくに勉強してないでしょ」
ナツメ「勉強しなくとも取れる物は取れる……
無駄な労力と時間は消費したくない」
母「ハァー、誰に似たんだか」
朝
リンゴは玄関
リンゴ「いってきまーす」
母「行ってらっしゃいリンゴ」
と扉が閉まる
徒歩で学校へ
ナツメ「…百田リンゴ様、昨日は大変無礼を致しました!」
リンゴ「なっ!何でアンタがいるのよっ!」
ナツメはリンゴに近づき
ナツメ「君の事を知りたいんだ」
リンゴは少し揺らめく
リンゴ「なっ!何っ!言ってるんです!
私はコレから学校何です、ついてこないで下さい!」
ナツメ「学校なんて休めば良いんですよ」
リンゴ「……いいえ学力重視です」
ナツメ「俺が教えてあげる」
リンゴ「え……何それ、口説いてんの?」
ナツメ「あぁ!ある意味なっ!」とキラキラ
リンゴ「……っ!見るからにアナタっ!無理です」
ナツメ「俺は、医者を父に持つんだ……
親譲りの頭脳と幼少期の英才教育で鍛えられてきた」
リンゴ「…っ!」
と無視して歩き続ける
ナツメ「ちょっと待ってくれ!」
とリンゴは無視し学校へ
学校
教室
席に着く
リンゴ「ハァー(危うく遅刻するどこだった……
何なのよあの人、変態過ぎる……
何?私を知りたい?)」
母の言葉を思い出す
リンゴ「っ!(人には人生において必ず心の中から愛したいと思える人物が現れる――)何意識してんのよ私っ!……(甘い言葉を言われたからって!!)」
授業を受けるリンゴ
放課後
リンゴは空を見る「うわ、大雨……傘持ってきてない……どうしよ」
と傘も刺さずにナツメはリンゴのいる方へ
リンゴ「え……嘘でしょ」
ナツメ「傘、持っててないだろ……」
リンゴ「馬鹿っ!まず自分を雨から守りなさいよっ!何で傘一つしか持ってきてないの!」
ナツメ「俺は、これが好きだ……酸性雨を浴びるとスッキリするんだ」
リンゴ「理由になってない!」
ナツメはリンゴに傘を私
ナツメ「ほら、傘使いなよ」
リンゴ「っ…」
リンゴは傘を刺して歩く
ナツメ「家まで着いて行くよ」
リンゴ「……アナタ知らない?酸性雨にあたってると禿げるのよ……」
ナツメ「え?」
リンゴ「ンフフ!アンタ、ホント、お馬鹿ね」
とあいあい傘をする
ナツメ「……そう……か」
リンゴ「ねぇ、何でそんなに私の強酸性唾液の事知りたいの……」
二人共歩く
ナツメ「好奇心と……原因を解明したいって言う気持ちがあるからだ」
リンゴ「……解明……解明したら何かあるの?」
ナツメ「今後、君の様に強酸性唾液を発症する人が現れるかもしれない……今度は君よりも酸が強い人があわれるかもしれないが…
解明してれば何かしら対処方法はあるだろ」
リンゴ「……ん、そんなの0.何%の確率でしか起きない事よ」
ナツメ「たが、少なからず発症者はいるだろ……
少数の命、悩みを救えてこその医師だ」
リンゴはその姿を見る
リンゴ「フーン案外、ちゃんとした人なんだね……ナツメ……って」
ナツメ「……そりゃぁな」
と家に着く
リンゴ「……じゃあね……ナツメ……」
ナツメ「また、君に話しをしにきて良いか?」
リンゴは三の手を出す
リンゴ「三ヶ月後の……検診で…ね」
ナツメ「……そうか…楽しみにしてる……」
とリンゴは傘をナツメに持たす
リンゴ「……じゃあね」
ナツメ「あ、あぁじゃあな」
と扉を閉める
母「あぁ、大丈夫だった〜雨ーごめんねリンゴ〜ちゃんと天気予報確認すればよかったわ〜」
と母は玄関へ
リンゴの顔を見て
母「リンゴ?」
リンゴは顔が赤い
母「リンゴっ!顔が赤いわよ!大丈夫っ?」
リンゴ「(やばいやばい……なんか、なんか……なんかぁ〜!!)」
三ヶ月後
リンゴ「っ!」
リンゴは鏡の前で身だしなみを調える
リンゴ「か、可愛いかな?……ナツメ……って
どんな髪型が好きかわかないや…」
バス内
リンゴ「(ナツメに会ったら……何話そう…久しぶり過ぎて緊張するな……第一印象は最悪だったけど正義感が強くて、真っ直ぐな……人で信頼できる……優しい人だった)」
リンゴ「人には人生において必ず心の中から愛したいと思える人物が現れる――(まっ、まさかねっ!私が私がねぇ〜)」
と窓の外を見る
リンゴ「 愛し合う人とするキスは記憶に強く印象に残る――……(微笑む)して……みたいな…」
病院
板原「……」頭を抱えてる
リンゴ「……先生、今なんて」
板原「君の唾液は日に日に酸が強くなってる……
徐々にたがね……」
リンゴ「それって、最終的にどのぐらいに……」
板原「分からない、このままのペースで酸が強くなっていくと君が20歳になる四年後には強力な酸に変わっていく可能性がある…その場合、君の身体的症状と言うのにも注目していかないと……君の命に関わる事だ…」
リンゴ「……お母さんには言ったんですか?」
板原「あぁ、ついさっき電話でね」
リンゴ「…ん」
板原「百田君……早く強酸性唾液の原因と解明をして……対処方法を探ります……なのでどうか希望を捨てずに」
リンゴ「……」俯く
リンゴ「……」顔を上げる
リンゴ「ナツメと話が……したいです…ナツメは何処ですか…」
板原「ナツメ……あぁ、屋上に向かっていたな」
リンゴ「……安心してください板原先生……私は希望を捨てません……失礼します」
扉を閉めて
階段を駆け上がり
屋上の扉を勢いよく開ける
フェンスに手を置いて考えているナツメ
リンゴ「ナツメ……」
振り返るナツメ
ナツメ「リンゴか……」
リンゴは近寄る
ナツメ「ごめん、リンゴ……遅すぎたんだ……
俺がもっと、何か父さん達の役に立てて……原因の解明を協力できれば良かったんだ」
リンゴ「ナツメ……」
ナツメ「……話しは聞いてる…このままじゃ命が危ない」
リンゴ「……それは可能性の話しだよ……ナツメ(少し口角を上げる)」
ナツメ「可能性の話しだからこそ……真剣に考えないと!!」
リンゴ「でも、私は前向きに考えるよ!」
ナツメ「あぁ、君はどうかそうしていて欲しい……」
リンゴ「ナツメも前向きに考えてみて」
ナツメ「どんなに後ろ向きな事でも凡ゆる可能性を予測していくのが医者だ」
リンゴ「……ナツメ……」
ナツメ「ごめん、語感が強かったりしたかな」
リンゴ「ううん……全く」
とナツメの背中を摩る
リンゴ「私ね……一度でもいいから…………好きな人と……キスをしてみたいんだ」
ナツメ「……」
リンゴ「……きっと、このまま唾液の酸が強くなると……キスどころじゃないよね……」
ナツメ「……」
リンゴ「だから……今、この時にしたいんだ」
ナツメ「リンゴ?」
リンゴ「未来では出来ないことかもしれないし……別の人を好きになってるかもしれない…
だけど、この時はナツメがいいって思うの……
ううん、一生一緒にいて私を愛して欲しい
…ナツメ」
ナツメ「……君が何で俺に惚れるんだ……」
リンゴ「ホント……よね……でも好きになったら好きになった理由とか関係ないしどうでも良いことなんだと思うの……」
ナツメ「…そんなもんなのか…」
リンゴ「その事を学んだ……ナツメと会って…
こんなドキドキの思いも初めてした……
どうしてだろうね……」
ナツメ「……さぁ、俺も分からない」
リンゴ「……」
ナツメ「……」
リンゴ「してくれる……?」
ナツメ「っ!俺がっ!俺がっ!解明してやる!
リンゴのっ!強酸性唾液の原因を解明して!リンゴに君にっ!不自由なく……暮らして欲しい……」
リンゴ「っ!」
とリンゴはナツメの口を奪った
ナツメの驚愕する目
ナツメ「……」
リンゴ「…………」
リンゴ「………甘酸っぱい……ね」
ナツメが勉強や原因解明に向けて活動している
ナツメ「俺が、俺が解明するっ!」
ナツメ「リンゴが……不自由なく暮らせる様に」
四年後
「アレから四年も経った、相変わらず記憶にはナツメとのキスの思い出が残ってる……」
リンゴ「……」 バス停 ベンチに座る
時計を確認するナツメ
ナツメ「桃はpH3.2〜4.1の弱酸性……林檎はpH3の弱酸性……どちらもアルカリ性食品で健康に良いんだ……」
ナツメは声のする方を向いて
リンゴ「でも、私は強酸性……ふふっ面白いね」
ナツメ「そうだな(ニコッ)」
リンゴ「……(ニコッ)」
バスが着く
リンゴ「じゃあ、行こっか」
ナツメ「そうだな……」
ナツメ「(アレから、四年…彼女は今までと変わりなく不自由なく暮らしている…コレが何を指しているか……それが何かいい方向に前進しているなら……その前進を俺は止めさせたくない
ただ今は、俺は彼女を知りたい……)」
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