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【6話】生徒会に入る


 シンシアの手料理を食べた、その日の放課後。

 私とシンシアは、生徒会室に来ていた。

 

 二人の前には、生徒会に所属している三人の男子生徒が横並びで立っている。

 全員タイプは違うものの、どれも共通して美形だ。

 

 しかし、それもそのはず。

 だって三人は三人とも、ゲームの攻略対象なのだから。


 一人目は書記――セシル・リクリーン伯爵令息。

 

 緑色の髪に、金色の瞳をしている。

 体格は小柄。かわいい系の、甘い顔立ちをしていている。

 

 先輩にも後輩にもモテモテな、超プレイボーイだ。

 

 二人目は副会長――ルーファス・ゼクシオン侯爵令息。

 

 銀色の髪に、紫色の瞳をしている。

 メガネをかけたクールな顔つきは、キツイ印象を与える。


 他人にも自分にも厳しい、真面目な人間だ。


 そして最後。

 三人目は生徒会長――アルゼ。

 

 漆黒の髪と青色の瞳をした、スーパーイケメン。

 そして先日婚約破棄を言い渡した、私の元婚約者だ。

 

 生徒会の男子たちだけとは、会いたくなかったのに……。


 アルゼルートと同様、セシルルートでもルーファスルートでもカトレアは断罪されて死んでしまう運命にある。

 だから私は、攻略対象であるこの三人と関わりたくなかった。

 

 しかし、そういう訳にもいかない。

 私とシンシアは生徒会に入らなければならないのだ。

 

 学園内で一番大きな権力を持つリエルト魔法学園の生徒会のメンバーには代々、優れた魔力を持つ人間が選ばれる。

 今年のメンバーには入学試験で一位の成績を取ったシンシアと、二位だったカトレアが選ばれた。

 

 そして生徒会メンバーに選ばれた人間は、必ず入らないといけない。

 これは絶対で、拒否権はない。

 

 選択の自由がないとか、マジでひどいシステムだと思う。

 

 そんな文句はあるものの、この学園の生徒である以上はルールに従うしかない。

 攻略対象である三人と、関係を持たなければならないのだ。

 

「かわいい女の子が二人も入ってくれて僕は嬉しいな! これからよろしくね!」

 

 セシルがチャーミングに笑う。

 

 さすがはプレイボーイ。

 初対面の女子二人に、笑顔で甘いことを言ってみせた。

 

 ホストとかやらせたら、めちゃくちゃ無双しそうな感じがする。

 

「まったく期待はしていませんが、私に迷惑だけはかけないでください」


 冷たく言い放ったルーファスが、メガネをクイっと上げた。

 セシルとは反対に、拒否感マックスの雰囲気を放っている。

 

 ちなみに彼は、ツンデレキャラだ。

 攻略が進むにつれて、どんどんデレていく。


 そしてアルゼはというと……怪訝そうにカトレアを見ていた。

 

「君は本当にカトレア・ラジェンドラなのか?」


 まさか異世界転生したことがバレた!?

 

 ヒヤッとするも、それは一瞬。

 すぐにそんなことはありえないと気付く。

 

 異世界転生したことは誰にも話していない。

 アルゼも当然、私が異世界転生したことを知らない。

 

 きっと彼は、私が婚約破棄を言い渡したのを不思議に思っているだけだ。

 だから焦る必要なんてものはどこなかった。


「なに言っているのよ? カトレア・ラジェンドラに決まっているじゃない」

「……そうだよな。すまない。変なことを聞いてしまった。今のは忘れてくれ」


 そう言いながらもアルゼは、怪訝な顔を崩さない。

 ではあれはいったなんだったんだ? 、と呟いた。


「それじゃあさっそくだけど、仕事の説明をするね。二人とも僕についてきて」


 私とシンシアは、夕方になるまでセシルから仕事の説明を受けた。

 初日はそれで解散となった。



 生徒会室を出た私とシンシアは、横並びになって通路を歩いていく。


「ねぇシンシア。三人の中で誰か気になる人はいた?」


 生徒会の男子生徒三人は、ゲームの攻略対象。

 この裏ルートではどうなるかわからないが、ヒロインであるシンシアは彼らのうちの誰かと恋に落ちる可能性が高い。

 

 そうなると当然、応援したいという気持ちがる。

 推しには誰よりも幸せになって欲しい。

 

 ということで、私はさっそく探りを入れてみた。

 

「気になる人ですか……それは」

 

 チラっ。

 シンシアはなぜか私を見てきた。

 

 どういうこと?

 

「ダメです! 言えません!!」


 シンシアは顔を真っ赤にして、走っていってしまった。

 

 そっか……私まだ好きな人を打ち明けてもらえるほど、シンシアとまだ仲良くなれていないんだ。

 それなら恋を応援するためにも、もっと仲良くならなくないとね!

 

 強い誓いを立てる。

 

 しかしこれが見当違いだということに、私はまったく気づいていなかった。

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