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【28話】見覚えのあるイベント


 生徒会メンバー全員が生徒会室で仕事をしているところへ、講師が突然やってきた。

 ものすごく慌てている。

 

「王都の大広場でクリムゾンドラゴンが暴れています! 早くここから避難してください!」


 口早にそう言って、講師は去っていく。

 

「クリムゾンドラゴンって、あの伝説の魔物だよね。ともかく避難しようよ」


 セシルの声に、生徒会メンバーはいっせいに頷いた――私を残して。

 

 このシチュエーション、どっかで見覚えがあるような――あ! 思い出した!

 

 私はこれを一度、体験している。

『ラブファンタジア』の中で。


 ゲームではどのルートでも、ドラゴンが王都を襲うというイベントが発生する。

 

 このときの選択肢は二通りある。

『立ち向かう』と『逃げる』だ。


 立ち向かう、を選ぶと攻略対象キャラと一緒にドラゴンと戦うことになる。

 撃退に成功することで、攻略対象との絆が深まる。

 

 そして、もう一方。

 逃げる、を選ぶとバッドエンド――世界滅亡エンドを迎えてしまう。

 

 ティクシリオン王国を破壊したドラゴンはこの国だけではあきたらず、世界をも滅ぼしてしまうのだ。

 

 これは裏ルートだけど、ここで逃げたらゲームと同じでバッドエンドになっちゃうかも……。

 

 ……やるしかないか。

 せっかく断罪されたくないから頑張っているのに、死んじゃったら意味ないもんね。

 

「私、戦うわ!」


 戦いなんて大嫌いだ。

 でも死にたくないから、私は戦うことを決めた。

 

 そんな私へ、生徒会メンバー全員が驚愕の表情を見せる。


「カトレア様! そんなの危険すぎます!」


 シンシアが叫ぶ。

 瞳からは大粒の涙を流している。

 

「心配してくれてありがとうね。でも私は、戦わなきゃいけないのよ!」

「なんという気高い瞳! 強い意志を感じます! カトレア様はこの国の人々を守るために、危険を顧みずに戦うというのですね!」

「え、そんな大それた理由じゃ――」

「さすがは俺の見こんだ俺の女だ。よし、俺もともに行こう」

「なにが『俺の女だ』ですか。抜け駆けは許しませんよ」

「二人が行くんじゃ、僕も行かない訳にはいかないよね!」

「私も行きます!」


 よくわからない展開で、生徒会メンバーは私についてきれることになった。

 

 そんなみんなに、私はぎこちない笑顔を返す。

 

 ……言えない。

 王国の人々とかぜんぜん関係なくて、自分が死にたくないからなんて……!

 そんなの絶対に言えない……!

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