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【27話】恨みを抱く男


 ティクシリオン王国の外れにある大平原を歩く、三十歳の男がいた。

 

 男の名はデイビス。

 オールバックの黒髪に、漆黒のローブを纏っている。

 

 デイビスの口元には、それはそれは楽し気な笑みが浮かんでいた。

 

「彼のおかげでいいデータが取れました」


 彼――それが指すものは、リエルト魔法学園の講師、ロスル。

 ロスルを呪いの首飾りを使って操っていたのは、何を隠そうこのデイビスだった。

 

 すべてはデイビスが作った魔道具――呪いの首飾りの効果を検証するためだ。

 

 ロスルの視覚情報を共有していたデイビスは、実験の一部始終を見ていた。

 生徒会の襲撃には失敗したものの、呪いの首飾りの洗脳効果は十分。実験は大成功といえた。

 

「最強の魔物を私のコントロール下におけたのも、彼のデータあってこそ。感謝しなければなりませんね」


 デイビスの隣には、真紅の体を持つ巨竜――クリムゾンドラゴンがいた。

 

 クリムゾンドラゴンはとてつもなく大きな力を持ち、国ひとつを滅ぼすほどとも言われている。

 決して人には懐くことはないとされているが、デイビスは完全に従えていた。

 

 それを可能にしているのが、呪いの首飾りだ。


 クリムゾンドラゴンの首には、呪いの首飾りが下げられていた。

 ロスルのデータがあったからこそ、この強力な魔物をコントロール下におけることがわかった。


 呪いの首飾りがある限り、クリムゾンドラゴンはデイビスに絶対服従。

 命令すれば、なんだって聞いてくれる。

 

「これでようやく私の願いが叶うときが来ましたね」


 デイビスの願い。

 それは、ティクシリオン王国の破滅だ。

 

 デイビスは元々、ティクシリオン王国の魔法研究所に勤めていた研究員だった。

 誰よりも優れた才能があり、多くの研究成果を生み出していた。

 

 しかしその一方で、非人道的行為を繰り返し行っていた。

 そのことを非難され、デイビスは研究所を追い出されてしまった。

 

 成果には犠牲がつきもの。

 そう何度も言ったが、王国はそれをわかろうとしない。

 

 挙句の果てには異常者呼ばわりして、デイビスを否定した。

 

 これは復讐だ。

 デイビスを否定した国を許す訳にはいかない。

 潰さないと気が済まない。

 

「まずはあの忌々しい研究所のある王都から破壊してやりましょう」


 王都のある方角へ顔を向ける。

 その瞳には、復讐の炎がメラメラと燃え盛っていた。

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