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【20話】様子のおかしい襲撃者


 バタン!

 生徒会室のドアが、ノックもなしにいきなり開けられた。

 

 え、なに……ポルターガイスト?

 

 心霊現象かと思ってビビっていたら、二人の生徒が中に入ってきた。

 

 一人はピンク色の髪をした女子生徒だ。

 私とは面識がない。二年か、三年生の生徒だろう。

 

 そしてもう一人は、生徒会副会長のルーファスだった。


 え、どうしてここにルーファスがいるの? さっき高貴なる魂の講義を受けにいったばかりなのに。

 

 ピンク髪の女子生徒はいったん置いておいて、私はルーファスを見る。


「どうしたのですかルーファス様。ロスル先生の講義を受けに行ったのでは?」


 しかし、ルーファスはなにも答えない。

 焦点の合っていない瞳で、シンシアを見ている。

 

 なんか様子が変じゃない?

 

 そう思ったと同時。

 

 ルーファスはシンシアへ向けて、片腕を突き出した。

 魔法発動の構えだ。

 

 ちょっ、シンシアに魔法を撃つ気なの!?

 

「【グレイシアスパイク】」


 ルーファスの手のひらから、氷のつららが放たれる。

 それはまっすぐにシンシアへ向かっていく。

 

「【マジックシールド】」


 私は大慌てで防御魔法を発動。

 

 シンシアの目の前に、巨大な魔法陣が現れた。

 それに当たった氷のつららは、パキンと折れて砕けた。


「大丈夫シンシア! ケガはない!」

「はい! 平気です!」


 ギリギリセーフ。

 良かったぁ、とほっと胸をなで下ろす。

 

「おいルーファス! 貴様、シンシアを攻撃するとはなにごとだ!」


 アルゼが叫ぶが、ルーファスはなにも答えない。

 

「【ファイアボール】」


 ピンク髪の女子生徒が、アルゼへ火の玉を放った。

 

「クソッ! こっちもか!」


 腰に携えていた剣を抜いたアルゼ。

 ピンク髪の女子生徒が放った火の玉を、刀で真っ二つに両断した。

 

 アルゼは卓越した剣の使い手だ。

 剣を魔法で強化して戦うという、独特の戦闘スタイルをしている。

 

「ルーファスもその女の子も、正気じゃないみたいだね」


 セシルの声に私は同意する。

 

 こちらの声にいっさい反応せず魔法を撃ってくるなんて変だ。

 どう考えてもおかしい。

 

 うん? なにあれ?

 

 そのとき私は、ルーファスがつけている銀色のネックレスが黒く光っているのを見つけた。

 

 あそこからは邪悪な気配がする。

 二人が正気を失っている原因は、これのような気がする。

 

 確かめてみるか……!

 

「【エアブレイド】」


 私は小さな風の刃を放つ。

 

 それはルーファスの銀色のネックレスのチェーン部分にヒット。

 スパッと切断した。


 チェーンの切れた銀色のネックレスが、床に落ちる。

 

 それと同時にルーファスが、「いったい私は……?」と呟いた。

 正気に戻ったようだ。

 

 

 思った通りだ。

 おかしくなった原因はネックレスだった。

 

「ネックレスが原因です。壊してください!」


 頷いたアルゼが、ピンク髪の女子生徒へ向けて飛び出した。

 剣を振り下ろし、ネックレスを断ち切った。

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