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俺の初恋幼馴染は“負けヒロイン”で終われないっ‼~「今フリーなんですけど?」と言ってくる幼馴染を、今度は俺の手で幸せな《勝ちヒロイン》にしてみせます~  作者: 水瓶シロン
第四章~青春交錯編~

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第57話 初恋幼馴染と体育祭

 五月中旬。

 二年生になって初めてのテスト――一学期中間定期考査が終わった頃、笠之峰高校では目前に迫る大型行事の準備が開始されていた。


 来月最初の土曜日に行われる、体育祭だ。


 各学年各クラスでは、新学期最初の体育の授業で計測した体力テストのデータをもとに、どの種目に誰が参加するかを決定する話し合いが行われている。


 それは、ここ二年一組でも同様で――――


「リョウ君何に出るの?」

「うぅ~ん」


 学級委員である蓮と結愛、そして体育祭の進行に関わる体育振興委員の男女二人が中心となって、参加者を決めている最中。


 記入して学校に提出しなければならない参加者リストを広げた教卓の周りに積極的に集まるクラスメイト達から一歩離れた場所に、涼太と姫奈は並んで立っている。


「正直全員参加の綱引きと大縄跳びだけでも充分だけど、人数的に多分あともう一個くらい競技出ないといけないんだよなぁ」


 競技種目はいくつかある。


 三学年合同クラス対抗リレー。

 学年別クラス対抗リレー。

 二人三脚。

 借り物競争。

 障害物競走。

 等々…………


「まぁ、何でもいいけどリレーはちょっと遠慮したいな」

「何で? リョウ君割と足速いでしょ?」


 微苦笑を浮かべて肩を竦めた涼太に、姫奈は首を傾げた。


 今年の涼太の五十メートル走の記録は六.七秒。

 同年代の男子の平均的なタイムが七秒台であるため、涼太であればリレーで大きく後れを取ることはないはずだ。


 しかし、涼太は首を横に振る。


 決して、行事に積極的に参加するのは恥ずかしいなどと拗らせているわけではない。


 そうではなく…………


「足の速い奴は他にいるだろうし、何より俺の場合は単純に体力の問題だな……」


 自主的に筋トレに励んでいる涼太だが、基本的にインドア。


 六月の暑さの中、綱引きに参加し大縄跳びにも参加し、その上でリレーにも参加するとなると、ガス欠になる光景が目に浮かぶようだった。


「そう言うヒメは何に出るつもりなんだ?」

「借り物競争が良いかな」

「その心は?」

「単純に足の速さで勝負が決まらないから」

「あんま疲れないしな」

「徒歩で一位取ってあげるよ」

「流石に舐めすぎでは?」


 涼太がツッコミを入れると、姫奈は可笑しそうに肩を上下させていた。


 そして、クラスでの話し合いの結果、涼太も姫奈も希望通りの種目に参加出来ることになった。


 ……のだが、体育祭当日――――



「悪い涼太、クラス対抗のアンカー頼む」

「……は?」


 午前の部が終わり、昼休憩の時間。

 運動場のトラックを囲むように用意された各クラスの応援席。


 その二年一組のエリアで、左足首を保冷剤で冷やす蓮が、茶目っ気たっぷりにウィンクしながら片手を顔の前で立てて涼太に言ってきた。


 綱引き、大縄跳び、そして蓮とペアを組んで走った二人三脚を終えて、あとはもう応援席で体育祭を見守るだけのつもりでいた涼太は、思わず間抜けな声を漏らしてしまった。


 呆然とする涼太に構わず、蓮は曖昧に笑いながら説明する。


「いやぁ、さっきの三学年合同のリレーで走ったとき、内側から抜かそうとしてきた人とちょっとぶつかってさ。そのときに軽く捻っちゃったんだ」

「ま、マジか……」


 涼太は保冷剤が巻かれた包帯によって固定される蓮の左足首に視線を落として、後ろ頭を掻く。


 既にクラス対抗リレーのメンバーは、第一走者は陸上部に所属する生徒で、そのあとに続く他の選手も全員運動部と、一組内の五十メートル走タイム上位者で固められている。


 なので、リレー未参加のクラスメイトの中では、一番足が速い涼太に白羽の矢が立ったということだ。


「まぁ、そういうことなら……だが、走順を入れ替えてアンカーは別の奴にした方が良いだろ」


 基本的に走順の最初と最後は一番足の速い人が選出される。


 涼太よりずっと足の速いメンバーが既に参加者の中にいるのだから、アンカーはその内の誰かにして、涼太の走順は巻き返しが利く真ん中辺りにするのがベストのはずだ。


 しかし、蓮は首を横に振った。


「当日の走順の入れ替えはダメなんだよ」

「え、ということは俺……アンカー決定?」


 コクリ、と今度は確実に蓮は頷いた。

 対照的に涼太はガクリ、と肩を落とす。


 そんな涼太の肩を、後ろから隣に並んできた姫奈が拳で軽く叩く。


「良いじゃん、リョウ君」

「全然良くないんだが」


 涼太が半目を向けると、姫奈は意地悪そうに口角を吊り上げた。


「私だって()()やるんだから、リョウ君もちょっとは頑張ってください」

「ヒメ、お前……自分がやりたくないことやるからって、他人の不幸を嬉しそうに……」


 姫奈の出場種目は全員参加の綱引きと大縄跳びの他に、午後の部行われる借り物競争だけ……ではなかった。


 この昼休憩が終わったあと、午後の部の始めに一つ、やらなければならないことがあるのだ。


「ったく……んまぁ、わかった。アンカー引き受ける。抜かされても文句言うなよ?」


 涼太は諦めたような半目を姫奈から正面の蓮に戻してから、了承した。


 蓮は朗らかに笑って、涼太の胸に拳をぶつける。


「追い抜けなくても文句は言わないけど、抜かされたら文句言うかも」

「勘弁してくれ……」


 午後の部は、もうすぐ始まる――――

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