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第82話 激戦の予感

 ―新西暦五十九年 六月


 AIメシアと空中要塞アヴァロンの出現は、世界に激震をもたらす。

 大きさはおよそ180キロメートル。

 旧イースター島と同程度と判明し、どの国の情報機関も混乱が生じる程であった。


 無論それはアーストンも同じであるが、まず襲われるであろう国を特定したのは流石と言えた。

 国の名はニューブルックリン。

 小さな領土ではあるが、かなりのオリハルコン採掘国であり、アーストンの重要な同盟相手。


 軍部は情報を元に周辺に展開している部隊を派遣。

 早朝には大小合わせて十隻以上の部隊がニューブルックリンに集結する事となった。


 ―その中にはエリンに引き返すつもりであったカゲロウの姿もあったのである。


・・・・・・・・・・・


【ユーリ。アーストン・ニューブルックリンの全部隊、展開を終えたようです】

「そうか」


 ニューブルックリンの市街地。

 朝日が立ち上り晴天が地上を照らす中、立ち並ぶ建物を縫うようにしてMTの大部隊による防衛線が出来上がっていた。

 連合軍による防衛線の右翼、その前線にデュラハン隊は陣取る。

 眩い光が白い装甲に反射し、輝きを増しているジークフリートのコックピット。

 その中ではユーリはアイギスの報告を聞きながらも、集中している姿があった。

 アイシャたち三人にも緊急以外の通信を禁止してまで精神を研ぎ澄ましていたユーリであったが、突如として口を開く。


「アイギス。お前はどう思う」

【メシアについて、ですか】

「他に何か有るか?」

【……】


 問いかけられたアイギスであったが、何故か返事もせずに黙り込んでしまう。

 不審に思うユーリの耳に答えが返ってきたのは、かなり経ってからの事である。


【察するにメシアは当AIよりかなり高度に発展されたAIでしょう。かなりの技術者が長い年月を掛けたと思われます。……ですが】

「ですが?」

【いえ。何でもありません】

「気になるだろ。言えって」


 ユーリに催促され、アイギスは再び黙るがやがて話し始めた。


【メシアの宣言したプラン。あれが同じ感情を持つAIが出したものとは思えません。真っ当に学習していれば、たどり着くはずの無い答えであるはず】

「要約すると?」

【人間的に嚙み砕いて言えば、気に入らないという言葉が当てはまるでしょう】


 明確にメシアを否定するアイギス。

 もし顔があるならば、間違いなく嫌悪感に彩られていただろう。


「随分と辛らつだな」

【そう、ですね。……AIらしくないでしょうか?】

「らしくは無いと思うけど、それはアイギスが人間らしくなった証拠だろ」

【人間に近づいてきてる……】

「気に入らないか?」

【いえ。そうであるなら、望外の喜びです】


 機械音にすぎないアイギスの言葉であったが、ユーリには笑みが乗せられているように聞こえていた。

 思わず口角を上げるユーリ。

 しかし、そんな穏やかな時間も鳴り響く警告音によって壊される。


【来ました。ユーリ】

「ああ、見えてる」


 ジークフリートのメインカメラにはしっかりと、晴天を覆い隠すほどの空中要塞がゆっくりとこちらに向かって来ているのを捉えていた。


 ―そして地面を覆わんばかりに、揃えられた前進で向かってくる自己回復するMTの大軍も


「……これは流石に、骨が折れそうだな」


 ユーリの心底嫌そうな声。

 それはこの戦いが激戦になる事を予感させるには十分であった。

あけましておめでとうございます!

今年も完結まで頑張って書いていくので、よろしくお願いします。

最近は少し巻き気味なので、もっと詳細に書けるように頑張ります!


皆さんこれからも応援お願いします!!

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