第48話 再会、戦場にて
「状況を確認します! 現在カゲロウは所属不明のMT軍団に襲撃されています! デュラハン隊は接近してくる敵機を撃退してください!」
「了解! ユーリ・アカバ、出るぞ!」
レコからの通信にそう答えると、ユーリを乗せたファフニールはカゲロウから飛び立ち薄暗くなった空に飛び立つ。
それに続きアイシャたち三人も合流し、デュラハン隊は上空から敵機を確認する。
「長距離仕様のノームが三機に雑多なMTが複数機。おそらく傭兵だな」
「隊長! 狙いはやっぱり」
「間違いなくお姫様だろうな。誰に雇われたかは知らないが」
ミーヤの問いかけに自分の想像を語ると、ユーリは三人に指示を出す。
「まず俺が切り込むから、三人は長距離MTを始末してくれ」
「隊長。相手が少数だからって油断しないでくださいよ」
「そっちこそしくじるなよ。じゃあ……行く!」
言い切るよりも速く、ユーリは真下にいるMT部隊に突撃していく。
長距離砲とMTの射撃兵器による迎撃が風雨の如く襲い掛かるが、ファフニールは突っ切っていく。
それどころか突撃する中、ライフルの照準を合わせ敵機を撃ちぬくという技を見せつける。
赤い火花を散らし爆炎を上げるMTに敵機が気を取られていると、その間に接近してきたファフニールによって二機が両断されるのであった。
「まず三機」
目算で数えてもまだ十数機ほど残っているが、どうやら先ほどのユーリの攻撃によって戦意を早くも失いつつあるらしい。
包囲している状況だと言うのに、後退する機体が確認できる。
「四機目!」
ユーリは一番近くにいた敵機に目標を定めると、エーテルサーベルを切りつけようと振り上げる。
スラスターの出力を生かし一気に距離を詰め、ユーリは躊躇なく振るう。
—―だが
「なっ!」
真っ赤なMTが突如現れ、ファフニールのサーベルを防いでみせた。
「ちっ!」
追撃を恐れたユーリはファフニールで赤いMTに体当たりをして態勢を崩すと、一度大きく下がる。
「……アイギス」
【光学迷彩のようです。エーテルチャフを使用しレーダーを掻い潜ったようです。申し訳ありません】
「どうやら手練れのようだな」
不意打ちの手際にユーリはそう評価する。
真っ赤なMTはかつてアーストンで使用されていたサラマンダー。
本来旧式であるが、何度も改修を行ったであろう事は見て取れた。
その時、サラマンダーのツインアイが不規則に点滅した。
すると周りを取り囲んでいたMTは、長距離仕様のノームが陣取っている方角へと向かっていった。
「まずい!」
アイシャたちを迎撃しに向かったと理解したユーリは、すぐさま阻止しようとするが。
「!!」
サラマンダーがサブマシンガンにて威嚇射撃をしてきたため動きを止める。
結果、謎の赤いMTと睨み合いの状況となってしまった。
【ユーリ、照合が出来ました。あの機体は傭兵団『不死鳥の羽』団長の物。団長の名は】
「……お前、レイか」
突如外部通信を開いて問いかけるユーリ。
『不死鳥の羽』団長はしばらく何も答えなかったが、しばらくして口を開く。
「……久しぶりだな。ユーリ」
その声はダラクで聞いた時よりも暗く重いものであったが、間違いなくレイ・アカバのものであった。




