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第12話 初陣

 アーストン軍が解放戦線の偵察部隊と接触し、戦闘を開始。

 それは最初から想定されていた出来事であった。

 わざと敵と接触して基地と化している鉱山跡地からMTを引きずり出す。

 そこに白兵部隊が突入し、グッドマンを含む解放戦線の主軸を捕らえる作戦だ。


「作戦通り先遣隊が戦闘を開始しました。デュラハン隊も合流せよとの指令です」

「分かってる。とにかく来たMTを叩けば済む話だろ? デコ」

「レ・コ・で・す! オペレーターの名前ぐらい覚えてください!」


 広めの額を隠しながら、カゲロウのオペレーターを務めるレコは怒りながら文句を言う。

 ユーリも覚えていない訳ではないが、ついつい反応が面白いのでからかうのであった。

 しかしそれも僅かな間。

 一瞬で思考を切り替えると、小隊のリーダーとしてやるべき事をやる。


「レコ。戦況より三人の様子を中心に報告を頼む」

「分かりました。何か異変があれば優先して伝えます」


 確認し合うと、ユーリは操縦桿に力を込める。


「ユーハブコントロール。少尉何時でもどうぞ」

「アイハブコントロール。了解……ユーリ・アカバ、出る!」


 リニア式のカタパルトを一気に駆け抜け、ユーリの操るファフニールは青空へと羽ばたく。

 しばらくするとアイシャたち三人のMTも合流し、目的地へと向かっていく。


「三人共分かっているな。とにかく敵を墜とせ。今回はそれで事足りる」

「は、はい!」

「「……」」


 返事をしたのはミーヤのみで、エルザとアイシャは緊張のために何も言えなかった。

 ユーリは浅くため息を吐き、話をし始める。


「初陣だから緊張するのも分かる。だが今回俺はお前らに戦果は求めていない。ただ生き残れ、それが出来れば十分だ」

「我々では戦場に立つには不十分だと?」

「そう突っかかるな。そうは言ってない」


 アイシャに苦笑を返しながら、ユーリは先に待っているであろう戦場を思いつつ続きを口にする。


「誰だって初めて戦場に立てば緊張する。だがそういう奴は大抵狙われる。だからまず生き残る事を考えろ、戦果は次から期待する」

「……それは気を使ってくれている。そういった解釈でも宜しいのでしょうか」


 エルザの問いかけに対してユーリは僅かに笑うのみであったが、三人が確信するには十分であった。


「隊長! ありがとうございます!」

「浮かれるなよ? 特別サービスは初回だけだからな」

【少尉、そろそろ交戦ポイントです】


 アイギスの言葉にユーリの表情が再び引き締まる。

 三人も会話を止め、向かう戦場に集中する。

 やがて視認出来る範囲に到着すると、既にかなりの激戦になっていた。

 数で勝る解放戦線ではあったが、MTの性能や乗り手の練度はかなり劣っているとめ既に相当の数が撃破されていた。

 だがアーストン軍の方も決して余裕がある訳ではない。

 倒しても倒しても現れる解放戦線に、精神的な疲弊を訴える者もいた。


「隊長!」

「分かってる。このまま突撃して友軍の援護をするぞ」


 言うが早いか、ユーリは一気にファフニールのスピードを上げ戦場の中心へと突撃していく。

 大空を突っ切りながら、ファフニールの武器であるエーテルサーベル二つを引き抜く。

 青い二つの光が刀身を作りだすと、接敵したと同時にMTを二機同時に切り裂く。


「まず二機」


 突然の攻撃に解放戦線が混乱する中、ユーリは躊躇なく切り裂いていく。

 その無駄のない動きに翻弄される解放戦線であったが、じりじりと包囲を狭める。


「やらせない!」


 だがその背後から迫ってきたアイシャ機の攻撃が、包囲に風穴を開ける。

 エルザとミーヤの機体も交戦を開始し、乱戦状態となった。


「人には生き残れって言っておきながら自分はど真ん中に突撃って! 何考えてるんですか!」


 接近戦用にカスタマイズされた量産機『ヴルム』を操りながら、アイシャはユーリに怒鳴る。

 だがユーリは気にした様子もなく淡々と反論する。


「出来ると思ったからやったまでだ。無理に付き合う必要はなかったんだぞ」

「隊長一人に無理させるほど、面の皮は厚くありません」

「生き残るなら皆で! ですよ隊長!」


 そんな会話をしながら、四機は迫る解放戦線のMTを駆逐していく。

 実力差があるとは言え圧倒的な殲滅速度に、怖気づく者も現れていた。


「全く。三人共思ったよりバカだな」

「「「隊長に言われたくないです」」」

「そうかい。じゃあバカ四人で生き残るぞ」

「「「了解!」」」

ついにデュラハン隊としての初陣。

果たしてユーリ達はどのような戦いをするのか。

次回もご期待ください!

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