第113話 未来での再会
「本当にアイギスなのか」
「ええ。信じられないでしょうが事実です」
疑問に対しアイギスは嬉し気な表情を向けながら肯定するが、素直に認められないユーリ。
するとイレーナが二人に近づきつつ説明を開始し始めた。
「そのボディは人間サイズのMTと思ってください。乗る時は背中をコックピットと繋げます」
「しかし何でわざわざ」
「作戦によっては単独で動く事もあり得ますので、ボディーガードを務めてもらうためですよ」
「なるほど、ねぇ」
一通り納得したユーリは改めてアイギスの体を触りながら確認していく。
人間サイズのMTと説明されたが、感触もほぼ生身の人間と変わらないように思えた。
「ユーリ。あまり触られるのは……」
「あっ、悪い。嫌だったか?」
「いえ。感触に慣れてないので、不思議な気持ちになります」
頬を赤く染め照れた表情を見せるアイギス。
その様子を見ながら、ユーリは内心でアイギスが体を得た事を喜んでいた。
(何はともあれ。今後の事も考えれば助かるな)
体を得たAIを上層部がどう判断するかなどユーリには把握できないが、人の姿ならば逃がす事も容易になる。
少なくとも安心できる材料が出来て、助かると言うのが本音であった。
だが考えていたユーリの背後から、イレーナが予想だにしない発言を口にする。
「まだ話し足りないでしょうが。実はプロメテウスにはもう一つAIが追加されます」
「……何?」
イレーナの顔に不思議そうな顔を見せるユーリ。
だがユーリよりも激しく反応したのは、アイギスであった。
「当AIでは不十分。そう言いたいのでしょうか」
システムなのか分かりやすく不満気な表情を浮かべるアイギス。
対してイレーナは首をゆっくりと横に振る。
「我々は中佐と同じぐらいアナタを信用しています。ですがプロメテウスの性能を十二分に発揮させるには、追加せざるを得ません」
「どう言う意味ですか?」
「今は調整中で外されてますが、四つのスラスターには無線式マルチレンジ兵器『レーヴァテイン』が八つ搭載されます」
「レーヴァテイン」
ユーリが思わず口にすると、イレーナは頷きながら説明を始めた。
「射撃、近接、防御。如何なる状況でも対応できますが、人間だけでは扱いきる事ができません」
「それはアイギスじゃ駄目なのか?」
「無論可能だと考えました。ですがシステム制御などをしながらでは、全ての力は発揮しずらいでしょう」
「……ですが。聞いた限りレーヴァテインは相当の情報処理が求められるはず。失礼ですがそれだけのAIを用意できるのでしょうか?」
未だに不機嫌そうな表情をしつつも、アイギスは淡々とイレーナな質問する。
もしかすれば相棒の座が奪われる事を危惧してるのかも知れないが、アイギス自身にも理由は分からないのであった。
「アイギスが危惧してる通り、同レベルのAIを一から作るのは技術も費用も我々には足りませんでした。ですので少々ズルをしました」
「「ズル?」」
「……それ以上は実際に見てもらった方が早いでしょう。イレーナ代表」
突如会話に割り込んできた声がした方を向けば、アイギスと対照的な銀色の髪。
実際は放熱用の装飾を靡かせながら、こちらに近づいて来る女がいた。
アイギスと同じく人形じみた美しさを滲ませつつ、しっかりとした足取りでユーリの目の前に立つ。
「?」
話の流れから彼女がAIなのは察したユーリであるが、次に何をするか分からず怪訝な顔を向ける。
だが女が抱き着いてきた事によって、驚きの表情へと変わった。
「なっ!」
「これがアナタの温もりなんですねユーリ・アカバ。どこか他の人より暖かい気がします」
「ユーリから離れなさい!」
抱き着く女をユーリから引き離そうするアイギス。
だがまだ慣れてないためのか、歩みは非常に遅い。
ようやく手が触れそうな距離まで近づきが、女はするりと解放して離れた。
「随分と余裕の無い事ですね、AIアイギス。もう少し品を学んだ方が良いのでは?」
「……そちらこそ時を経て本性が露わになっているのでは? 同じAIとして恥ずかしい限りですね」
「あ?」
「は?」
「ちょっと待て。このやり取り聞いた事があるぞ」
目の前のガンを飛ばし合いを見て、女の正体に感づくユーリ。
イレーナは苦笑を浮かべつつ、銀髪の女に声をかける。
「自己紹介の必要はないようですね。では後の説明、よろしくお願いしますね。……メシア」
やっぱりと思う一方で、これからアイギスとの仲を取り持つ役回りが増えそうで頭を抱えるユーリであった。
メシア復活!
……最近まで登場させるか悩みましたが、色々考えまして復活させました
展開に不満を持つ方も、いらっしゃると思いますが、どうか最後まで見て貰えると嬉しいです




