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ロサセアエ  作者: 炯斗
6/8

植物はおしゃべりです

植物は元々おしゃべりらしい。香りや音を用いて植物や昆虫、小動物に呼び掛けている。植物が「わーん!痛いよぅ!イモムシのヤロー葉を喰ってやがる!」と叫べば「あっ!あれはイモムシが葉を喰ってる匂い!」とイモムシを補食する生物がやってくる。近隣の植物は「お隣がやられた!やべぇ!」とイモムシへの防衛反応を起こす。

花粉媒介者の羽音を聞けば蜜を増量して歓待するし、森林の植物はその森で一家族として栄養を分け合い助け合っているという。意外と社会的な生物なのだ。

と、いうような説明を譲はマオから受けた。つまるところ、そのような音や物質を解析し人語に変換して伝えてくれるのが補助システムということなのだろうか。

「進んでんなぁ」

技術の進歩に着いて行けなさを感じ始めたら歳だな…とぼんやり思った。

「んじゃ、ロサセアエ以外の声も聞けるのか?」

「ロサセアエほどハッキリではありませんが、かのうです。ただ、このいえにきてからほかのこえはきいたことはありません」

高層マンションの上層なので雑草も居ないし、そもそも室内だ。

「へぇ」

玄関が音を立て、誠の来訪を知らせる。

「ただいまー!」

「おまえん家じゃねぇ。どうだった?」

「いやむっちゃ荒れてた!千早千早」

一度家に帰ってみたが、母親の暴れ散らした跡におののいて即戻ってきた。

「まだダメだわ。退避させて」

譲は短い溜息で返した。流石にその状況で追い出せない。幸い明日は日曜だ。

「てことでお昼食べに行こ」

「土曜だぞ。混むから嫌だ」

ちぇーと口を尖らせながら誠はスマートフォンを触り始めた。

「ジョーさん気付いた?蕾ついてんの!」

「ああ知ってる。この感じだと明日くらいには咲くんじゃないか」

「早いものであしたのあさあたりだとおもいます」

その頃には千早も凪いでいるだろう。

「あーあ 今日はマオちゃんと遊んで過ごすかー」

誠はゴロリとフローリングに倒れ伏した。

「友達と遊びに行ったりしろよ」

「お嬢様の遊び相手は疲れるんだよー」

友達はたくさんいるが、同級生たちは誠には少しお上品すぎる。

「ジョーさん今度ラーメン食べにこー」

流行りのカフェならともかく、ラーメン屋に付き合ってくれるような友達はいないのだ。

「解った解った。また今度な」

本当は今日行きたかった、と誠はフローリングの上をゴロゴロと転がった。


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