真夏といえば。その3
今日も、コルト国は快晴です!!
と、いう事は・・・
「あっつーーーい・・・・」
薄い生地とはいえ、長袖のワンピースだ。
半袖とショートパンツを皆で着ちゃおうよ!って、言いたい・・。
首の部分をちょっと摘んで、パタパタと動かして風を取り込もうとすると、セレムが無言で手を抑え、扇風機の前に私をそっと置く。・・・・すみません、暑さに弱くて。
「・・・セレムは、結構暑いの平気なんだね」
「そうだな・・、ずっとこうした服を着て過ごすのが当たり前だったから・・かもしれないな」
「竜族のメンタルすごい・・」
「カエの国は、暑かったのか?」
「すっごい暑かった!!湿気もあったし、外へ出ると暑さで溶けちゃいそうだった・・実際、暑さで体調を崩す人、真夏は多かったよ・・」
「それは、ちょっと怖いな」
「うん、だから水遊びしたり、花火っていう火をつけて、光を楽しむ遊びをしたりして、夏を楽しんで乗り切ったの」
あとは、スイカとかアイスだよな〜・・・。
夏の美味しいデザートが恋しい・・。
こんな時でも、私の食い意地は健在だな。
お祭りの焼きそばを思い出して、ふとセレムを見る。
背も高いし、セレムだったら瞳の色に合わせて濃紺の色の浴衣とか着たら、似合いそうだなぁ・・。お祭りなんかに行ったら、きっと注目を浴びるんだろうなぁ・・格好いいし。女の人とかに囲まれるんだろうな・・。
そう思ったら、ちょっともやっとする。
「・・・カエ?」
立ち上がって、無言でぎゅっとセレムに暑いけど抱きつく。
「どうした・・?」
「・・・・・ちょっとだけ、甘えたくなった」
うあぁああ、恥ずかしい事をしてるし、言ってる自覚はあるよ!!
だけど、ちょっと・・想像しただけなのに・・、こう・・もやっとしたんだよ。
セレムは嬉しそうな顔をして、そっと抱きしめ返してくれた。
うん、暑さのせいにしとこ。
そっと離れて、赤くなった顔を扇風機で冷やす。
リファートさんに絶対、もう一台頼もう。
すると、ドアをノックする音が聞こえるので、返事をするとローニャさんが入ってくる。
「カエ様、水着が出来上がりました!」
「わ!!早い!どれどれ〜〜」
薄い青のビキニタイプだけど、この上に半袖のシャツとショートパンツを履くのだ。袋から出して、体に合わせて、ローニャさんとセレムに見せてみる。
「ね、どうかな?」
真っ赤な顔で固まるセレム。
にっこり笑ったままのローニャさん。
あれ?なんかまずい事した?
赤くなった顔を手で覆いながら、目線を逸らしたセレムが、
「カエ・・・・・・・それは・・・俺が無理だ」
「え?!み、見るに耐えない感じだった?!」
「別な意味で、見たら耐えられない・・と言った感じかと思います」
「ん???なんで???」
「もう!だから、直前まで見せてはいけないと申しましたのに!カエ様ったら」
「・・ええと、ごめんね?ローニャさん」
はぁ・・と、大きなため息が聞こえ、
「ローニャ・・・お前、本当にやめてくれ・・」
「申し訳ございません。もっと気をつけておくべきでした」
「そうじゃないだろ!?」
「え、ええええ、ちょ、ちょっと!ごめんねセレム・・これ、着ないから・・!」
慌てて、二人の間に入って止める。
「・・・着ない・・・」
ポツリと呟くセレムに、コクコクとうなづく。
喧嘩はダメ、絶対。
「・・・セレムしか見ないし、いいかな・・って思ったんだけど、なんかまずいみたいだし・・・。泳ぐにしても、別の服を考えるね?」
「・・・・・・・着ない・・」
「ね?それならいい?喧嘩しない?」
「カエ様、今・・ちょっと葛藤していると思うので、待ってあげて下さい」
「え?葛藤してるの?」
ローニャさんが静かにうなづくので、黙ってセレムを見ると、
一つ咳払いをしてから、
「・・・・・・・・・絶対、俺の前だけ・・と約束するなら」
と、呟く。
私の横で、ローニャさんがサムズアップしてた。
そのポーズって、こっちの世界でもメジャーなんだ?