いきなり異世界は無理だと思う(終)
結婚式後は、来てくれた皆に挨拶したり、食事したり、会話をしたり、写真を撮りまくったりした。
ちなみにリファートさん作のカメラは、更に素晴らしい出来になっており、訪れた人達は興味津々だった。なんならめちゃくちゃ食いついて、撮影会になってた。
そうして、一人、また一人・・と帰っていき、私達も休む事になった。
うん、休む・・・。
・・・・・・とりあえず、お風呂入るじゃない?
パジャマに着替えるじゃない?
自分のベッドで寝ようと思うじゃない?
横になろうとしたら、ローニャさんに問答無用でセレムの寝室へ放り込まれるじゃん?
いや、ちょっと待て?放り込まれるの???
とりあえず、ポカーン・・・と、セレムの寝室にいるんだけど。
そういえば、部屋へはよく行ってたけど、寝室は初めてだな・・
キョロキョロ辺りを見回して、ハッと我が身の立ち位置に気付く。
ああ、転移物とか読んでおいた良かった・・。この後の展開は知ってるよ?18歳ですけど、まぁ・・そういう系の本とか、まぁ嗜んでおりましたし?い、色々知ってるし・・・?
・・・・・・・・・・え、無理だ。
セレムと私が???
あの・・なんというか・・、無理だ。
今日が私の命日になることは確実だ。
「・・・・・寝よう」
私は、さっと布団に潜り込んで寝たふりを決め込む事にした。
と、布団からセレムの香りがするので、赤面する。
ね・・・、寝ろ!!!私!!!!!
目を瞑ると、扉が開く音がして、私はますます強く目を瞑る。
本日の私は終了いたしましたーーーーー!!!
また・・っていうか、しばらく終了でーーーす!!!!
ギシっと、ベッドにセレムが腰掛ける音が聞こえて、ドキドキする。
ふわふわといい香りがする・・。
「・・・・・カエ」
私は狸寝入りを決めこむ。
そう・・これは決定事項である。
と、聞き覚えのある会話が流れてくる。ん?少し高い声が聞こえる・・?
「僕の事、好きですか?」
「え、ええ・・?」
「写真の時間、終わっちゃいますよー!早く」
「う、うぅ・・好きです!忘れないです!」
・・・・え?これ・・・
ガバッと布団から出てくると、もんの凄い良い笑顔で、セレムがちびっ子の時に撮った写真を持っていた。
「そ、それ・・・」
「好きって言ってくれた、大事な写真だな・・」
セレムが笑いながら写真にキスする。おい、様になりすぎだぞ。
「か、返して・・・!それか処分しよう・・!」
「なぜ?」
「な・・・なぜ????」
なぜ、そう聞き返されるのか・・、小一時間くらい問い詰めたい。
あの・・人の告白シーンとかは、持ち歩かないで欲しいんですよ?あとホウレンソウは大事だけど、双方の確認とか、早めに話し合いをするように・・。
違う方向に思考が飛びそうな私に気付いたのか、セレムが頬を撫でる。ぎゃあ!!
「ほ、本物はここにいるんだし・・、い、いつでも言いますよ?」
「じゃあ、今言って欲しい」
「い、今・・・!?」
気がつくと手を握られている。い、いつの間に!?
顔を上げると、熱が篭っているセレムの蒼い瞳と目が合って、咄嗟に逸らす。無理です、今、見つめ合うなんて、ましてや、す、好きなんて言ったら・・
すりっ・・と、セレムが耳元に顔を寄せてくる。
あう、それ無理なんですけど・・・
ううーーー、神様、これ本当に思うんですけど、いきなり異世界は本当に無理だと思うんです!!こ、こんなイケメンがいるとか・・、迫られるとか・・・、全くもって想定外というか・・。お話の世界だけって思いますし?
うん、今、現実で起こってますけども!!!
「カエ・・・言って欲しい」
セレムの甘い声に、降参する気持ちで
「す・・・・・、」
き・・・って、いう前に結局キスされて、言葉にならぬまま、深いキスになる。
そうして、いい香りに包まれて一緒に布団の中へダイブする事になった。
なんというか、たくさん愛されるというやつを体感して、恥ずかしいのに
朝には大量に飾られた花に居たたまれなくなった・・。
ちなみに頭の上に、ヒラッと桜の花弁が落ちてくのを見て、真っ赤になってしまった事を報告しておく。
これにて、完結です〜。
でも、ちょこちょこその後も書いていくつもりです。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございます!!!