表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/118

結婚しちゃいます。


星が光り始める頃、結婚式が始まる。


夜の結婚式・・不思議な感覚だった。

昼間じゃないんだなぁ・・。


セレムと腕を組み、大広間への扉が開かれると、一緒に入る。


大広間へ一歩入った途端、集まってくれた人達がこちらを一斉に向く。

ドキドキする・・!!!緊張で、顔が真っ赤になってると思う・・。

セレムの怒涛の勢いで決まった結婚にも関わらず、見知った顔が多くあった。


昨日ぶり・・の、アイシェさんや、リファートさん、急な式に関わらず来てくれたバリスさん、ハーリカさんも柔らかい笑みでこちらに手を小さく振ってくれて、そっと挨拶をした。ローニャさんや、いつも護衛してくれる騎士さん達も、メイドさん達もいた。


私達が進む前に祭壇らしい場所があって、神官長のアークさんがいて驚いた。

え?!もしかして、すぐ来てくれたの?!!

驚いて、目が合うとニコニコと微笑んでくれた。


お忙しいのに、すみません・・・。

あとでセレムにやっぱり注意はしておこう。

ホウレンソウは、早めにすべきだ!・・と。


静かに歩いて神官長さんの前に立つと、大きく、

だけど、しっかりとした声で、持っていた本を読み出した。


「今日は、こうして竜族のセレム様、カエ様の結婚式にお集まり頂き、感謝です。神の前で、このお二方の結婚を宣言いたします。よろしいでしょうか?」


「「神の前で認めましょう」」


後ろに立っている、皆の声が一斉に広間中に響く。

思わず、ビクッとしてしまった・・。


「神の前で、セレム様、カエ様、お互いが誠実でいる事を誓いますか?」


セレムと私の目が合う。

あ、これ誓いますとか言った方がいいやつかな?

セレムが「はい」と言うと、私へ神官長さんが目で合図してくれたので「はい」と答える。

う、うわぁ・・ドキドキする〜〜〜。


「神と、立ち会った縁ある者達に認められた事で、今二人は結ばれ、神の祝福を受けました」


神官長さんが、そう言って・・私とセレムの手を取って、重ねる。


「神に今、認められ、祝福を受けた二人が永遠に喜びの中を歩めますように・・」


そういうと、手がホカホカ暖かくなる。

あ、これ言霊の力を使っている時みたいだ・・。

と、ハラリと小さな花びらが落ちてくる。



え・・・?不思議に思って、上を見上げると、広間に花が雪のように舞い出す。


薄い桃色の花びらが、大広間一面に舞い散って神官長さんを始め、広間にいた人が歓声をあげる。私は、自分の家の近くにある桜並木を思い出す。甘い春の香りが広間一杯に広がり、胸が締め付けられる。


春の桜が一斉に散っていくような光景に見とれていると、目の端で、リファートさんがめっちゃ写真撮ってて、思わず笑ってしまった。



「・・セレム、すごいね!桜みたい!!」

「・・・さくら?」

「ハーリカさんの所へ行った時に、話していた春に咲く花の名前なの!門出の時とか、お祝いの時に咲く花って言われてて、そういう時に使われる花なの!これって、結婚式の時の演出なの?」



セレムは、どこか切ない目でこちらを見る。


「・・・これは、恐らくカエの世界の神からの祝福だと思う。通常はないんだ」



「・・・・へ???」


私の世界の神様が・・・?

満開の桜をもう一度見て・・・、思わず胸が一杯になった。


「カエを祝ってくれているんだな・・」


私は、セレムの手を握って、


「私達・・・だよ」


そう答えた。

花びらを捕まえてみようとする皆を見つつ、舞い散る桜を二人で見た。私の故郷の一部を、セレムに見せてあげられた気分だった・・・。



「神様・・・ありがとう」


随分と遠い所へ来たけれど、門出を祝ってもらえるなんて嬉しい・・。誰にも聞こえない声で、私はそっとお礼を言う。

そうして式が和やかに終わり、ゆっくりと夜は更けていった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 結婚式ー満開の桜。。。((o(^∇^)o)) こっちの神様粋なことしますね♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ