見くびってません?
そういえば、こっちへ来て、泣いたのは2回目だな・・、
ふと冷静になって、セレムの胸の辺りに頭をすり寄せる・・。
・・・セレムの心臓の音が聞こえるんだけど、バクバクいってる・・動悸やばくない???
顔を上げると、顔は真っ赤だし、でも多分・・神様の前だし、
どうしたらいいのかわからなくて、両手を上げて困った顔をしているセレムがいて・・ごめん・・・、ちょっと不覚にも可愛くて、ときめいた。
「あ、ごめんなさい・・一旦離れます・・」
そっと体を離して、神様に向き直る。
「神様は、私がセレムの片翼は偶然だって言ってましたよね?」
『うむ・・・確かに』
「私の住んでいた神様は、何も言ってなかったんですか?・・ええと、連れていっていいとか・・?」
『もちろん、確認をした』
「・・・って事は、私はここへ来たのは偶然じゃないと思います」
「・・・・・どういう事だ?」
セレムが、驚いた顔をする。
「私の世界は、神様はいるって事になってるけど、会ったり、話す事はなかったの。だけど、こっちの世界の神様と、私のいた世界の神様は、確認して私をここへ送った・・。こっちの神様は、セレムの片翼は偶然って言ってたけど、もしかしたらだけど・・私の世界の神様は知ってたと思うの・・。そもそも神様の考えなんて、人間にはわからないけど」
「・・・と、いう事は・・・?」
わかりやすいくらい混乱しているセレムに、ニヤッと笑ってみせる。
「って事は、ここの世界に必要な事はもちろん、セレムに会うために来たんじゃないかなって思ったの」
「・・・・!!!」
セレムは、今度は真っ赤になってしまった。
面白いなぁ〜。
『・・なるほど、カエの推察力は素晴らしいな。』
「ありがとうございます!だから、いっちょ使命を受けて来たようだし、頑張りますし、幸せになります!」
なんか、どこかで詰まっていた心の中が急に流れた気分になった。
そうだ・・誰だって不幸になるために生きてるわけじゃない。
少なくとも、私は幸せでいたいし、できれば周りの好きな人達と幸せになりたい。
この世界がずっと苦しんでたんなら、一緒に幸せになればいい。それだけだ。
よっしゃ!むくむくとやる気出てきたぞ!!と、思っていると、
そっとセレムが私の手を握り、
「神よ・・・少し失礼する・・」
そう言うと、ギュウッと今度はセレムから抱きしめてくる。
こら、神の御前であるぞ。
「・・・・・・・・・カエ・・」
泣きそうな、小さな声で私を呼ぶセレム。
優しいなぁ・・きっと、受け入れていいのか・・悩んでる。
辛いくせに、嬉しいくせに。
「・・私、結構強いと思わない?」
「・・・・ああ、俺よりも」
「よろしい」
少し潤んだセレムの蒼い瞳を見ると、地球を思い出す。
優しい微笑みに、きっと大丈夫だと確信する。
そして、唐突に思い出す・・。
「あの・・神様に挨拶に来たのに・・なんかすみません!」
当初の予定から大分外れて、抱き合っちゃってるし・・・。
神様の方へ振り向くと・・楽しそうな笑う声が聞こえた。神様も笑うんだ〜〜〜。
笑ってる間、空間がめっちゃ暖かくて、くすぐったい気分だった。
ひとしきり神様は笑うと、これから神殿にも何かあれば神託を下す事、
そして、私のいた世界に私が無事だと伝えてくれると約束してくれた。
私やセレムが良ければ、またいつでも会いに来て欲しい・・そう言ってくれて、嬉しかった。
そうして、木の上にいたおもちが、私の手の中に戻ってくると、
キラキラ輝いていた木は、また元に戻った。
その様子を見終えて、私とセレムも皆が待っている場所へと戻る事にした。




