通常通り?
お昼頃に神殿に手紙を送ったのに、3時のお茶の時に、「神殿で楽しみにお待ちしてます」的な手紙が届き、私は胃が痛くなる・・・。もしかして、夢だったらどうしよう・・いや、夢だったかも・・。
いや・・お参りに行くだけ・・と、思おう。一般庶民らしく。
夕食後のお風呂におもちを連れていって、神殿に行くので洗ってみた。
淡く光るおもちは、お風呂が好きなのか、プカプカと浮くのを楽しんでいる。はぁあ・・いいねぇ君は。
すっかり長湯してしまって、出てくる頃には、私もおもちも顔が赤かった。
パジャマ代りのワンピースを着て、おもちとテラスに出て少し涼んでいると、
隣のテラスから、セレムが出てきた。
「あ、セレムだ。」
声を掛けると、セレムがギョッとした目でこっちを見て、
「何か羽織ってこい!」
と、部屋を指す。
はー・・お父さんはうるさいねぇ、おもち・・と、おもちに言うと、苦々しい顔になる。
ベッドに置いておいたガウンを羽織って、テラスへ出るとセレムが私の部屋のテラスにいる。イリュージョンか。
「こっちに飛んできたの?」
「・・・悪いか」
「不法侵入ですしねぇ」
セレムと流れるような会話に笑ってしまう。
「明日・・・、神殿行くの緊張するんだけど・・なんか作法ってある?」
「特にないな・・・。神官なんかは色々あるらしいが、ただ会いに行くだけだ、何も緊張する必要はない」
「セレムはそういうけど・・知らない事、多いから・・」
知らないことが多くて、失礼な事をしてしまわないかと心配なんだよね。それでなくとも、セレムとの関係は色々知らない間に進んでしまったし・・。なにせ、いきなりお付き合いから、婚約者、結婚しよう・・的な・・ね?
「・・俺のこと、考えてる?」
ふわっとセレムから香りがする。
きっと、私からも香ったんだろうな・・。もう、これ本当にどうにかならないかな。お互いにバレちゃうの・・気まずい!
「考えている・・というか、色々あったなって・・」
「キスしたし?」
「・・っ!!!い、言わないでいいから!!!」
「どんな時でも好きって言ってくれた」
「ち、ちびっ子の時ね?!」
そっと抱きしめてくるセレムから、なんとか逃れようとするけど、う、動かない!
「い、いちいち抱きしめなくていいから・・恥ずかしいから」
「・・俺は、恥ずかしくない」
「私は恥ずかしくて、心の臓が停止しそうです!」
「ちびっ子の時は、自分から抱きついてきたくせに」
「ちびっ子は可愛いから」
淀みなく答える私に、苦笑するセレム・・。だって、こんなに大人で格好いいとか・・、一緒にいるだけでドキドキするのに、抱きしめられたら・・・本当に色々と無理だ。
「・・カエを抱きしめるのが好きだ・・」
「え、あ、はい・・?」
「好きって、また言って欲しい」
「う、うん・・・?」
なんだ?なんで突然告白大会みたいになってるの???
私は不思議そうにセレムを見つめた。
「ホウレンソウ・・言ってたろ?報告だ」
「え、ああ、そういう感じ?!」
「明日は、神殿に一緒に行く。」
「あ、連絡ですね。知ってるけど、ありがとう」
「キスをしたい」
「それ、もしかして、相だ・・・」
と、聞こうとしたら、セレムがキスしてきた。
ぎゅうって、心臓が潰れた。
その相談の仕方は、さすがにずるいと思う・・。
ちゅって音をさせて唇を離すセレムの蒼い瞳が、愉快そうに見ていたので、お返しに噛みつくようにキスし返したら、真っ赤になってた。やーいやーい!!!