また何か起きてる?
5日間くらいしか経っていないはずなのに・・、お城へ帰ってくると、ものすごく落ち着く。
ああ、ここが帰ってくる場所になっていたんだな・・って、思っちゃう。
部屋へ戻って、荷物を戻したり、写真を整理していて気付く・・。
ちびっ子セレムに撮られた告白写真がない!!!
「ああーーーあの写真・・絶対セレムが持ってるな・・」
「カエ様、大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないけど、後でセレムに問い詰めておく・・」
「恐らく不可能かと思いますが、頑張って下さい」
「嗚呼・・この会話・・帰ってきた事を実感するわ・・・」
うん、多分無理だろうなって思ったけど・・思ったけども。
手元におもちがやってきて、カメラに写真になる紙をセットしているのをじっと見ている。・・・そういえば、朝、この世界の神様という存在と・・夢でなければ話したんだよね。セレムにも言っておいた方がいいかな。
そう思っていると、ドアをノックする音が聞こえる。
返事をすると、セレムが入って来る。
「・・・セレム、あの写真、返して」
その一言ですぐ気付いたのだろう。
「あれは絶対渡せないな」
クッソーーー!!!めっちゃいい笑顔だな?!
「・・・・絶対、取り返してやる・・」
「やれるものなら」
鼻で笑われた・・。ちびっ子セレムが恋しいわ。リファートさんにこっそり手紙書いて、絶対小さくなる薬送ってもらおうと、心に強く決めた。
「あ、そうだ。急で申し訳ないんだけど、明日神殿に連れて行って欲しいんだけど・・」
「・・ああ、構わないが」
今朝・・、夢か現かはわからないけど、話をしたし・・近く行くって言っちゃったし、できれば早い方がいいよね。なんかお作法とかあるのかなぁ。
「・・・何か、あったのか?」
「え?うーん・・・・もしかしたら・・なんだけど、今朝おもちを通じて、この世界の神様とお話したっぽいの。だから、早めにお参り?行った方がいいかなって・・」
一瞬の間があってから、セレムとローニャさんは同時に
「「・・・・え!!!???・・・・」」
と、目を丸くする。
二人の驚く様子を見て、急に居たたまれなくなってしまう・・。
「・・・・あ、えと、やっぱり、夢かもしれない・・・けど」
「夢ではないだろうな。」
「あれ?そんな確信持って言っちゃうの?」
ローニャさんが、考え込むようにセレムを見て話す。
「恐らく神託が下ったのでしょう・・。でも、ここ30年ありませんでしたが・・」
「え?!そうなの?それまでは普通にあったの?」
「はい。以前は神とこの世界のものは、話す機会が多くあったのです」
へぇ〜〜〜、異世界の神様ってフレンドリーだな!
「ローニャさん、詳しいね」
「私は以前は、神殿で騎士をしておりましたから」
「ここへ来て、すっごい情報入ってきた!!!」
「言ってませんから」
「いや、言って???結構大事な事だと思うよ!」
静かなるメイドさんかと思ったら、戦うメイドさんとか・・・かっこいいな!
「セレム様・・神殿に報告しておいた方がよろしいかと・・」
「そうだな。近く行く予定だったが、先に知らせておこう」
「え、あの・・なんかまずい事とか起きちゃう・・?」
私は急に不安になってきて、思わず尋ねると、ローニャさんは優しく微笑んで
「とんでもない!吉兆として神殿は喜びます!先の大戦以来、誰も神の声を聞くことが出来なかったのです。恐らく、また神の神託が下りてくる・・そう考えられますから。・・・心配事といえば、カエ様が神殿で大歓迎を受ける事が絶対的に決定したことですね」
「え、ええええーーーー!??それ一番嫌だーーー!!!」
ちょっと会いに行くはずが、大勢に出迎えられるなんて・・
げんなりする私に、二人は優しく笑った。