いざ異世界旅行!その19
今回は、ちびっ子8歳になったセレムは、中身は大人だった。
ちょっと残念・・・・というのは内緒にしておこう。
多分面倒臭いことになる。
ちびっ子セレムだと急に安心感が出て、眠気が舞い戻ってきた。
眠い・・もう、寝たい。
「ほらほら、ちびっ子は寝る時間だよ」
「いや、俺は大人で・・」
「どう見ても子供です」
「うっ・・・」
「一緒に寝てあげるから、おいで〜」
「さっきと全然違う!!!」
「いや、大人と同じ対応をしたら、別な意味でまずくない??ほら、もう寝ようよ〜」
セレムは、大人の時に聞きたかった・・だの、屈辱だ・・だのブツブツ言ってたけど、私はちびっ子セレムの姿が、ちょっと懐かしくなってたので、ぎゅっと抱きしめるとすぐ静かになった。よしよしいい子だね〜なんて言いながら頭を撫でていたら、唸っていた。お腹痛いのかな?
「セレム大丈夫・・?どこか痛い?」
「心が痛い・・」
「そっかぁ、痛いの痛いの飛んでけ〜」
ウトウトしつつ小さな背中をトントンと叩くと、大きなため息が聞こえて、
やがて静かになったので、カーテンの隙間から見えた星空を見て、セレムと
またあの星光の虫見れたらいいな・・と思いつつ、
静かに瞼を閉じて眠った。
ちなみに翌朝、
アイシェさんは私達を見るなり大爆笑した。
「エルフを若返らせる薬だから、すぐ治るはずないと思ったら・・、このタイミング!!最高!!」
との事だそうだ・・。そうか・・効果が強いのか。
まぁ、そのおかげで昨夜の私は助かったので、非常に良かった。
セレムは、真っ赤な顔で震えながら
「リファート殿・・・治す薬を至急作ってください・・・」
と、絞り出すような声で頼んでいた。リファートさんは、静かにうなづき、早速作りに行ってしまった・・。
えぇー・・・・・可愛いのになぁ。
ひとまず朝食後、部屋へ戻るが、椅子に座って、片手で頬杖をついたセレムはブスッとふくれてる。ちびっ子がむくれてる・・可愛い。思わず隣に座ってセレムをまじまじと見てしまう。
「セレム・・そんなにその姿、嫌なの?」
「カエが子供扱いするからな」
「だって、子供だし」
「・・・・くっ・・・」
私は借りたカメラで、悔しがるセレムを撮る。ああ、可愛い。
「ふふ、子供の頃のセレムって可愛かったんだね」
「可愛いって言うな!!!」
小さい男の子って、こう言うよね〜。
「そうだね〜、普段はかっこいいよね」
「本当か?」
「反応早っ!うん、かっこいいよ。いつも優しいし」
「そうか・・・」
赤い顔をして、今度は照れくさそうにうつむくセレム。ちびっ子セレムだからか、いつもは言わない事をぽろっと言ってしまうなぁ・・。
「ほ、他には?」
「他・・・?うーん・・・、いつも気遣ってくれるし、あ、好きって言ってくれて嬉しかったよ」
目を丸くして、セレムがこちらを向く。
あれ?なんか変な事言った??セレムは、大きくため息をついて、
「・・・カエ、なんで小さい時の俺にはそんなに素直なんだ?」
「え?小さいから?弟みたいって・・」
「・・・弟・・・」
遠い目をしたちびっ子セレム・・。
あれ、なんかごめん・・。
でも、忘れないで・・って言ってたちびっ子セレムを思うと、また会えて嬉しいんだよね・・。ちょっと今複雑な状況だけど。
「どんな時でも、好きだよ。それじゃダメ?」
そう話しつつ、頭をなでなですると、また顔を真っ赤にして押し黙る。
はぁ〜可愛い!!ちびっ子可愛い!!
フルフルと震えたセレムは、
「・・・絶対、大人に戻ったら、後悔させてやる!!!」
悔しそうに宣言してた。
うん、やっぱり可愛いな。