いざ異世界旅行!その15
海で、ちびっ子セレムに色々やらかしてしまい、今更ながら反省する私。
そして、他になにをしてたんだ・・と、思っているのか、色々聞いてくる。
「カエは、小さい時の俺と他に何をしたんだ?」
「え?山とか作ったよ」
「山?」
「・・・同じ反応だ。」
面白くて、つい笑ってしまう。
しゃがんで、早速砂の山を作ってみる。
と、セレムもしゃがんで、黙って私の山へ砂を寄せてみる。
「ちびっ子セレム君と同じだ・・・」
「・・・俺だしな」
なんか照れくさそうに、一緒に山を作ってくれた。王子様が砂で山作り・・。じわじわ面白くなってきて、ニマニマしてしまう。
「あとね、トンネル作ったの」
「トンネル???」
もう吹いた。
同じ反応に吹き出してしまった。
ああ、ちびっ子セレム君も同じように「何が楽しいの?」って顔してたなって、思い出したらセレムも同じ顔してるんだもん。
「ふふっ・・、同じ反応!」
「・・だから、俺だったし・・」
「うん、そうだね・・。なんかちょっと面白くなっちゃって、ごめんね?」
そう言いつつ、笑いを噛み殺してセレムを見ると、私が穴を開けるのを見て理解したのか、反対側から同じように穴を開ける。そこは別だな〜なんて思いながら波の音を聞きながら穴を掘る。
ちびっ子セレムの時は、ちょっと時間が掛かったけど、大人セレムはあっという間に穴が開く。
「お、さすが!すぐ穴ができたね!はい、開通〜」
そう言って、ちびっ子セレムの時と同じように、自分が開けた穴から、セレムの手を繋ぐ。弟とよくやったなぁ・・なんて思い出して、セレムを見上げると、顔が赤い。
「・・・・カエ・・、小さい時の俺とこれもしたのか?」
「・・・え、あの、これもなんかいけない事だった?!」
セレムの香りが、さっきより強く香って、焦る。
「・・・・好きだなって・・・」
「・・・・へ?」
す、好き・・・???どうしてそう思った?
「もうちょっと警戒心を持てって言われたろ?」
「え、当たってる!!」
「無防備すぎるって、言われたろ・・?」
「記憶戻った?!」
「・・・・いや、俺ならそう思うなって・・」
小さくても、大きくてもセレムの私への思考パターンは似てるらしい。
花束をくれたり、手を繋いだり、一緒にいたがったもんね。
忘れないでって言ってたけど、忘れようがないよ。
「ちびっ子セレム君、可愛かったよ」
私は手を叩いて、砂を落としてからカメラで山を撮りながら話す。
しゃがんで山を見てるセレムも撮っておこう・・と、構えると、ちょっと拗ねた顔をしたセレムが座ってる。思わず笑いながら一枚撮っておいた。たまにはやり返さないとね。
バシャーっと写真が出てきて、出来栄えを見ながら、
「ちゃんとセレムの事、考えてるよ」
そういうと、なんでわかった?!みたいな顔をしてるから、声を出して笑ってしまった私は悪くない。だって、それも言ってたし!小さいセレムは改めて、可愛かった・・と、しみじみ思ったわ。
セレムは立ち上がって、私のそばへ来ると、カメラを指差して、
「俺も、カエを撮ってみたい」
「お?興味ある?」
「小さかった俺が、やたら撮ってたし」
「撮ってたね〜。あ、そうだ・・ちょっとセレム屈んでみて?」
私より30センチ以上大きいから、ちょっと中腰になるセレムに顔を寄せて、写真を撮ってみる。バシャーっと音がして、出来栄えを早速見る。おお、なかなかいい感じで一緒に撮れてるぞ。
「見てセレム!いい感じで撮れてる!」
にっこり笑って、振り向くと・・
セレムは片手で口元を押さえて、赤い顔で立っている。
「・・・・?どうしたの??」
「・・・写真は、いつもそう撮ってるのか?」
「友達とかね〜。スマホだとこっちが見えるけど、カメラは勘だね!」
「・・・今後一緒に撮るのは、俺だけにしてくれ・・」
「うん?」
盛大にセレムがため息をつき、「小さい俺は、よく耐えたな・・」と呟いていた。




