いざ異世界旅行!その14
朝食後、リファートさんにカメラを渡すと、試作品第5号を渡された。
え、ねぇ・・昨日飲んでたよね?驚きなんだけど・・。
3号を作ってたのに、5号・・?!
「写真を撮るのと、動画?だったけ、動くのを撮るのは別の方が売れるかな〜って思って・・」
「確かにその方がいいですが、昨日・・祝杯上げてましたよね??」
「飲みながら、皆と盛り上がって作っちゃった!」
「凄すぎですね?!」
「カエちゃん・・・ごめんね・・。多分、いる間にあと5台は作るわよ?」
「ひぃっ・・・!」
思わず悲鳴が上がってしまった・・。
発明品の特許で有名な国・・・さすがすぎる・・。
リファートさんは、王族だけど発明品を作る担当で、政治にはノータッチらしい。そりゃこんだけ作れれば、こっちで活躍する方がずっといいか。何より本人が楽しそうだ。
アイシェさんも、そんなイキイキと物作りしているリファートさんを見ているのが楽しいらしい。確かに、これだけ作れたら、見ている方も楽しそうだ。
朝食を終えて部屋へ戻ると、セレムがやって来る。
「観光らしい事・・、できなかったから、よければ山まで行ってみないか?」
「山?」
海のイメージが強くて、思わず聞き返してしまった・・。
「ここは海も有名だが、山も有名なんだ。夕焼けも綺麗だし、山に流れる川でしか見られないものもある。」
「へ〜!それは見てみたいかも!リファートさんから貸してもらった試作品で、写真も撮ってみたいし!」
「じゃあ、午前中は海にでも行くか・・?俺は、カエと行った記憶がないし・・」
「そうだった・・。いいよ、海行こう!」
「山は、夕方何か携帯食を持って行くか」
「うん!!楽しみ〜!」
うんうん、なんか旅行気分が一気に出てきた。
私は、早速カメラをそっと自分のカバンにしまって、用意する。
今回は馬車でなく、セレムの転移魔法で移動する事になった。
あの馬車も、なかなか面白いんだけどね・・。
一瞬で海へ着くと、もう慣れたもので波打ち際の近くまでいって、靴を脱ぎ始めると、セレムがギョッとする。あ、ちびっ子セレムと同じだ。
「か、カエ、足を出すのは・・」
「やっぱり、ちびっ子セレムと同じ事言ってる・・」
「言ってたのか?!じゃあ、靴を・・」
「でも、足を水につけたいから無理〜」
そういって、ポイっと靴を脱いで、さっさと海の水に足をつける。
はぁ〜極楽だ〜。
あ、そうだ・・カメラ、カメラ。
カバンからカメラを出して、海の写真を撮る。足元も撮ってみよ。
「セレムもおいでよ〜。水に足をつけるの気持ちいいよ?」
「・・・・・・・絶対、誰にも見せるなよ・・」
「プライベートビーチで、どう見せるの?」
「・・・・そういう事では・・」
「はいはい、わかりました。気をつけまーす」
話半分で、海の中をスカートを少し上げて、入ってみる。
「気持ちいいよー!セレムもおいでよー」
「・・・・・ん・・」
セレムも、ちょっと躊躇いつつ、靴を脱いできちんと揃えてやって来る。ちびっ子セレムと同じだ・・。
「あのさ、セレムは海で泳いだ事ないの?」
「訓練や、戦争中は移動のために泳いだ事はあるが、遊びではないな・・。」
「泳げても、遊びで泳がないの・・?」
「肌を本来見せないように・・と言われているからな」
「ああ、だから膝上までスカート上げたら、あんなに怒ったのか・・」
「・・・・・・・・・・誰に見せたって・・・・?」
地獄を這うような声、再び・・。
「ちびっ子セレムだよ。ちゃんとご指導受けたから、もうしません」
本当に・・この大人セレムは・・。
ずっと一緒に行動してたのは、セレムだって説明したのに・・。
「なんだってそんなに肌を頑なに見せないようにって言うの?」
セレムは、ちょっと目を逸らして、
「足を見せたり、肌を見せるのはベッドを共にしたい・・っていう意味だから・・」
ふわぁ・・・と側に来たセレムからいい匂いがして、私はカニのように横歩きで離れておいた。し、知らなかったから、しょうがない!!!
ちびっ子セレム君、ごめんねー!
と、心の中で謝っておいた。




