いざ異世界旅行!その7
なぜ私は齢8歳のセレムにほっぺにちゅってされたのか、皆目見当がつかない。
「おはよう・・ローニャさん・・・」
「おはようございます。朝から迷宮入りしたような顔ですね」
「あ、すっごい当たってる。まさに迷宮入りだよ、彷徨ってるよ」
「まぁ、割といつもの事ですが、とりあえずお着替えしましょうか」
「待って?!私、いつもそんな感じ!?」
ちびっ子セレムからもらったお花を花瓶に挿し、ローニャさんから驚きの情報を得つつも、髪を編み込んでもらい、濃紺の半袖ワンピースを着る。・・・・・・ん、ちょっと待て?これ、さっきのセレムが着てた服の色と似てない???
「ローニャさん・・・」
「あ、気付かれました?今日は、セレム様とお揃いです!」
わぁーーー美人のすっごいいい笑顔ーーー。
何か?みたいなスマイルで、何も言えなーい。
私は全てをさっさと受け入れ、朝食を取りに移動しようとすると、ちびっ子セレムが部屋へやって来る。
「一緒に行きましょう!」
わーーー、こちらもすごくいい笑顔ーー。
流れるように手を繋いでくるーーーー。
若干遠い目をして、食堂へ案内してもらうと、アイシェさんが待っていた。なんですか・・その微笑ましいものを見る目。ただエスコートして頂いただけですよ・・・?心の中で訴えてみた。
「ふふ・・・、8歳のセレムもすぐカエちゃんに懐いたのね!」
「懐いた・・・んですかねぇ」
「小さい頃は人見知りだったのよ!」
「え、そうなんですか!」
確かに・・最初ちょっとよそよそしかったな・・と、思い出す。
「今はカエさんは優しい方だってわかってますよ!」
と、ちびっ子セレムが私に笑いかけながら話す。う・・可愛い!思わずデレっとしちゃうわぁ〜。
「えへへ・・・ありがとう。私もセレム君しっかりしてて、すごいなぁって思うよ〜」
「ありがとうございます!あの、今日も一緒にお出かけしませんか?」
「いいよ〜。行きたい所とかある?」
「・・僕、また海へ行ってみたいです!」
「じゃあ、また行ってみようか〜」
ニコニコ笑って甘えてくるセレムが可愛いなぁ・・とほんわかしてしまう。後ろでローニャさんがものっすごい、しょっぱい物を見る顔してるけど・・大丈夫か?アイシェさんは、なんかニマニマしてるし・・・。
「そうそう、カエちゃん出かける前にダーリンがカメラが出来上がりそうだから、一度工房に見に行って欲しいんだけど、いいかしら?」
「え?!もうですか?!!」
昨日の今日で?!と思うとびっくりしたけど、カメラが出来たら嬉しいので、快諾した。え〜、そしたらちびっ子セレムは撮っておきたいなぁ・・。何といっても可愛いし!!・・・大きいセレムは、心臓に悪いし・・。
っていうか、年を取る薬は後回しなのか・・ともちょっと思った。
ちびっ子セレムと、工房を見に行ってから、海へ行こうと約束し、朝食後早速移動する。
相変わらず工房からは、色とりどりの煙が出ている。
ちょっと昨日と違うのは、セレムがちびっ子になった事かな・・。
工房へ入ると、リファートさんが待ち構えていた。
「カエさん!!!みてください!!試作品第一号です!!」
工房も暑いが、リファートさんも熱い。目がキラッキラしてる。
デジカメくらいの大きさの試作品を渡され、持ってみるとズッシリする。
「ここのボタンを押してみてください!」
「は、はい・・」
私は、セレムを写してみよう・・とカメラを構えて、ボタンを押す。
バシャー!と、大きい音がすると、カメラの下からびっくりした顔のセレムの写真が出てくる。あ、これポラロイドカメラ・・じゃね?色はちょっとぼやけていたけど、それでも・・・写真だ!
「す、すごい!!写真になってる!!!すごいです!リファートさん!!」
「やった!!!出来てます?!結構いい線いってます?」
「これ、すごくいいですよ!あとは色味ですね!」
もう大盛り上がりである。
だって、これで写真を撮れるんだよ?!小人のおじいちゃんも、こんな短時間ですごい発明だ!って喜ぶし、アイシェさんも、自分を撮って!とリファートさんに言ったり、大騒ぎである・・。
細部の調整をして、色味がハッキリ出せるようにするね!と、話をし、夕食後にまた見に行く約束をする。
「はぁ〜!夕食後も楽しみだね!」
と、セレムに話すと「はい・・」と元気がなくなってた。
だ、大丈夫・・・????




