いざ異世界旅行!その6
セレムの部屋と、私の部屋は別々だったのだが、さあ寝室に行こう・・と、ドアを開けたら、ベッドが一つ。そして、セレムが一人ベッドの前にいた。あれ・・・?と、思ってドアを閉め、もう一度開けたら、セレムが今度は真っ赤な顔で立っていた。
「あ、あれー?ベッドって、ここだけ?」
「・・・・・・・・・・・・・そう、みたいです」
・・これ、大人セレムだったら、私が大惨事だったな。
っはーーーーーーー!!!!良かった!今は齢8歳児のセレムで!
「そっか〜・・・。ローニャさんも下がらせちゃったしなぁ。うーん、ちょっと呼んできて、寝室の事を相談・・」
「大丈夫です」
「え?・・でも、セレム君だって、今日は色々あって疲れてるでしょ?一人で寝る方が・・」
「まったく構いません」
返答が力強いな・・・・?
返事ははっきりと!って、教えられてるのかなぁ・・。
うーん・・・まぁ、甥っ子と寝るって考えればいっかぁ。
「んー、じゃあ今日は一緒に寝ちゃってもいい?」
コクっとうなづくちびっ子セレムが、可愛い。
私はでっかいベッドによじ登るように入ると、セレムも反対側から登ってくる。
しかし、ものっすごい端っこで寝ようとする。
そんな遠慮するなよ・・。
「この国って、ベッド大きいよね〜。2人で寝ても全然広い!」
「そ、う、ですね・・」
枕に頭をのせると、ふわふわで・・それだけで眠くなってくる。ふわふわといえば・・おもち・・一緒に寝ようとしたら、ローニャさんにくっついて行っちゃったんだよね。一緒に寝たかったのに・・。お菓子をくれるローニャさんに懐いているのだ。食い意地が張った奴め!私とそっくりだな!
「・・・カエさんは、ちょっと無防備すぎです。」
「え〜?そうかなぁ・・ちゃんとしてるよー・・」
瞼を閉じると、眠くなってくる。
私が住んでいた所は、それなりに都会で、帰り道とか警戒してたよ?とかなんとか、うつらうつら・・しながら話していた。
ほら、スカートとか?私の国では、結構短いの履いてたけど、危険なことはなかった・・変な人は付いてきた事あったけど・・、とか言ったら、「大丈夫だったんですか!?」ってセレム君が慌てて聞いてきた。
「・・・ん・・・大丈夫。・・・すぐ逃げた・・・」
あーもうだめだ・・寝る・・・。
私はあっけなく眠った。ええ、いっぱい遊んだら眠くなる子供です。
翌朝、お日様の光と共に目が覚める。
「んーーー!よく寝た・・・」
グッと伸びをして、ベッドを見るとセレムがいない。
「あなや・・もう起きたのかな・・」
ちびっ子はさすが・・早起きだな。私もベッドから出て、着替えよう・・そう思っていると、セレムの部屋の方からドアが開く。
「あ、おはようございます」
「おはよう〜。セレム君早いね〜。」
紺のネクタイをし、薄い灰色のストライプのシャツと、濃紺のハーフパンツを着た少年ルックに、あら可愛い・・と、おばちゃん感丸出しの私・・。いかん、支度しよ。
と、セレムが私の前に来て、後ろ手に持っていた物を前に差し出す。
「これ、良かったらどうぞ。昨日、遊んで頂いたお礼です」
可愛いお花のブーケを渡してくれた。
「え?!朝イチで?っていうか、いやむしろ私が遊んでもらった感が・・。」
「いえ、せめてもの気持ちなので、受け取って頂けると嬉しいです」
ピッカーって光ってない?ってくらい可愛い笑顔のちびっ子セレム・・
受け取らないわけ、ないでしょ・・・?
「・・うん、じゃあ頂くね。朝早く用意してくれて、ありがとう」
そっと花束を見る。大人セレムと同じようにお花を用意してくれるんだな・・って思ったら、思わず笑ってしまった。
「ふふ、お花可愛いね〜」
ちびっ子セレム君に笑いかけると、ちょっと私の服を引っ張って
頬にチュッとキスする。
「・・・カエさんの方が、可愛らしいです」
ちびっ子セレム君は、ボソッと言うなり、赤い顔で自分の部屋へ戻って行く。
え・・・・・・っと、
ええ・・・・・・・っと・・・?????!!!