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いざ異世界旅行!その4


セレムが推定8歳になった。

そのセレムは、私とソファーに一緒に座って、静かにお茶を飲んでいる。

うーん・・・8歳なのに落ち着いてるね。


なんでも「たまには若い時に戻りたいわ!」という、悠久を生きるエルフさんに頼まれ、「少しの間若くなれる薬」を作ったものを、私をかばったセレムが思いっきりかかってしまったそうで・・。量が思ったよりあったのか、一気に8歳になったらしい。良かった・・・赤ちゃんとかだったら気を失ってた。


効能は、「少しの間」なので、1週間経つ頃には戻るだろう・・と説明された。問題があるとすれば、現在、体を本来の年齢に戻しているセレムが、急に若くなる薬がかかってしまったので、記憶が一時的に混乱しているようで・・。要するに、8歳までの記憶しかないのだ。

ただ、そこは王子様。ざっくり私の事を説明すると理解していた。

迫られている事は、もちろん秘密だ。



「セレム君、落ち着いてるねぇ」

「・・王子たるもの、少々の事では動揺しません」

「そうか〜。王子って大変だねぇ。私は動揺しまくってるよ」


アイシェさんに戻す薬はないのか?って言われたリファートさんは「・・・・こ、これから・・」と、目が泳いでいた。ああ、こういうパターン・・・。もう笑っておいた。

とりあえず戻るようだし、様子を見ましょう・・と話すと、ようやく騒然としていた場は落ち着いた。色々あったんで、無事に生きてるなら、まぁ良し!!みたいな・・?ざっくり基準になった私、ある意味たくましくなったな・・と感慨深い。


一旦、城に戻ろうか・・とも思ったが、セレムが元に戻った時、城にいてはまた面倒・・もとい、いじけそうなので、もう少し滞在させてもらう事になった。


「海って、遊べるのかな・・・」


私がポツリと呟くと


「カエさんは、海へ行ってみたいのですか?では、ご案内いたします!」

「え、いやいや悪いよ!」

「でも、ずっとお部屋にこもっているのも、カエさんにご負担を掛けてしまいますし、僕も申し訳ないです。」



シュンっとうなだれて、申し訳なさそうにするセレム・・。


くっ・・・・くぅーーーーーーーーー!!!!可愛い!!!!

大人セレムの押しの一手で、慌てふためいていた私に、ちびっこセレムは、もう可愛くて・・別の意味で心臓に悪かった。キュンキュンするー!!!!甥っ子とかいたら、こんな感じかな?


「う・・、じゃあ、護衛騎士さん達にお願いして、一緒に海・・行ってみる?」

「はい!行きましょう」


笑顔でお返事できるセレム君、かーわーいーいー。

私の顔は緩みっぱなしだ。

頭なでなでしたいけど・・王子の自覚がある子に失礼かな・・。


アイシェさんに話すと、王室御用達のプライベートビーチがあるそうで、そこへ案内された。プ、プライベートビーチ・・聞いたことあるよ、セレブの人がいく所だよね。ちょっと目が遠くなった・・。そーだった・・王族の人だった。


護衛の騎士さん達が運転(?)してくれる馬車にローニャさんとセレムと一緒に乗って行く。着いた場所は、白い砂浜にコバルトブルーの海!


「わー!!!綺麗!!!セレム君、行こ!!」

「え、あ、はい・・」


そういえば、私から手を握るって、あまりなかったなぁ〜なんて思いながら、波打際まで行くと、透明な綺麗な水に足をつけたくなる。・・多分、ローニャさんタオルとか持ってるよね・・。

そう思って、革履の紐を解いて、足を出す。


「え?か、カエさん??」

「セレム君も靴脱いで、足を水につけてみようよ!気持ち良さそうだよ〜」


私は、波打ち際から少し離れた所に、靴を置くと、足を水につけてみる。

ちょっと冷たくて、気持ちいい〜〜!!


「気持ちいい〜〜〜!ほらほら、セレム君も!」


振り返って、誘ってみると、なんだか照れくさそうに靴を脱いで置いてくると、セレムもそっと足を入れてみた。


「ね〜!気持ちいいでしょ?」

「は、はい・・・・」

「もしかして、こっちの人って、あまり海で遊ばないの?」

「現地の人は遊んでいるかもしれませんが・・、僕はあまり・・。カエさんの世界では海で遊ぶんですか?」

「うん!私は、このくらいの短い水着っていうのを着て遊んでた。」


そういって、膝上くらいまでスカートを上げると、セレムは顔を真っ赤にして、ものすごい勢いで後ろを向く。


「か、カエさん!!!れ、レディーが足を出してはいけません!!」

「あ、すみません・・。」



18歳児・・・、8歳の男の子に叱られた。





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