いざ異世界旅行!その2
「とりあえず、お茶でもしましょうか」
そうアイシェさんに言われ、部屋を案内される。
メイドさん達に案内され、入った部屋は全面がガラス張りになっており、庭園が手前に見え、少し奥にコバルトブルーの海が見えた。
「わぁ、き、綺麗〜〜〜〜〜!海の色が違う!」
セレムの服を掴んで、話すと、嬉しそうに笑ってくる。
あ、そだ。君、ここの世界の人だから知ってますね。
一旦冷静になれ私、ビークール。ビークール。
「・・・・そういえば、知ってた・・よね・・」
「ああ、だが今日は一際綺麗に見えるな。カエが隣にいるからかな。」
「・・・・・・・待って、そういうの日本人は本当に無理だから控えて。」
私に外人耐性もなければ、イケメン耐性もない。
そして甘い言葉耐性なんて、日本に生きている限りない!!!
ふわっといい香りのするセレムに、赤くなった顔を悟られまいと、海を夢中で見るふりをする。絶対匂いでバレてるだろうけども!!!
椅子に座ると、海が更によく見える。
「・・・カメラ欲しい・・」
思わずボソッと呟くと、リファートさんの目がキラリと光る。
「カエさん、カメラとは何ですか?」
「え?あ、カメラですか・・。ええと、風景とか、人とかを、その場で写真という紙に写すもの・・ですかね。」
「その場で、どうやって紙に写すんですか?」
「え、ええと、カメラの中に、フィルムといって、写し込む物が入ってて、それを昔はカメラ屋さんっていう専門のお店が取り出して、写真という紙にしてたんです。」
・・・・・・デジカメは、説明できる気がしない・・・。
説明に四苦八苦したわ。
リファートさんは、ジャケットから手帳を出し、何やらブツブツ言いながら書き込んでいる。横でアイシェさんが、仕方ないなぁといった様子で笑ってみている。
「前にカエちゃんに聞いた、すまほ?の話もしたら、ダーリンったら食いつく、食いつく。ここ数十年、異人がこの世界に渡って来る事がなかったから、発明魂に火がついてるのよ」
「ああ、そういえば・・発明が得意って言ってましたね・・」
「ついでに言えば、このバシェ国は様々な発明品の特許を持ち、なおかつ輸出しているがリファート殿は、その発明部門のトップだ。」
「え、それめちゃすごい人じゃん!!」
驚く私に、アイシェさんが誇らし気だ。
美人で可愛いとか反則じゃない?
「・・・カメラ、カメラかぁ・・・。僕自身も構想はあったけど、カエさんのおかげで、ハッキリイメージできたよ!アイシェ!僕ちょっと作りに行って来るね!カエさん、セレム殿は、くつろいでいてね!」
言うなり、席を立ち部屋を嵐のように去って行く・・・。
「・・・うちのダーリン、いつもあんな感じなのよ〜。ごめんね。でも、久々に嬉しそうな顔見たわ。」
アイシェさんは、愛おしそうに扉の向こうを見つめる。
「・・・お役に立てたなら良かったです」
「あら、来てくれただけでも私は嬉しいのよ?」
ニコッと優しく笑いかけてくれるアイシェさんに、じわっと心が暖かくなる。
「・・ありがとうございます!」
「うふふ。ね、この後ダーリンの工房見てみない?面白いものあるわよ!」
「あ、是非是非!!」
「・・・え、あそこ今入れるのか・・・・・?」
セレムのギョッとした声にアイシェさんが、「最近片付けさせたわ・・」と、遠い目で答えていた。・・・一体、どんな状態の工房だったのだろうか・・・。
一息入れた後、早速工房にお邪魔することになったが・・
これがまた騒動を引き起こす事になるとは、誰もこの時は思わなかった。