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王子の独り言14

洞窟の中へ入ると、淡く・・青く発光している事に気付く。


光る苔なんて・・あったか?

擦れば光る植物ならあったが・・。いや植物なら・・カエが光らせたかもしれない・・。


どこか確信めいたものが強くなり、ドンドン奥へ進む。と、カエの気配が近くなってきて、一気にそばへ転移する。


と、バシャっ・・と、両足が水の中に入る。

水・・?!地底湖でもあったのか?

顔を見上げると、淡く光る水の中に、


会いたくて仕方なかったカエが、そこにいた。



「カエ!!!!!」


叫んで近寄ると、カエは驚きに目を丸くし、立ち尽くしていた。

駆け寄ってギュウッと力強く抱きしめる。



生きてる・・・!!

この世界にいてくれた・・・!!!

また会えた・・・・!!!!





「・・・・・・良かった・・・・・・・」


もう・・泣きそうだった・・・。

会えなくなってしまう事に、こんなに恐怖を感じたことはなかった・・。


驚いてたカエの両手がそっとあやすように俺の背をトントンと叩く。

それだけで胸がいっぱいになって、また強くカエを抱きしめる。


「心配かけてごめんね?大丈夫だよ・・」

「3日も探した」


「3日!??」


驚くカエに、自分もハっとする。

そうだ・・・3日もいなかったのに、ケガはないだろうか・・謝るカエの顔や体を傷がないか確認する。額が少し切れてる・・髪をそっとかき分けると、治るようにと撫で、キスをする。


「ちょっ、セレ・・」


カエの香りが、ふわりとする。・・嬉しくて、頰にもキスする。

愛しい気持ちと、生きていてくれて嬉しい気持ちで、いっぱいになる。


「本当に生きてた・・・・良かった・・・・」


赤い顔で見上げてくるカエを見て、一気に安心感が押し寄せ、好き・・という感情より、もっと強い気持ちが心に満ちてくる。


「カエ・・・・」


頬に手を寄せて、顔を近付けようとすると、急に腕に重みを感じる。


「カエ?!」


意識を失ったのか、カエが青白い顔をして腕の中でグッタリしている。

そうだ・・3日もいなかったのだ・・。会えた嬉しさですっかり失念していた。


「ミ?ミ?」


・・・・これは、森の精霊・・・???

もしや・・・、こいつが原因か?!カエの顔を心配そうに覗く様子を見ると、懐いているのか???

なんにせよ、すぐにカエを連れて帰ろう。

丸い物体はカエにくっ付いて離れないので、一緒に転移する事にした。



城へ戻ると、ローニャは泣きながらカエが帰ってきた事を喜び、急いで世話をする。バリス兄さんが呼んでおいたくれた医師にカエを診せ治療すると、帰ってきた直後より幾分顔色は良くなったが、それでも懇々と眠っていた。

ようやく帰ってきたカエが、また消えてしまわないか心配で離れられなかった・・。


「・・・・本当に良かったな。ハーリカには俺から無事だったと連絡しておく。」


貸しだぞ・・そう言って笑って、兄さんは帰っていった。

いつだって、兄達には敵わないな・・そう思った。


ようやく2日経って、カエが目を覚ます。

2日も寝ていたことを説明すると驚いていた。

ああ、ようやく会話していると帰ってきた・・と実感する。


おもち・・と名付けていた森の精霊に嬉しそうに頬ずりされていて、一気に憮然とした気持ちになる。俺と会うより喜んでないか・・?!


「洞窟・・・あれ、すごく綺麗だった・・。セレムの目みたいに青くて・・」


ポツリと話すカエに、自分を覚えていてくれた事に嬉しく思う。

会話しつつも、うとうとしているカエ・・、相当疲れていたんだろう。

そっと頭を撫でると、瞼が下り、小さく


「・・・・セレム、ありがと・・・好き・・・」




ポツリと呟き、眠り込んでしまった。


一人真っ赤な俺を置いて。






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